第3008回 フランスカップ準々決勝(1) ニース、パリサンジェルマンに続いてマルセイユも下す

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■月に1試合のペースで行われるフランスカップ

 今季のフランスサッカー、リーグ戦は4月23日にパリサンジェルマンが優勝を決め、欧州カップは前回までの本連載で紹介した通り、最後まで残っていたマルセイユの準決勝敗退が5月5日に決まった。最後に残ったタイトルがフランスカップである。本連載では第2954回までの連載でベスト8決定戦までの戦いを紹介したが、準々決勝から5月7日に行われた決勝に至る戦いを紹介していこう。
 年が明けてからの有力チームの過密日程の解消するために国内のカップ戦の日程の変更については本連載で取り上げた通り、リーグカップが廃止され、フランスカップについては12月から1部勢が参戦するようになった。この結果、フランスカップは12月にベスト32決定戦、1月初めにベスト16決定戦、1月末にベスト8決定戦、3月に準々決勝、4月に準決勝、5月に決勝と、ほぼ1月に1試合のペースで行われるようになった。

■最大の注目はニース-マルセイユ戦

 ベスト8の顔ぶれであるが、1部からマルセイユ、モナコ、ニース、ナントの4チーム、2部からアミアンとバスティアの2チーム、4部に相当するナショナル2部からベルサイユとベルジュラックの2チームである。カップ戦のスペシャリストであり、リーグ戦でも独走したパリサンジェルマンの名前がないが、絶対王者をベスト8決定戦で下したのがニースである。
 ニースの準々決勝の相手はマルセイユである。マルセイユはリーグ2位でフランスカップは39回目の準々決勝、ニースは3位、23回目の準々決勝である。パリサンジェルマンがいなくなった時点で優勝に最も近くにいる2チームの対戦となった。
 準々決勝は2月8日から10日にかけて行われ、ベスト8決定戦の10日後であり、フランスカップの中で最も試合間隔が短く、この間にはリーグ戦1試合だけしか組まれていない。ニースにとっては格上の相手との対戦であるが、パリサンジェルマンを下した勢いでマルセイユも退けたいところである。

■リーグ戦ではファンのトラブルで試合が中断

 ニースとマルセイユの対戦は南仏ダービーとも言われ、熱い戦いを繰り広げてきた。フランスカップでは8年ぶりの対戦となる。リーグ戦では8月22日にニースのアリアンツ・リビエラ競技場で対戦している。ところがこの試合、75分に事件が起こる。ニースのファンによってピッチに投げ込まれたペットボトルをマルセイユのディミトリ・パイエがスタンドに投げ返し、観客がピッチに入り込んで乱闘となる。試合はニースがリードしていたが、試合は中止となって、再試合が10月に行われたといういわくつきのカードである。

■オウンゴールで先制を許したが、ゴールラッシュで逆転勝利したニース

 2月9日21時15分、3万3000人の満員の観衆の中、赤と黒の縦縞のニースのキックオフで試合が始まった。試合開始間もない3分、思わぬ形で先制点が入った。マルセイユのジェンギス・ウンデルがシュート、これをニースのGKマルサン・ブルカがクリアするが味方DFのメルバン・バールに当たって自らのゴールにボールが吸い込まれていった。オフサイドではないかとVARに持ち込まれたが、主審はゴールを認め、番付上位のマルセイユが先制した。
 しかし、ニースの勢いを止めることはできなかった。10分には2トップのアンディ・ドロールからアミン・グーリへの絶妙なパス、これをグーリがポー・ロペスの守るゴールを破る。VARの末、得点が認められ、ニースはたちまち同点に追いつく。ニースはその後も攻め続け、28分には中盤でボールを奪い、ドロールのクロスにジュスティン・クライフェールトが頭で合わせて、逆転する。
 後半に入ったばかりの49分、マルセイユのドゥエ・チャレタツァルのクリアしたボールがクライフェールトに渡る。クライフェールトはペナルティエリアの外から強烈な右足のシュート、これで2点差となる。さらにニースは61分にもボールを奪って、クライフェールトがクロス、ドロールのシュートにロペスもセービングしたが及ばず、4-1となった。
 ニースは満員の観衆を満足させる試合で準決勝進出を決めたのである。(続く)

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