第3303回 2部勢のフランスカップ(1) 不運な2部落ちとなったオセールとACアジャクシオ
読者の皆様、あけましておめでとうございます。連載を開始して23回目の新年を迎えました。
本年もよろしくご愛読のほどお願いいたします。
■例年通りのカレンダーに戻ったフランスのサッカー界
2022-23シーズンは秋にワールドカップがあったため変則的なスケジュールとなったが、今季は元通りのスケジュールになり、リーグ戦は年末に前半戦の最終戦、年初に後半戦の最初の試合が行われる。リーグ戦の中断期間に行われる年明け最初のサッカーの試合が1部勢の参戦するフランスカップのベスト32決定戦である。
本連載ではこれまでこのフランスカップのベスト32決定戦を下位勢のジャイアントキリングに遭う1部リーグ勢の側からとらえてきたが、今年は下位リーグ勢、特に今季2部に降格したチームの側から紹介したい。
今季の年末年始のフランスのサッカーカレンダーを確認しよう。1月最初の週末の5日から7日にかけてフランスカップのベスト32決定戦が行われるが、リーグ戦に関しては前半戦ラストの第17節は12月20日に行われ、後半戦スタートの第18節は1月12日から行われる。
■1部のチーム数減少によって2部落ちとなったオセールとACアジャクシオ
すなわち、年末年始のリーグ戦のウインターブレイクは3週間以上となる。ウインターブレイクの期間が長くなったのは1部リーグのチーム数が20から18に減少し、試合数が減ったからである。昨季のフランスリーグは2部から1位に昇格するのが2チームであったのに対し、4チームが1部から2部に降格した。すなわち、例年であれば1部に残留する17位(下から4番目)や18位(下から3番目)のチームが2部に降格した。それらのチームにとっては運が悪かっただけでは済まない、残念な降格となった。昨季の17位は本連載第3207回でも紹介したオセール、そして18位はACアジャクシオである。また参考までに19位はトロワ、20位はアンジェである。これらの降格組にとって、リーグ戦で優勝争いをして1部に復帰することが目標であるが、その前にフランスカップで1部勢相手に一泡吹かせることを目論んでおり、これらのチームの動向は見逃せない。
■前半戦を2位で折り返したオセール、6位のACアジャクシオ
まず、1部同様、年末年始に折り返し点を迎える2部リーグの前半戦終了時点の順位であるが、首位はアンジェ、2位はオセールと降格組が自動昇格となる上位2位を占めている。3位から5位までがプレーオフに出場できるが、残りの降格組のACアジャクシオは6位と昇格の可能性は十分にある。ただし、トロワは16位と出遅れている。
トップのアンジェは11月以降は負けがなく、12月5日の第17節のグルノーブル戦に勝利して首位に躍り出た。2位のオセールも前半戦は4連勝で締めくくっており、上位2チームは11月から12月にかけて好成績を残している。
■1部勢との挑戦のチャンスをつかんだオセールと逃したACアジャクシオ
2部勢がフランスカップに参戦するのは11月18日と19日に行われる7回戦からとなる。12月日に行われる8回戦を勝ち抜けば、1部勢の加わるベスト32決定戦に臨むことができる。フランスカップは6回戦までは各地方別に行われているが、7回戦は広域になるとともにプロである2部勢も参戦してくる。そして海外県、海外領土については7回戦が各県、各領土の代表決定戦となる。
不運な2部落ちとなったチームについては、7回戦でオセールは5部相当のナショナル3部リーグのルピュイ・デュ・バロワ相手にようやくPK勝ちと苦戦した。ACアジャクシオは6部相当の地域1部リーグのトゥールーズ・メトロポールに2-0と勝利した。
12月9日に行われた8回戦ではオセールは地域1部リーグのサンメジエリに4-1と快勝して、1部勢への挑戦のチャンスを得た。一方、ACアジャクシオは3部に相当するナショナル1部のオルレアンと対戦する。2部経験も長く、フランスカップでも準優勝経験のあるオルレアンの前にACアジャクシオは1-2と敗れてしまう。フランスカップでの1部勢との対戦は実現しなかったが、リーグ戦で1部復帰を目指すことに目標を絞ったのである。
(続く)