第3194回 フランスカップ、トゥールーズ優勝 (7) 圧倒的な得点力で66年ぶりの優勝

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■準決勝で敗れることが多かったトゥールーズ

 トゥールーズは、連覇を狙うナントに対して、試合開始早々から積極的に攻め込み、4分に早くも先制ゴールを決める。これが10回目の決勝となるナントに対し、トゥールーズは1970年に創立した現チームでは初めての決勝進出となる。準決勝に進出したのは現チームになってからは1985年の1回だけ、この時はパリサンジェルマンにPK戦の末敗れている。1967年にレッドスターと合併した旧トゥールーズFCも1957年に決勝に進出し、アンジェに勝利して優勝を果たしているが、決勝進出は1回だけであり、それ以外には準決勝で3回(1941年、1945年、1966年)敗れており、決勝は遠い存在であった。それだけに、選手、スタッフ、ファンが決勝で戦う喜びは大きい。

■前半だけで4点を記録したトゥールーズ

 先制点の後もトゥールーズは攻め続け、9分から10分にかけてブランコ・バンデンブーメンが連続してFKからゴールを狙う。2本目のFKはナントの守備陣がクリアしたところをトゥールーズのスティン・スピエリングスが拾ってゴール前にボールをあげると、先制点を決めたローガン・コスタがヘディングで追加点を決めた。コスタは先制点が今季の初得点であり、2点目も決めてしまった。
 序盤に2点を奪われたナントはようやく目が覚めたようで、逆襲に出る。2点目を奪われてから10分近く、ナントはトゥールーズ陣内でボールを保持する。この攻撃にトゥールーズの守備陣は耐えきり、23分にはカウンターアタックから50メートルのパスを受けたタイス・ダリンガがナントのGKアルバン・ラフォンと1対1になり、GKの足元を狙ったシュートが入り、3-0とリードを広げた。ダリンガは今季のフランスカップで5得点目となる。
 一方のナント、せっかくいいリズムになったところをカウンターアタックから失点、この3点目で気落ちする。31分にトゥールーズはナントのゴール前に迫る。トゥールーズのシュートをGKのラフォンは何とかクリアしたが、そこにダリンガがいた。ダリンガのシュートはポストに当たりながらもゴールイン、試合の3分の1が終わった段階でトゥールーズのリードは4点となった。前半はこのまま終わるが、フランスカップ決勝の歴史でハーフタイムの時点で4点差が付いたのはこれが初めてのことになる。決勝の前半で4点奪ったチームも1955年にボルドーと対戦したリール以来のこととなる。

■主将のラドビック・ブラのPKのみに終わったナント

 巻き返しを図りたいナントは後半開始時点で3人の選手を交代する。ナントは57分にムーサ・シソッコがシュートを放つが、惜しくも枠から外れる。71分にはルドビック・ブラが遠い位置からのFKを直接狙うが、トゥールーズのDFにクリアされ、クリアボールをアンドレイ・ジロットがシュートするも再びはね返された。74分にナントはファビアン・セントンズがペナルティエリア内にボールを持ち込み、ラスムス・ニコライセンが倒してしまう。ナントにPKが与えられ、ブラが決めて、主将が一矢を報いる。

■記録づくしの攻撃力で優勝したトゥールーズ

 しかし、79分にトゥールーズはバンデンブーメンがFKを直接狙うが、壁に当たる。この壁に当たって戻ってきたボールをザカリア・アブクラルが右足で強烈なシュート、ナントのDFに当たってコースが変わったこともあり、ラフォンはセーブすることができず、トゥールーズの5点目となる。なお、アブクラルはフランスカップで5試合連続得点となった。
 試合はこのまま終わり、トゥールーズが5-1と勝利し、現行のトゥールーズFCとして初優勝、旧トゥールーズFCと合わせても66年ぶり2回目の優勝となった。この優勝においてトゥールーズは数々の記録を残したので紹介したい。
 まず、決勝のフルタイムで4点差は1970年のサンテチエンヌが5-0で勝利して以来のことである。なお、この時も相手はナントであった。そして決勝でも大量得点となったが、6試合で25点を記録している。これは1989年のマルセイユ以来のことである。トゥールーズは来季のヨーロッパリーグに出場する権利を得たが、1部に昇格してきたチームが翌季の欧州カップに出場するのは2014年のモナコ(リーグ2位)とギャンガン(フランスカップ優勝)以来のことである。トゥールーズの偉業を称えたい。(この項、終わり)

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