第3136回 16強を争うフランスカップ (1) 遅れて決まったパリサンジェルマンの対戦相手
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■過密日程となる1月の1部勢
新年から本格化したフランスカップは1月最初の週末にベスト32決定戦が行われ、2週間後の3番目の週末にベスト16決定戦が行われる。1月は代表戦も、欧州カップもなく、国内のタイトルのみの日程となる。1部勢のリーグ再開後の日程は12月28日にリーグ戦第16節、中3日の1月1日に第17節、11日に第18節、14日に第19節、29日に20節と5試合を戦い、それに加えてフランスカップのベスト32決定戦が1月7日、勝利した場合はベスト16決定戦が21日に行われる。
すなわち1部勢は再開後の1月の間に6試合または7試合を戦うことになる。以前は3番目のタイトルとしてリーグカップが存在し、過密スケジュールということに加え、チーム間の負荷のかかり方にばらつきがあった。国内タイトルが2つになったため、チーム間の試合数のばらつきはなくなったが、1月が過密スケジュールであることは間違いない。
■カタール遠征を挙行したパリサンジェルマン
そういう状況の中で、パリサンジェルマンはカタールに遠征し、アル・ヒラル、アル・ナスルの合同チームとの親善試合を行った。ワールドカップから戻ってきたリオネル・メッシも参加、サウジアラビア側にはクリスティアーノ・ロナウドもおり、スター対決にワールドカップの熱狂冷めやらぬカタールのファンは沸き、メッシが先制点、クリスティアーノ・ロナウドも2得点、最終的には5-4という華々しい試合になった。
ただ、パリサンジェルマンはリーグ再開後の初戦の第16節のストラスブール戦には勝利したものの、続く第17節のRCランス戦では1-3と今季初黒星を喫し、さらに第18節ではホームでレンヌに敗れており、上位勢に対して連敗を喫している。
■11月20日に中断した試合が、1月11日に再試合
それでもパリサンジェルマンが遠征をしたのは商業的利益が目的である。さらにフランスカップについても兄弟チームのシャトールーに勝利したことは本連載第3133回で紹介した通りであり、ベスト16決定戦も戦うことになる。ただ、このベスト16決定戦の日程が思わぬアクシデントによってスライドしたのである。
それはパリサンジェルマンのベスト16決定戦の相手が決定したのが通常より遅い14日、そしてパリサンジェルマンはベスト16決定戦を23日に戦うことになったのである。
アクシデントは11月20日に起こった。8回戦(ベスト64決定戦)のランス・サンタンヌ(ナショナル3部:5部リーグに相当)-バスケル(ナショナル2部:4部リーグに相当)の試合がランス(Reims)で行われた。試合は序盤にランス・サンタンヌが3点をリードしたが、後半に入って65分ごろに両チームの選手が退場、これに対して両チームの選手、ファンが暴れ出し、収拾がつかなくなり試合は中断してしまい、負傷による入院者もでた。当初は両チームが失格、この試合の勝者がベスト32決定戦で対戦するペイ・ド・カセル(地域1部:6部リーグに相当)が不戦勝でベスト16決定戦に進出するという判断であったが、その後、フランスサッカー連盟は決定を変更し、再試合を中立地で無観客で行うことになった。
■地域1部リーグのペイ・ド・カセルがパリサンジェルマンに挑戦
試合が行われたのはフランスサッカー連盟のナショナルトレーニングセンター、フランス代表の合宿地であるクレールフォンテーヌである。すでに他のベスト32が決定した段階の1月11日に、最後のベスト64を目指す試合が無観客で行われ、0-0のスコアレスドローの後、PK戦でバスケルが勝利した。
最後のベスト32決定戦はバスケルとペイ・ド・カセルの間で行われるがすでにベスト16決定戦の組み合わせ抽選は終わっており、この試合で勝利したチームはパリサンジェルマンを迎えることになる。両チームはベスト16決定戦の会場の確保も手配しなくてはならなくなった。
パリサンジェルマンへの挑戦権をかけた試合は14日に行われ、この試合も1-1の末、PK戦となり、ペイ・ド・カセルが5-4で勝利した。当初、不戦勝の予定だったペイ・ド・カセルが取り直しでも勝利、RCランスの本拠地、フェリックス・ボラール競技場で王者を迎え撃つのである。(続く)