第3307回 1部勢が参戦したフランスカップ(1) 1部勢対決をPKで制したクレルモンとモナコ
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■18チーム体制の1部、2カードが1部勢対決
第3303回から第3305回の本連載ではフランスカップの7回戦と8回戦の2部勢の戦いを紹介したが、いよいよ年が明けると1部勢の登場である。前回の本連載で紹介した通り、今年最初のサッカーの試合はフランスカップではなくチャンピオンズトロフィーのパリサンジェルマン－トゥールーズ戦となったが、それ以外の1部のチームにとって年の最初の試合がフランスカップである。
今年から1部のチーム数は18に減少し、1部勢同士の対戦は少なくなるかと思われたが、それでも20チーム体制の昨年と同じ2カードが1部勢対決となった。
■昨年は6部勢に敗退したリーグ最下位クレルモン、今年はPK戦で勝利
まず、初日の1月5日にメッスとクレルモンが対戦した。メッスは今季1部に復帰、クレルモンは2021年に1部に初昇格し、初年度は17位で残留を決めた。なお、このシーズンでメッスは19位となって2部に陥落している。クレルモンは1部2年目の昨季は8位の成績を残し、メッスは2部で優勝し、1年での1部復帰を決めた。そして今季のリーグ戦、前半戦を終えてメッスは14位、クレルモンは最下位と苦戦している。その低調なシーズンを送る両チームの対戦となった。
メッスのサン・サンフォリアン競技場で行われた試合、先手を取ったのはメッスであり、22分に先制点を入れ、リードして折り返す。後半の立ち上がりにクレルモンが同点に追いつき、その後は両チームとも勝ち越し点をあげることができず、1－1のまま90分が過ぎる。延長戦はなく、PK戦となり、メッスは失敗が重なり、クレルモンが4－2で勝ち抜いた。クレルモンは昨年のフランスカップのベスト32決定戦では本連載第3134回で紹介した通り、6部に相当する地域1部リーグのストラスブールケーニクショファンにPK戦で敗れており、その悔しさを1年がかりで晴らすことになった。
■有力チーム対戦となったRCランス－モナコ戦
そしてもう1つの1部勢対決がRCランスとモナコの対戦である。前半戦を終えた時点のリーグ順位はモナコが3位、RCランスは7位である。モナコは今季の序盤のフランスリーグのリーダーであり、RCランスはチャンピオンズリーグにも参戦し、ヨーロッパリーグの決勝トーナメント進出を決めている。有力チーム同士の戦いとなったが、両チームともアフリカネーションズカップ、アジアカップに出場する選手を欠く陣容で臨むことになる。しかし、好調同士の対戦とあって、1月7日の午後のフェリックス・ボラール競技場には3万7000人とほぼ満員の観客が集まった。
■PK戦は9人目で決着、モナコが熱戦を制す
試合は激しいものになった。RCランスのキックオフで始まったが、開始30秒でゴールネットを揺らしたのはモナコのウィッサム・ベンイェデルであった。RCランスのミスからボールを奪い、右足のグラウンダーでの強烈なシュートがブリス・サンバの守るゴールのネットを揺らし、満員の観客を沈黙させる。その後もモナコの攻撃が続く。21分にはマグネス・アクリウシュが追加点を奪う。南野拓実の不在によって出場機会を得たモナコ育ちの21歳が活躍する。
2点をリードされたホームのRCランス、反撃は前半終了間際に始まった。43分にDFのフェトゥ・マウアサが1点を返す。この1点でエンジンがかかったRCランスは、その直後にもファクンド・メディナがゴールを襲う。さらに45分にはモナコのティロ・ケイラーがペナルティアリア内でRCランスのエリ・ワイを押すが、主審はペナルティを取らない。これに対してRCランスのフランク・エズ監督が猛抗議、逆にエズ監督は退席処分となる。
後半に入り、RCランスは62分にフローリアン・ソトカが同点ゴールを決め、2点のビハインドをクリアする。
試合はこのまま90分が経過、この1部勢対決もPK戦での決着となる。先蹴のRCランスはトップがモナコのGKに止められて、モナコはベンイェデルが成功させるが、その後は両チームとも失敗が続き、4人目が終わったところで両チーム1人ずつしか成功していない。ところが5人目以降は両チームとも成功を続ける。明暗が分かれたのは9人目、RCランスが失敗し、モナコが成功させて勝ち抜いたのである。（続く）
