第2940回 ベスト16が決定したフランスカップ(2) ファンのトラブルで失格となったリヨンとパリFC

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■2部のナンシー、3人の退場者を出したが1部のトロワを下す

 前回の本連載では1部勢が参戦したフランスカップのベスト32決定戦でメッスとアンジェがナショナルリーグのアマチュアチームに敗れて姿を消したことを紹介した。紺ベスト32で姿を消した1部勢は他に3チームある。
 まず、トロワは2部のナンシーと対戦し、この試合はトロワの本拠地で行われた。この試合は大荒れとなった。ナンシーは32分に早くも2枚目のイエローカードで選手が1人退場となる。数的優位となったホームのトロワは前半終了間際に44分にPKで先制する。前半だけで両チームに6つの警告が与えられた試合、後半に入ってもイエローカードは出し続けられる。そして1人少ないナンシーは63分に同点に追いつく。しかし、ナンシーは76分にレッドカードで2人目の退場者を出す。2人少ないナンシーは厳しい戦いとなり、さらに終了間際の90分にも警告2回目の選手が退場、90分の戦いを終えたところでフィールド上には8人しか選手がいなかった。そして今大会の規定通り、PK戦となる。PK戦ではナンシーが全員成功させたのに対し、トロワは2人が失敗、PK戦でトロワは敗れ、ナンシーはベスト32決定戦で唯一1部勢を破った2部のチームとなった。

■ファン同士の小競り合いで試合が打ち切りとなったパリFC-リヨン戦

 そして1部勢と2部勢の対戦となったのはそれ以外に4試合あったが、ソショー、ストラスブール、リールは2部勢の挑戦を退けた。問題となったのが2部のパリFCと1部のリヨンの試合である。ヨーロッパリーグのグループリーグで好成績を残したリヨンをリーグ戦で4連勝中で4位に上昇したパリFCが迎え撃つパリFCが迎え撃つとあって、シャルレティ競技場には1万5000人以上のファンが集まった。両チームの対戦は両チームが1部リーグに所属していた1978-79シーズン以来、実に42年ぶりのこととなる。
 試合は7分にパリFCが先制する。しかし、その後はリヨンが試合を圧倒し、ボールを支配する。そしてリヨンは前半終了間際の44分にムーサ・ダンベレが同点ゴールを決めて追いつき、1-1でハーフタイムを迎える。このハーフタイムの間に両チームのサポーター間で小競り合いが起こる。警備のスタッフが少なかったこともあり、このトラブルを鎮静化することができず、ファンがピッチに侵入し、40分経っても試合が再開できなくなった。審判団は試合の打ち切りを宣言したのである。

■両チームに罰金、今季のフランスカップから追放

 両チームは互いに相手チームのサポーターの行動を非難しつづけた。今季のフランスサッカーではサポーター同士のトラブルが相次ぎ、リヨンは8月に行われたマルセイユとの試合でもファン同士がトラブルを起こし、試合が中止となっている。両チームに罰金が科される。特にトラブルを再演したリヨンに対する罰金はパリFCの5倍以上となる5万2000ユーロとなった。そして最終的には両チームとも今季のフランスカップからは追放となり、敗退が決まったのである。

■1部勢対決を制した好調レンヌ

 リヨンは残念な結果でフランスカップから退場したが、唯一の1部勢対戦となったのが、レンヌとロリアンのカードである。両チームともフランス北西部にあり、ブルターニュダービーとなった。レンヌはヨーロッパカンファレンスリーグのグループリーグを首位通過したことは紹介した通りであるが、リーグ戦でも順位を3位にあげている。一方のロリアンは19位と2部降格の危機に瀕している。3週間前にも両チームはリーグ戦で対戦、この時はレンヌが2-0で勝利している。会場はレンヌの本拠地ロアゾンパークということで勝利を期待する2万人のファンが集まった。
 そのファンの期待通りの試合展開となる。21分にレンヌはCKからゴール前でつないで先制点を奪う。両チームとも相手ゴールを脅かすシーンが続いたが、最終的にこのゴールが唯一の得点となり、レンヌがベスト32入りする。ベスト32のうち1部勢は15チームが占めたのである。(続く)

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