第193回 フランスリーグ第36節 (1) モナコ暫定首位、マルセイユは神話を崩せず

■優勝争いはリヨン、マルセイユ、モナコの3強

 残り3節となったフランスリーグ。8日の第二次世界大戦戦勝記念日から始まる4連休に第36節が行われた。メーデーの4連休を終えた時点で首位はリヨン(勝ち点64、得失点差+24)、2位はマルセイユ(勝ち点62、得失点差+9)、3位はモナコ(勝ち点61、得失点差+27)となり、この3チームが混戦のリーグにおいて第29節以降、上位3位を占めており、いずれかがリーグチャンピオンの栄冠に輝くであろう。そして第36節の注目カードは本連載第191回でも紹介したとおりリヨン-パリサンジェルマン戦、この試合だけが連休最終日の5月11日の夜に行われる。パリサンジェルマンに先週同様「首位キラー」を期待したいが、そのためには土曜日に行われる試合でマルセイユ、モナコが勝ち点を伸ばしていることが必要である。
 残る第37節と最終節に関しては10試合同日の同時刻に試合が行われるが、第36節まではテレビ中継の関係で別の日時に行われる試合もある。試合開始時間が異なることによりそれぞれのチームの選手やファンの心理状況に影響するという妙味がある。この第36節もその典型的な例となった。

■一足早く行われた試合でモナコが勝利、暫定首位に

 第36節で他の試合と違う日時に行われる試合のうち1つがリヨンの試合であり、もう1つは土曜の夕方にキックオフされるモナコ-モンペリエ戦である。前週にパリで痛い黒星を喫し、首位から陥落したモナコも臥薪嘗胆、地元で勝ち点を積み上げ、優勝を果たしたいところである。この試合はテレビで中継されたが、すでに優勝の望みの消えたパリサンジェルマンのファンも関心を持ってこの試合をバカンス先あるいはパリのアパートのテレビで試合を見た。なぜならば、もしモナコが勝てば、パリジャンにとって、翌日のリヨン戦が痛快な「首位降ろし」となるお膳立てができるわけであり、いかにもへそ曲がりのパリジャンらしいところである。
 モナコ-モンペリエ戦はパリジャンの期待通りになった。後半立ち上がりの先制点こそモンペリエに奪われたが、得点ランキングでボルドーのパウレタとともにトップに並んでいるシャバニ・ノンダが、すかさず同点ゴール。逆転ゴールはクロアチア代表経験もあるダド・プロソ、そしてダメ押しゴールは再びノンダ。パウレタがルアーブルとの試合で1ゴールに終わり、22得点のノンダは得点王争いの単独トップとなった。土曜日の夕暮れを迎える段階でモナコは勝ち点でリヨンと並び、得失点差で上回るため、ノンダ同様、チームとしてもトップに立ったのである。

■久々のタイトルに燃えるマルセイユ、ソショー神話に屈する

 さて、同じ南仏のマルセイユも「サッカーの都」の意地をかけ、モナコの天下を3時間で終わらせようとソショーに乗り込んだ。マルセイユにとって国内外のビッグタイトルは10年前の1992-93シーズンにリーグ5連覇と欧州チャンピオンズリーグで優勝して以来のことであり、10年前は八百長疑惑によって両タイトルを剥奪されている。そのため、久しぶりにやってきた好機を活かしたいと選手もファンも願っている。
 一方の2部から昇格してきたばかりのソショーはこの段階で5位。リーグ上位であることに加え、今までホームでは10勝7分と負けなし。プジョーという企業のバックアップによって地元では圧倒的な強さを誇っている。しかし10シーズンぶりの優勝を狙うマルセイユに今年のソショー神話を崩す力はなかった。ソショーに3ゴールを許し、0-3と完敗する。ショッキングだったのはスコアだけではない。マルセイユの守備の中心であるフランク・ルブッフとダニエル・バン・ブイテンが退場処分を受け、少なくとも次節のスダン戦は出場停止となる。

■そして大一番となったリヨン-パリサンジェルマン戦

 これでマルセイユは3位に後退、リーグ優勝のためにはマルセイユファンは絶対に認めたくないパリサンジェルマンのリヨン戦の勝利に期待するしかなくなった。地中海に面するモナコとマルセイユの町は明暗を分け、第36節の大一番のリヨン-パリサンジェルマン戦は4連休の最後の最後である日曜日の夜に行われるのである。(続く)

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