第2829回 フランスカップフィナーレ(7) パリサンジェルマン、最多記録を更新する14回目の優勝

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■試合前にエマニュエル・マクロン大統領が両チームのメンバーを激励

 過去6年間で5回優勝し、14回目の栄冠を目指すパリサンジェルマン、一方のモナコはスタッド・ド・フランスでの初優勝、30年ぶりの優勝、対照的な戦歴を持つチームの対戦となった。
 この試合は無観客で行われたが、エマニュエル・マクロン大統領は臨席し、試合前にはピッチに降りて両チームならびに審判団に激励している。

■ドイツカップ獲得経験のあるモナコのニコ・コバチ監督

 大統領に選手を紹介するのは主将の役割であるが、まず先にチームメイトを紹介したのがモナコのウィッサム・ベン・イェデルである。モナコはGKがラドスワフ・マジェツキ、DFは3バックで右からジブリル・シディベ、アクセル・ディザジ、ギジェルモ・マリパン、MFは右からルーベン・アギラー、オーレリアン・チャムメニ、ユスフ・フォファナ、カイオ・アンリケと4人が並ぶ。FWは中央にベン・イェデル、右にアレクサンドル・ゴロビン、左にケビン・フォランドが控える。モナコは主要メンバーに欠場者はおらず、セスク・ファブレガスもベンチに追いやられてしまっている。そして門戸を率いる監督はクロアチア人のニコ・コバチ、2002年のワールドカップでは選手として訪日していることから日本の皆様はよくご存じであろうが、監督としては2019年のブンデスリーガ(バイエルン・ミュンヘン)で優勝し、その前年にはフランクフルトを率いてドイツカップを制覇している。モナコは1985年の決勝ではパリサンジェルマンに1-0と勝利しており、決勝での対戦成績は1勝1敗である。

■圧倒的にボールを支配したパリサンジェルマンが先制

 一方のパリサンジェルマン、復帰してきたマルキーニョスが大統領と選手を引き合わせる。GKはケイロス・ナバス、DFは右からアレッサンドロ・フロレンツィ、マルキーニョス、ティロ・ケーラー、アブドゥ・ディアロの4人、MFはレアンドロ・パレデス、ダニーロ・ペレイラ、イドリッサ・グイエ、FWは中央にマウロ・イカルディ、右にアンヘル・ディマリア、左にキリアン・ムバッペである。こちらはベンチにネイマール、プレスネル・キンペンベ、マルコ・ベラッティ、レイバン・クルザワ、フアン・ベルナトというメンバーが並んでいる。
 このパリサンジェルマンのキックオフで試合が始まったが、パリサンジェルマンが一方的にボールを支配し、序盤のボール支配率は8割近い。そしてそのパリサンジェルマンが先制点を奪うのは時間の問題であった。19分にモナコの不用意なパスをムバッペがインターセプトする。ムバッペはイカルディにパスをつなぎ、イカルディが右足で先制点を決める。一方的に攻めながらこれがパリサンジェルマンは2本目のシュート、そして初めての枠内シュートであった。この辺りのシュート数の少なさが今季のパリサンジェルマンが他のチームを圧倒できなかった原因であろう。それでもカップファイナルで先制点を決めたところが、カップ戦のスペシャリストであるパリサンジェルマンである。守勢のモナコがようやく得点チャンスをつかんだのは39分のことであった。フォランドが左足でシュートするが、マルキーニョスがCKに逃れる。

■追いつけないモナコに対し、パリサンジェルマンはキリアン・ムバッペが追加点

 後半はモナコが攻撃を重視した布陣に変更し、なんとか同点に追いつこうとする。主将のベン・イェデルもベンチに下げる策を取ったが、枠内にシュートを放つことがなかなかできない。交代出場してきたようやく69分にジェウソン・マルティンスがFKから直接ゴールを狙う。ナバスも届かず、同点かと観念したが、ボールはバーに当たり、ゴールの上を通過した。その直後にもモナコは途中出場のクレピン・ディアッタがシュート、これがモナコにとってこの試合初めての枠内シュートとなったが、ナバスがストップする。
 一方のパリサンジェルマンは81分にムバッペが追加点を決める。ムバッペは今季のフランスカップには5試合出場で7得点目となる。エースの追加点により、パリサンジェルマンは2-0と勝利し、最多記録を更新する14回目のフランスカップ獲得を果たしたのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ