第3139回 16強を争うフランスカップ (4) ベスト8決定戦でマルセイユとパリサンジェルマンが対戦

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■フランスカップのベスト16のうち15チームは2部以上のプロチーム

 前回の本連載はフランスカップのベスト32決定戦で2部以下のチームと対戦した1部のチームについて紹介し、8チームすべてが挑戦を退けたことを紹介した。この結果、ベスト16の顔ぶれは1部勢11チーム、2部勢4チーム(パリFC、ロデス、グルノーブル、アヌシー)というプロ15チームに加え、4部に相当するナショナル2部勢のアマチュアのビエルゾンとなった。
 ベスト16決定戦を戦ったアマチュアの11チームのうち10チームが姿を消したが、これらの中で最も注目を集めたのは、前回の本連載で紹介した6部に相当する地域1部のチームが1部勢と対戦したストラスブールケーニクショファン-アンジェ戦、ペイ・ド・カセル-パリサンジェルマン戦である。

■パリサンジェルマンに勝利すればマルセイユと対戦できたペイ・ド・カセル

 ペイ・ド・カセル-パリサンジェルマン戦はベスト16決定戦の最後の試合として1月23日に行われたが、この試合前に2月8日に行われるベスト8決定戦の組み合わせ抽選が行われた。その結果、この試合の勝者はマルセイユと対戦することとなった。
 ランスのフェリックス・ボラール競技場に集まった3万7000人の観客は、もしもパリサンジェルマンに勝利すれば、2月にはマルセイユと対戦できるとはかない夢を見たのである。 しかし、試合はキリアン・ムバッペの5ゴールなどでパリサンジェルマンが勝利、ペイ・ド・カセルのファンは世界的なスーパースターのプレーに拍手を送ることになったのである。

■フランスカップではパリサンジェルマンがマルセイユに大きく勝ち越し

 一方のパリサンジェルマンはマルセイユと早い段階で対戦することになった。ライバル関係にある両チームはこれまでフランスカップで13回対戦している。パリサンジェルマンの歴史は50年、それを考えると4年に1度、フランスカップで対戦していることになり、両チームがフランスカップで勝ち進んでいることを表している。これまでの決勝での対戦も2回あり、2006年も2016年もパリサンジェルマンが勝利している。フランスカップでの両チームの通算成績はパリサンジェルマンが11勝1分1敗(1分は1980年代までのホームアンドアウエーでの対戦時のもの)となっている。リーグ戦での戦績はパリサンジェルマンの34勝20分32敗と拮抗しており、いかにパリサンジェルマンがカップ戦で卓越した成績を残しているかがわかる。
 ただ、マルセイユもこれまでフランスカップで10回の優勝を誇る。優勝回数で14回と抜かれたが、今度はホームゲームであり、簡単にはパリサンジェルマンの勝利を認めないであろう。

■2月は強敵との対戦が続くパリサンジェルマン

 そして、気になるのはパリサンジェルマンのスケジュールである。本連載第3136回で紹介したとおり、1月は国内のタイトルのみが行われ、リーグとフランスカップで1部勢は6試合または7試合戦うことになる。
 2月になるとリーグ戦5試合となり、チャンピオンズリーグなどの欧州カップの決勝トーナメントが行われる。また、フランスカップのベスト8決定戦が2月8日または9日、準々決勝が28日または3月1日に行われる。月間の試合数は少ないチームは5試合、多いチームは8試合となる。
 もっともタフなスケジュールとなるのがパリサンジェルマンである。リーグ戦5試合、フランスカップは1試合または2試合、チャンピオンズリーグは1試合であるが、問題はその相手のレベルである。リーグ戦ではモンペリエ、トゥールーズ、モナコ、リール、マルセイユの順に対戦し、マルセイユ、モナコという上位陣と対戦する。さらにリーグ戦のモナコ戦の3日前にはフランスカップでマルセイユと対戦、そしてモナコ戦の3日後にはチャンピオンズリーグでバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)を迎え撃つ。
 欧州制覇を目指すパリサンジェルマンにとっては最も重要な試合が14日のバイエルン・ミュンヘンであることは明白であるが、その前の1週間には国内の強豪と連戦しなくてはならないのである。(この項、終わり)

このページのTOPへ