第191回 パリサンジェルマン、モナコを首位から降ろす
■楽しみな5月の3回の4連休
爽やかな天候の5月、1日はメーデー、8日は第二次世界大戦戦勝記念日、29日はキリスト昇天祭と3回の祝日があるが、いずれも木曜日。合理的でバカンス好きのフランス人は金曜日を休みにし、5月には3回の4連休があることになり、行楽に励むことになるが、フランスではサッカーシーズンのフィナーレを迎える。
さて、本連載の第180回から第183回にかけてフランスリーグの混戦ぶりをご紹介したが、5月には4試合が行われ、24日の土曜日に最終節を迎えることになる。リーグ最終節の前週の17日にはリーグカップ決勝のソショー-モナコ戦、翌週の31日にはフランスカップ決勝のオセール-パリサンジェルマン戦が行われ、中旬以降の週末は毎週チャンピオンが誕生することになる。もちろん、リーグ戦も3日(土)、10日(土)、20日(火)と控えており、24日の最終節を迎えることになる。週末にバカンスに出かけるか、地元のスタジアムに通うか、恵まれた天候の下で悩むことになる。
■混戦の鍵を握るパリサンジェルマン
メーデーの4連休中の3日にはフランスリーグ第35節が2週間ぶりに行われた。5月になった時点で1位モナコ(勝ち点61、得失点差+28)、2位は第34節でモナコに首位を明け渡したリヨン、しかし勝ち点は並び、得失点差(+20)で及ばないだけである。3位は勝ち点59のマルセイユ、4位は勝ち点57のボルドー、5位は勝ち点54、得失点差+9のソショー、6位は勝ち点54、得失点差+5のオセールであり、相変わらず、混戦は続いている。
首位モナコと2位リヨンの残り試合の相手を見ると非常に興味深いことがわかる。モナコは第35節でパリサンジェルマン、第36節でモンペリエ、第37節でガンガン、最終節でトロワと対戦する。追うリヨンは第35節でストラスブール、第36節でパリサンジェルマン、第37節でモンペリエ、最終節でガンガンと対戦する。つまり、リヨンはモナコが前節に対戦した相手と1節遅れで対戦することになる。下位チームが首位争いをしているチームと連戦する場合、先に対戦する相手に全力を尽くすであろうし、リヨンはスカウティングもしやすいので、リヨンが有利という見方もある。
中でも鍵を握っているのはパリサンジェルマンであろう。一時は優勝争いにも顔を出し、9シーズンぶりの優勝かとパリジャンを興奮させた時期もあったが、中位に低迷しており、優勝争いやチャンピオンズリーグ出場権争いからは後退した位置にある。しかし、フランスカップの決勝進出を決め、リーグ戦でもモナコ、リヨン相手に一泡吹かせたいと狙っているはずである。
■超満員となったパルク・デ・プランス
第35節は3日に9試合が行われ、リヨン、マルセイユ、ソショー、オセールが勝って勝ち点3を加え、オセールに敗れたボルドーは勝ち点を伸ばすことができなかった。一日遅れの4日にパリサンジェルマンはパルク・デ・プランスにモナコを迎えることになった。4連休の最終日の夜に地元でサッカーを見ることのできるパリジャンは幸福である。4月30日の親善試合でメキシコと戦ったブラジル代表のロナウジーニョ、リビアと戦ったアルゼンチン代表のガブリエル・ハインツもチームに合流し、並々ならぬ決意が感じられる。観衆はバカンスから帰ってきたパリジャンも駆けつけ、超満員の48,350人。
■鮮やかな逆転勝ちでモナコを首位から降ろす
試合はモナコが先制する。得点王争いをするコンゴ民主共和国出身のシャビニ・ノンダが今季20得点目を決め、トップのボルドーのパウレタと並ぶ。後半に入り、地元では負けられないパリサンジェルマンは58分にファブリス・フィオレーズが同点ゴール。今季これまで29試合に出場し、わずか2得点というFWの伏兵が、貴重な得点をあげ、同点に追いつく。そして、77分にはパリサンジェルマンのアリウンヌ・ツーレがペナルティエリアの中でパトリス・エブラに倒され、PKを得る。ペナルティスポットにボールを置くのはメキシコでの試合から帰ってきたばかりのロナウジーニョである。このPKをしっかり決めて鮮やかな逆転勝ち。フランスカップのファイナリストとして主役の座をリーグのチャンピオンには渡すまいという意地がモナコを首位から引きずり落としたのである。
11日の夜にはパリサンジェルマンは、モナコに代わって首位に躍り出たリヨンと対戦する。2週連続の首位降ろしが見られるかどうか、楽しみである(続く)