第2823回 フランスカップフィナーレ(1) ベスト8一番乗りとなったパリサンジェルマン
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■ベスト16の顔ぶれはプロとアマチュアが半々
今季のフランスカップは新型コロナウイルスの感染拡大の影響を最も受けた大会であったと言えるであろう。資金力、運営能力に劣るアマチュアチームは試合日程の消化が大幅に遅延し、フランスカップの大会形式は変更を余儀なくされた。
大会形式は従来であれば7回戦からプロチームとアマチュアチームの対戦が始まっていたが、今年は新型コロナウイルスの感染対策にアマチュアチームが対応に手間取り、結局10回戦に相当するベスト16決定戦でプロチームとアマチュアチームが初めて顔を合わせることになった。
3月初めに出そろったベスト16は1部勢が7チーム、2部勢が1チームとプロチームが半分を占める。アマチュアチームはナショナル1部リーグが2チーム、ナショナル2部リーグが5チーム、ナショナル3部リーグから1チームとなる。
■ベスト8決定戦でリーグ首位と2位が対戦
本連載第2793回で紹介した通り、1部勢8チームの中には優勝争いをするリール、パリサンジェルマン、リヨン、モナコという上位4チームが残っている。ベスト8決定戦は所属リーグなど関係なくオープンに組み合わせ抽選が行われたが、なんと1部で首位のリールと2位のパリサンジェルマンが対戦することになった。ベスト8決定戦は本来は4月6日から8日にかけて行われるが、パリサンジェルマンはチャンピオンズリーグで勝ち残っており、ちょうど準々決勝の第1戦と同じ日程となる可能性がある。したがって、パリサンジェルマン-リール戦は日程を早めて3月17日に行われた。
両チームはベスト16決定戦を戦ってから10日あまり後にベスト8決定戦を戦うことになるが、この間にパリサンジェルマンはチャンピオンズリーグの1回戦のバルセロナとの第2戦で引き分け、リーグ戦のナント戦での敗戦と2試合勝ちのないまま次の試合を迎えた。一方のリールは、すでにヨーロッパリーグは決勝トーナメントの1回戦でアヤックス・アムステルダム(オランダ)に敗れているため、ベスト16決定戦でGFCアジャクシオに勝利してからはリーグ戦のみ1試合を戦い、アウエーでモナコとスコアレスドローに持ち込み、2位のパリサンジェルマンとは勝ち点2差で首位をキープしている。
■今季のタイトル争いを左右するパリサンジェルマン-リール戦
そして首位争いをする両チームは前半戦は12月にリールで対戦し、スコアレスドロー、後半戦では、4月3日にパルク・デ・プランスで対決することとなる。したがって、この1戦は今季のフランスカップのベスト8を決定するカードの中での好カードというにとどまらず、今季のフランスリーグの行方を占う重要な試合であると言える。パリサンジェルマンとしてはここでリールに勝利し、フランスカップ獲得に一歩前進するとともに、僅差でリールを追うリーグ戦でも首位を奪回し、さらには昨年準優勝に終わったチャンピオンズリーグは昨年以上の成績を残す、国内外での三冠達成の夢を追う。
■途中出場のキリアン・ムバッペ2ゴール、パリサンジェルマンが快勝
パルク・デ・プランスでの一戦はパリサンジェルマンの三冠を予感させるような展開となった。5分にリールはブラク・イルマズがペナルティエリア内でパリサンジェルマンのGKケイロス・ナバスと一対一になる。このピンチをナバスが防ぐ。そして9分にパリサンジェルマンはアンヘル・ディマリアがクロスを上げ、これをリールの守備陣が逡巡するところをマウロ・イカルディが走りこんでシュート、先制点となる。前半はパリサンジェルマンがボールを支配する。リールは数少ないチャンスの30分のイルマズのシュートは同点弾かと思われたが、バーに嫌われる。
先制点を決めたイカルディは負傷したため、39分にキリアン・ムバッペと交代する。ムバッペは交代出場早々にペナルティエリア内でファウルを受け、パリサンジェルマンにPKが与えられ、ムバッペ自身が決めて2-0としてハーフタイムを迎える。
試合終盤の78分にリールはPKを得たが、ユスフ・ヤズジュのシュートをナバスがまた止める。アディショナルタイムにもムバッペが得点を決めたパリサンジェルマンが3-0とリールを一蹴、ベスト8一番乗りを決めたのである。(続く)