第3190回 フランスカップ、トゥールーズ優勝(3) ナント、2年連続で決勝進出
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■3月の直接対決は引き分けのナントとリヨン
ベスト4の出そろったフランスカップ、準決勝は4月5日と6日に行われた。この時点でフランス勢は欧州カップからは消え去っており、フランスのファンにとってはリーグ戦以外唯一行われる試合となった。準決勝の組み合わせはナント-リヨンとアヌシー-トゥールーズとなる。
連覇を目指すナントと来季の欧州カップ出場権を獲得したいリヨンの対戦が4月5日にナントの本拠地ボージョワール競技場で行われた。準々決勝から準決勝までの1か月間に代表の欧州選手権予選、欧州カップ戦などの国際試合が行われ、両チームともリーグ戦は4試合を戦っている。その中の1試合が3月18日にリヨンで行われた直接対決である。フランスカップと同じカードとあってファンの注目度は高く、リヨンのグルーパマ競技場には3万8000人のファンが集まった。試合は開始早々の3分にナントはリヨンのゴール前に攻め込み、リヨンのGKがクリアしたボールがDFの頭に当たり、自らのゴールに入ってしまい、オウンゴールとなる。ナントは思わぬ形で先制したが、その後はリヨンが試合を支配、24分にはアレクサンドル・ラカゼットが同点ゴールを決める。リヨンはその後も試合を支配したが、勝ち越し点を奪うことができず、試合は引き分けに終わった。
■リーグ戦でパリサンジェルマンに勝利したリヨン、準々決勝以降勝ちのないナント
これでリヨンはフランスカップ準々決勝でグルノーブルを下してから国内リーグ戦で3試合引き分けとなった。準決勝前最後の試合はアウエーでのパリサンジェルマン戦である。リヨンはラカゼットがPKを失敗したが、ブラッドレイ・バルコラが得点をあげ、1-0と勝利して準決勝に臨むのである。
一方のナントであるが、準々決勝から準決勝までの間の4試合、1勝もすることができなかった。リヨンとニースに引き分け、パリサンジェルマンとスタッド・ド・ランスに敗れ、2分2敗、力のある相手が多かったこともあるが、リーグ戦での順位を落としてリヨンを迎え撃つことになる。
■リヨン、試合を支配するもシュートの精度を欠きノーゴール
決勝は中立地のスタッド・ド・フランスで行われるため、いずれかの本拠地で行われるのは準決勝が最後となる。その準決勝開催の権利を得たナントは、昨年も準決勝をボージョワール競技場で開催、モナコをPK戦で下した後にはファンがグラウンドにあふれかえった。フランスカップ準決勝でホームチームが勝利した場合は、このような光景がよくみられるが、今年も再現できるだろうか。一方の欧州カップ復帰を望むリヨンは目の前で歓喜を見たくないはずである。
ナントのアントワン・コンブアレ監督、リヨンのローラン・ブラン監督はいずれも選手としても監督としてもこのフランスカップ優勝の経験がある。
試合は開始直後にナントが攻め込み、CKのチャンスを得る。バルコラのCKをラカゼットがヘディングでつなぎ、ジャン・シャルル・カステレットがボレーシュート、これをリヨンのGKアントニー・ロペスが好セーブし、試合はいきなりビッグプレーで始まった。しかし、その後は地力に勝るリヨンが試合を支配するが、リヨンの攻撃陣のシュートは精度を欠き、枠の中をとらえられない。一方のナントはシュート数こそ少ないながらも確実に枠の中をとらえる。32分にはデヤン・ロブレンのロングフィードを受けたサミュエル・ムトゥサミのシュートがゴールインするが、オフサイドでノーゴール。
■主将ルドビック・ブラの決勝点で決勝進出を決めたナント
両チームとも得点をあげることなく試合は後半に入る。この試合最初のゴールは地元のナントであった。57分に主将のルドビック・ブラがリヨンの守備陣をうまくかわして左足でシュート、リヨンのアントニー・ロペスは動くことができず、ボールがネットを揺らした。リヨンは後半も試合を支配したが、最後のシュートがことごとく枠から外れ、この試合で初めて枠内にシュートを放ったのは86分のバルコラ、枠内シュートはこの1本に終わり、ナントが2年連続で決勝に進出した。
試合後、無数のファンがピッチの上で決勝進出を祝福したのである。(続く)