第3485回 フランスカップ、ベスト32決定戦(3) 1部勢対決を制したマルセイユとパリサンジェルマン

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■優勝回数の多いチーム同士の対戦となったサンテチエンヌ-マルセイユ戦

 前回の本連載は、1部勢にとってフランスカップの初戦となるベスト32決定戦において下部のリーグのチームと対戦した14チームを紹介した。レベルの離れているリーグと対戦したチームが多く、唯一2部のチーム(ダンケルク)と対戦したオセールは敗れ、さらにリーグ戦でも不振なルアーブルとモンペリエは4部相当のナショナル2部リーグのチームに敗れている。
 今回は前回登場しなかったチーム、すなわち初戦から1部勢同士の対戦となった2試合を紹介しよう。この2試合はいずれも人気チームが登場した。まず、12月22日、日曜日の14時45分からはサンテチエンヌとマルセイユが対戦した。サンテチエンヌはこれまで優勝6回、マルセイユは10回を数える。ただし、サンテチエンヌの最後の優勝は1977年と半世紀近く前のことであり、マルセイユも1989年を最後に優勝がない。マルセイユはパリサンジェルマンに次いでリーグ2位、一方のサンテチエンヌは16位と2部との入替戦圏内と苦戦しており、29日にはエイリック・ホーネランドが新監督に就任するが、この試合までは暫定監督のローラン・ウアールが務める。
 両チームは2週間前に行われたリーグ戦でも同じサンテチエンヌで対戦しており、ビジターのマルセイユがアドリアン・ラビオとメイソン・グリーンウッドの得点で2-0で勝利している。その2週間前とは逆の結果を期待する観客で会場のジェフロワ・ギシャール競技場には3万5000人近い観衆が集まった。

■2週間前のリーグ戦同様、マルセイユが圧勝

 試合は立ち上がりからオレンジ色のユニフォームのマルセイユが攻め込んだ。立て続けにCKを獲得し、緑のユニフォームをゴール前に押し込む。ボール支配率が25パーセント前後のサンテチエンヌは21分にイブラヒム・シソッコが危険なプレーで一発退場となり、10人で戦わなくてはならなくなる。その直後にマルセイユの先制点が生まれた。右サイドのルイス・エンリケからのクロス、グリーンウッドがボレーシュートを決めた。その後もマルセイユは攻め続け、34分には好位置でのFKをラビオが直接決める。
 前半のシュート数はマルセイユの12に対してサンテチエンヌはわずかに1、この差は後半も続いた。69分にはルイス・エンリケ、81分にはピエール・エミール・ホイビュアが得点を追加し、マルセイユはアウエーでの1部勢対決、4-0と完勝したのである。

■優勢に試合を進めたパリサンジェルマン、勝ち越し点を奪えず

 1部勢対決のもう1試合は22日の21時から、RCランスとパリサンジェルマンの顔合わせである。リーグ戦ではパリサンジェルマンが首位、リールは4位、ベスト32決定戦の中でナンバーワンのカードである。パリサンジェルマンは直前のリーグ戦のモナコ戦でGKのジャンルイジ・ドンナルンマが負傷し、代役をマトベイ・サフォノフが務める。 パリサンジェルマンが優勢に試合を進め、25分にデジレ・ドゥエからのクロスをアクラフ・ハキミが合わせてゴールするが、副審のオフサイドの旗が上がる。ワールドカップや欧州選手権でも使用されたフェリックス・ボラール競技場であるがフランスカップではVARの設備が設置されておらず、微妙な判定であったが副審の旗に従う。
 前半はスコアレスに終わり、先制点をあげたのは守勢のRCランスであった。66分にエムバラ・エンゾラがアブデュコディル・クフサノフのシュートを軽くコースを変えて先制する。パリサンジェルマンも70分にゴンサロ・ラモスのゴールで追いつく。長い後半アディショナルタイムを終えても1-1のままで、試合はPK戦となる。

■PK戦のヒーローとなった代役GKのマトベイ・サフォノフ

 PK戦はRCランスが先蹴、最初の3人は両チームとも成功、RCランスの4人目のエンゾラのシュートは、サフォノフが触り、失敗する。パリサンジェルマンの4人目のブラッドリー・バルコラは成功する。RCランスの5人目、アンディ・ディウフのシュートはまたもやサフォノフが止め、パリサンジェルマンが1部勢対決を制したのである。(この項、終わり)

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