第3147回 8強の決まったフランスカップ (1) パリサンジェルマンになかなか勝てないマルセイユ
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■2月に最大7試合戦わなくてはならないパリサンジェルマンとナント
チャンピオンズリーグなどの欧州カップの決勝トーナメントの始まる2月、国内リーグ4試合に加えてフランスカップの試合もベスト8決定戦が8日と9日、準々決勝が28日と3月1日に行われる。欧州カップに出場せず、すでにフランスカップで敗退したチームは4試合だけであるが、チームによっては1年で最も短い月に7試合を戦うことになる。 その最大7試合を消化しなくてはならないチームはフランスカップとチャンピオンズリーグで勝ち残っているパリサンジェルマンとフランスカップとヨーロッパリーグを戦うナントである。
■バイエルン・ミュンヘン戦の前週にマルセイユと対戦するパリサンジェルマン
ベスト16決定戦でパリサンジェルマンはマルセイユと、ナントはアンジェとそれぞれアウエーで対戦する。
マルセイユ-パリサンジェルマン戦は8試合の中で最も注目を集めたカードであり、8日の21時10分にキックオフされた。試合の行われるマルセイユのベロドローム競技場は真冬の平日の夜であるが、フランスカップの決勝以外の試合としては最多の6万5000人のファンが集まった。
パリサンジェルマンは、2月の最重要試合はチャンピオンズリーグの決勝トーナメント1回戦の第1戦、14日に行われるバイエルン・ミュンヘン戦である。その1週間前にあるマルセイユ戦は最適のリハーサルである。
■ホームでのパリサンジェルマン戦の勝ち星が遠ざかっているマルセイユ
マルセイユは昨季のリーグ戦ではパリサンジェルマンに次ぐ2位となり、チャンピオンズリーグに出場したが、グループリーグで最下位となり、欧州の舞台から引き下ろされてしまった。残るは国内タイトル、リーグ戦では勝ち点8の差でパリサンジェルマンを追う2位である。ホームでのフランスカップに勝利して弾みをつけてリーグ戦での逆転を狙い、残された国内2タイトルを目指す。マルセイユの応援席にはフランスカップを模した巨大な旗が掲げられ、その中にはこれまでフランスカップで優勝した10の年が書かれているが、その最後は1989年である。マルセイユはホームゲームでパリサンジェルマンに勝利したのは2011年11月27日までさかのぼらなくてはならない。また、本連載ではマルセイユがワールドカップによる中断明けは好調とお伝えし、再開後はモナコ戦の引き分けをはさみ5連勝を記録したが、パリサンジェルマンとの決戦の直前の5日に行われたホームでのニース戦は1-3と敗れ、国内のチーム相手には昨年10月22日のRCランス戦以来の黒星となった。そして、今季のリーグ戦ではパリで10月16日に対戦しており、パリサンジェルマンが1-0と勝利している。
■主将のバランタン・ロンジをストッパーに起用したマルセイユ
マルセイユは、ヌーノ・タバレス、レオナルド・バレルディ、エリック・ベイリーが欠場する。パリサンジェルマンは2月1日のモンペリエ戦でキリアン・ムバッペが負傷し、プレスネル・キンペンベとともにメンバーから外れている。マルセイユは通常は中盤を務める主将のバランタン・ロンジをストッパーに起用、その前の中盤の中央にはマテオ・ゲンドウジとジョルダン・ベルトゥというワールドカップのフランス代表コンビを起用する。
パリサンジェルマンは最前線にリオネル・メッシとネイマールの2人を配置し、トップ下にはビティーニャを配し、その下にはマルコ・ベラッティが支える。先にチャンスをつかんだのはパリサンジェルマンであった。3分にネイマールからのパスを受けた左サイドDFのヌーノ・メンデスがシュートを放つが、マルセイユのGKポー・ロペスが手で防ぐ。
これに対してマルセイユも序盤で得点のチャンスをつかむ。5分にはジェンギス・ウンデルが左足で強烈なシュートを放つが、パリサンジェルマンのGKジャンルイジ・ドンナルンマがCKに逃れる。実はマルセイユがベロドロームのパリサンジェルマン戦では2017年10月のフローリアン・トーバンが最後、それ以来5年以上、得点をあげることができないのである。
しかし、観衆の大声援にマルセイユのイレブンは応えたのである。(続く)