第3137回 16強を争うフランスカップ (2) リーグ上位勢が勝利した1部勢対決

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■4連勝で3位に浮上したマルセイユ、パリサンジェルマンに勝利したレンヌ

 フランスカップの組み合わせ抽選、常に話題となるのは早期の段階での上位勢同士の対戦である。1部勢にとって初戦となるベスト32決定戦ではリール-トロワ、ストラスブール-アンジェの2つの1部勢対決があり、トロワとストラスブールが敗退している。 ベスト16決定戦に残った1部勢は14チームであるが、マルセイユ-レンヌ、トゥールーズ-アジャクシオ、ブレスト-RCランスの6チームが1部勢同士の対戦となった。この中で最も注目を集めたのがマルセイユ-レンヌ戦である。マルセイユはリーグが再開してから4連勝、順位も3位に上昇、首位パリサンジェルマンとは勝ち点差は5まで縮まった。11月1日のチャンピオンズリーグのトットナム・ホットスパー(イングランド)戦で敗れたのを最後に負けていない。
 対するレンヌは再開後は2勝2敗、順位も5位まで落としてしまったが、最新のリーグ戦ではパリサンジェルマンに1-0と勝利している。ボール支配率こそパリサンジェルマンに大きく劣ったが、シュート数で上回り、枠内シュート数はパリサンジェルマンの1に対し、7とゴール前では圧倒した。パリサンジェルマンに次ぐ数である8人のワールドカップ組も合流、パリサンジェルマン戦の勢いが南仏にやってきた。レンヌはパリサンジェルマン戦と負傷者を除きほぼ同じ先発メンバーでマルセイユとの試合に臨む。

■ベロドロームの大観衆の前で期待に応えたマルセイユ

 マルセイユの注目選手は1月初めにイタリアのアタランタからレンタルされたルスラン・マリノフスキーである。その名からわかる通りウクライナ人であり、ウクライナ代表としてもキャリアを誇るMFである。リーグ戦では2試合に出場、早くもその実力はマルセイユのファンに認められている。リーグ戦上位同士の好取組とあって、金曜日の夜に設定された。平日の夜であるにもかかわらず、ベロドロームには5万7000人のファンが詰めかけた。
 試合はマルセイユが優勢に進める。9分にはマリノフスキーのシュートがポストをたたくがノーゴール、マルセイユのボール支配率は6割を超える。前半は両チーム無得点であったが、後半に入ってこの試合最初のゴールを決めたのはワールドカップから帰ってきたフランス代表のコンビであった。マルセイユのジョルダン・ベレトゥがレンヌからボールを奪い、マテオ・ゲンドウジにつないで、59分にゲンドウジがゴールを決める。これがこの試合唯一の得点となり、マルセイユはベスト16一番乗りとなったのである。

■モロッコ旋風のザカリア・アブクラルの先制点でトゥールーズが勝利

 土曜日の21日に行われた1部勢対戦がトゥールーズ-アジャクシオ戦である。両チームはリーグ戦でも1月1日に行われた第17節で対戦しており、トゥールーズが2-0と勝利している。ホームのトゥールーズは12位、ビジターのアジャクシオは降格圏内の18位である。トゥールーズに所属する日本のオナイウ阿道はベンチスタートである。前半は両チームの現在の順位を象徴する内容となったが、トゥールーズは攻めども攻めどもシュートにならず、前半は両チーム無得点のまま、後半に入る。
 均衡を破ったのはワールドカップ組であった。トゥールーズは、モロッコ代表として活躍したザカリア・アブクラルが65分に先制点を奪う。さらに69分にもトゥールーズは追加点を奪い、2-0と勝利して16強入りした。

■2位RCランス、リーグ戦とメンバーを大きく入れ替えてブレストに勝利

 22日の日曜日に登場したのはブレストとRCランスである。リーグ戦2位で首位パリサンジェルマンを勝ち点3で追うRCランスは1週間前のリーグ戦とは先発メンバーを大きく変え、二兎を追う体制である。6分にはCFに起用したウェスレイ・サイードが先制点をあげる。ブレストに追いつかれたが、30分には東京オリンピックのアルゼンチン代表のファクンド・メディナが勝ち越し点をあげる。38分にはアドリアン・トマソンが2点差とするゴールを決める。試合はこのまま3-1でRCランスが勝利するが、サイード、トマソンは直前のリーグ戦のオセール戦の先発メンバーではなく、選手起用が見事に的中した。
 リーグ戦でRCランスは4月16日にパリサンジェルマンとパリで対戦する。パリサンジェルマンがチャンピオンズリーグで勝ち進めば、準々決勝の2試合のちょうど間の週末である。両チームがどのような選手を起用するか、今から楽しみである。(続く)

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