第3493回 フランスカップのベスト16決定戦 (1) 1部勢対決をPK戦で制したスタッド・ド・ランスとリール
平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■リーグ戦の折り返し時点で行われるベスト16決定戦
前回までの本連載ではフランスリーグの前半戦について紹介した。前半戦最後となる第17節は1月12日に終了し、後半戦最初の試合となる第18節はその翌週末の17日から始まる。
昨年まではちょうどウインターブレイクが入り、この間に年明け最初の試合となるフランスカップのベスト32決定戦が行われていた。今年はウインターブレイクはないものの、第17節と第18節の間にフランスカップのベスト16決定戦が組まれている。1部勢はフランスカップにはベスト32決定戦から参戦し、本連載第3483回から第3485回で紹介した通り、5チームが姿を消しているが、それ以外の1部勢13チームは後半戦を迎える前の週の半ばに試合をしなくてはならない。
フランスカップのベスト16決定戦は1月12日の火曜日に6試合、1月13日の水曜日に9試合行われた。ベスト16決定戦では1部勢同士の試合が3試合組まれた。
■日本人選手が所属するスタッド・ド・ランスとモナコ
12日にはスタッド・ド・ランス-モナコ戦とマルセイユ-リール戦が行われた。スタッド・ド・ランスは前半戦12位、欧州カップ出場も不可能ではないが、フランスカップというタイトルを獲得すれば、ヨーロッパカップに出場できる。モナコは3位、チャンピオンズリーグ出場圏内である。両チームとも日本人選手が所属していることから、日本の読者の皆様も注目された試合となった。立ち上がりから両チームが相手ゴールを襲う試合となったが、モナコのウィルフリード・シンゴが負傷のため8分に退場、ティロ・ケーラーにそのポジションを譲る。アクシデントはあったものの、モナコは試合を優勢に進める。しかし、先にゴールを奪ったのはホームのスタッド・ド・ランス、45分にセドリック・キプレがヘディングで決めて、ハーフタイムを迎える。
モナコは後半も攻め続け、ようやく70分に追いつく。双方とも勝ち越し点を奪えないまま、90分が過ぎた。
■PK戦で次々失敗したモナコを下したスタッド・ド・ランス
試合はPK戦となる。両チームともPK戦を苦手としている。先蹴のモナコ、カイオ・エンリケのシュートはGKのエフバン・ディウフに簡単に止められる。スタッド・ド・ランスのトップは中村敬斗、GKの逆を突いて成功させる。モナコは2人目も失敗、スタッド・ド・ランスは2人目も成功させる。2本ビハインドのモナコは3人目も失敗してしまう。スタッド・ド・ランスの3人目も失敗してしまい、4人目以降の勝負となったが、4人目は両チームとも成功、ディアキテのシュートが成功した瞬間にスタッド・ド・ランスのベスト16入りが決まり、モナコは昨年同様ベスト16決定戦のPK戦で敗退したのである。
■後半アディショナルタイムに追いついたマルセイユ、PK戦でリールに敗れる
マルセイユはリーグ戦の前半戦でマルセイユは2位、リールは5位、ベスト16決定戦きっての好カードとあり、マルセイユの本拠地のベロドロームには6万人以上の観客が集まった。名門同士の戦いであるが、フランスカップでの顔合わせは1997年以来、28年ぶりとなる。試合はファンの大歓声に後押しされたマルセイユが優勢に試合を進める。リールのGKビト・マンノーネはスーパーセーブを繰り返し、マルセイユの先制点を許さない。マンノーネの壁を破ったのは38分、マルセイユのニエル・モーペイがゴールを決めたが、その前のプレーでハンドがあったことで取り消される。
両チーム無得点で折り返した後半、開始早々にリールのミッチェル・バッカーがシュートを決めるがこれもハンドで認められない。双方、ハンドでゴールが認められなかったが、先制点は69分のリール、ハコン・アルナル・ハラルドソンがクロスボールを決めた。1点を追うマルセイユは後半アディショナルタイムの96分、ルイス・アンリケが同点ゴールを決めて、PK戦に持ち込む。PK戦では後蹴のリールは4人が連続させて成功、先蹴のマルセイユは2人目と5人目が失敗し、リールがマルセイユを下した。
1月12日に行われた1部勢対決はいずれもリーグ戦で順位の下のチームがPK戦を制したのである。(続く)