第183回 終盤を迎えるフランスリーグ (4) リヨン、三度目の正直、今季初の首位防衛
■2年連続で注目の一戦となったボルドー-リヨン戦
日本では統一地方選挙を控え、大手新聞にフランスのドミニク・ドビルパン外相が寄稿したことが、大きな話題となり、キヨスクで売り切れが続出した4月の第2週の週末。
国際政治の喧騒をよそに、フランスではリーグ第33節が行われた。第32節に首位に立ったリヨン、勝ち点2差で追う2位マルセイユと3位モナコ、リヨンに勝ち点3に迫った4位ボルドーまでに首位の可能性がある。特にボルドーは首位リヨンをホームのシャバン・デルマス競技場に迎え撃つことになり、一気に天下を取るチャンスであり、注目のカードである。このカードは昨年も同じ第33節に行われ(昨季の1部リーグは18チームで争われたため、第33節は最終節の直前の節)、リヨンがソニー・アンデルソンのゴールで1-0と勝ち、ランスとの最終節直接対決に持ち込んだことは本連載の読者の皆様ならばよくご存知であろう。また、首位になる可能性のある4チームの残された6節のスケジュールを見てみると4強同士の試合はこのボルドー-リヨン戦だけである。そういう点でもフランスリーグ終盤の注目カードであり、テレビ中継の関係もあって、この試合だけが金曜日の夜に行われたのである。
■前評判は勢いに乗るボルドー有利
ボルドーは今季は首位戦線には顔を出さず、シーズン初めは首位と勝ち点10差がついたが、昨年11月以降は安定した成績を残し、ついに首位を獲るレベルにまで達してきた。一方、昨シーズンの覇者リヨンはこれが今季3回目の首位、今まで2回は首位防衛に失敗していることから、三度目の正直として首位防衛を思い出深い敵地で果たしたいところである。前回の本連載で今シーズンは、ホームゲームの順位とアウエーゲームの順位の間にあまり違いが存在しないと紹介したが、この両チームを比較してみると興味深い。首位リヨンはホームでは11勝4分1敗で首位、アウエーゲームでは5勝5分6敗で5位である。一方、4位ボルドーはホームでは9勝4分2敗で8位であるが、アウエーでは6勝5分6敗で首位に立っている。つまりリヨンはアウエーゲームが苦手、ボルドーはホームゲームが苦手、という苦手同士での戦いとなるのである。しかしながら、勢いに乗るボルドーを推す声が強く、試合前のオッズはボルドー有利。
■ソニー・アンデルソン、昨年に続く殊勲のゴール
勝たなくてはならないボルドーはパウレタ、パスカル・フェインデューノ、ジャン・クロード・ダルシュビユという3トップの強力布陣。今シーズンは守備に難があり、上位9チームの中で失点が一番多いリヨンであるが、さすが天王山での集中力は経験を感じさせる。そして満員の観衆が見守る中、61分にアンデルソンがゴールネットを揺らす。昨年のこのカードの唯一の得点者が今年も唯一の得点をあげたのである。虎の子の1点を守りきり、リヨンは今季3度目にして初めて首位を防衛したのである。
■上位陣が崩れ、リヨン、モナコがリード
ところで、この33節は今季の大接戦の終焉を予期させるような試合結果が続出した。2位のマルセイユは最下位のトロワをベロドロームに迎える。トロワはアウエーゲームでは2001年11月のボルドー戦での勝利を最後に、26戦して9分17敗と勝利がない。そのトロワ相手にマルセイユの勝利は確実と思われていたが、スコアレスドローでマルセイエーを失望させる。3位のモナコこそ、コルス島でアジャクシオに4-2と勝利し、首位との勝ち点差を2とキープし、次節の首位奪還のチャンスを残すのはモナコだけになってしまった。上位9チーム同士の戦いとなった9位ニースと6位オセールの戦いはホームのニースが上り調子のオセールを1-0で下す。7位ソショーは下位チームのモンペリエにホームで勝つが、5位ナント、8位パリサンジェルマンは下位チーム相手に負けてしまう。
この結果、首位リヨン(勝ち点60)、2位モナコ(58)、3位マルセイユ(56)、4位ボルドー(54)、5位ソショー(53)、6位ニース(52)、7位ナント(52)、8位オセール(51)、9位パリサンジェルマン(49)、10位ガンガン(49)となり、やや差は開いた。首位を防衛したリヨンは残りの対戦相手に恵まれ、連覇に向けて大きく前進した。
しかし、まだ欧州他国のリーグと比較すると接戦であり、首位争いだけではなく、欧州チャンピオンズリーグ出場権争い、UEFAカップ出場権争い、インタートトカップ出場権争い、など興味は尽きないのである。(この項、終わり)