第99回 2002-03シーズンいよいよ開幕(3) 10か月続くリーグ戦
■リヨンの対抗馬、パリサンジェルマン
フランスリーグ第1節は、優勝候補のリヨンが21年ぶりの開幕戦勝利を残り数分で逃したが、それ以外の試合はどうだったのであろうか。ほとんどの予想はリヨンを優勝候補として推し、対抗馬にパリサンジェルマンをあげている。本連載の第95回で紹介したとおり、リヨンにはエジミウソン、パリサンジェルマンにはロナウジーニョとブラジル代表としてワールドカップを制覇したメンバーがいる。この両チームには彼らだけではなく、多くのビッグネームが名を連ねている。パリサンジェルマンは選手の過半数が外国人選手であり、南米、アフリカ、欧州から精鋭が集まっている。ワールドカップに出場した選手は先述のロナウジーニョ、ナイジェリアのバルソロミュ・オグベチェ、アルゼンチンのマウリシオ・ポチェッティーノに加え、3部リーグに当たるナショナルリーグに降格したマルティーグからチュニジアのスリム・ベン・アシュールがレンタルから戻ってきた。(ナイジェリアのジェイ・ジェイ・オコチャはイングランドのボルトンに移籍した)それ以外にもブラジルのパオロ・セザール、アロイージオ、アルゼンチンからマルティン・カルデッティ、ポルトガルのミゲル・ウーゴ・レアルなど、10数名の代表クラスの外国人選手を抱えている。
■新スポンサー、新ユニフォームで開幕戦勝利
シーズン前、パリサンジェルマンはビバンディの経営危機に伴い、親会社のカナルプリュスも影響を受け、一時期はクラブの経営が危ぶまれた。しかし、実力・人気を兼ね備えたクラブにはすぐに新しいスポンサーが見つかった。また、パリサンジェルマンはこのたびユニフォームを新調している。リヨンと非常に似たデザインであるが、1980年代半ばの最初の黄金時代を連想させるユニフォームである。オセールを迎えた開幕戦はパルク・デ・プランスに4万1000人以上の観衆が集まった。51分にブラジル人のアロイージオがゴールを決めてほぼ満員の観衆を満足させた。
■ナント、モナコはアウエーで開幕戦勝利
この他には1963年に1部に昇格し今季が1部在位の40年目となるナントが注目される。ナントはマルセイユとアウエーゲームをリヨンで行い、2-0の勝利をあげる。ワールドカップにフランスのクラブとして最多の6人を送り込んだモナコ(6人のうちドイツのビアホフは放出決定)はアウエーでトロワを4-0と破っている。フランスのクラブで唯一ワールドカップに複数のフランス代表(クリストフ・デュガリー、ウルリッヒ・ラメ)を送り込んだクラブであるボルドーもワールドカップに出場したポルトガルのパウレタが先制点をあげ、横浜で行われた日本戦での活躍も記憶に新しいロシアのアレクセイ・スメルティンが2点目をあげ、アウエーでリールを3-0と一蹴している。昨季、リヨンと優勝を争ったランスはセネガルのエル・ハジ・ディウフがリバプールに移籍し、ケルンからカメルーンのリゴベール・ソングが加わったが、コルス島のバスティアで引き分けのスタートとなった。
■唯一の連勝スタートはナントのみ、全チームが勝ち点をあげる
続く8月8日から10日にかけて第2節が行われ、第1節で勝利をあげたボルドーとパリサンジェルマンの戦いが注目を集めた。ボルドーのシャバン・デルマス競技場には3万2000人の観衆が集まったが、前半終了間際にデュガリーとスコアレスドローに終わった。初戦でつまずいたリヨンもホームに戻りスダンと対戦、ワールドカップで活躍したセネガルのアンリ・カマラに先制点を許すが、ワールドカップに出場しなかったブラジル人選手が大活躍し、ジュニーニョ、ソニー・アンデルソンが2得点、カサパが1得点とゴールラッシュ、結局6-1と大勝し、優勝候補らしい戦いを見せた。
第2節を終了した時点で連勝したチームは昨季開幕から不振だったナントだけである。一方、連敗スタートのチームはない。1部リーグ所属が20チームに増え、来年6月4日まで10か月続くリーグ戦には今年も様々なドラマが待っているのである。(この項、終わり)