第200回 2002-03フランスリーグ・フィナーレ(3) UEFAカップ出場権争い
おかげさまで第200回の連載を迎えることになりました。読者の皆様にあらためて感謝するとともに、引き続きのご愛読をよろしくお願いいたします。
■4チームが争ったUEFAカップの出場権
リーグ最終節の楽しみは優勝争いだけではない。リーグ上位3チームまでに与えられる来季の欧州チャンピオンズリーグの出場権争い、そしてそれに続く成績を残したチームのUEFAカップ出場権争い、インタートトカップ出場権争い、さらには2部リーグへの降格争いも目が離せない。
欧州チャンピオンズリーグについては最終節を待たず、リヨン、マルセイユが出場権を獲得している。リヨンはこれで5年連続の出場となり、欧州のビッグクラブでも5年連続出場となるとそれほど多くはないはずであり、それにふさわしい成績を期待したい。また、1993年まで欧州で大暴れしたマルセイユは3年ぶりの出場となる。そして第3の椅子は最終節を迎える段階で勝ち点64の3位モナコ、そして勝ち点61でモナコを追うボルドー、ソショー、オセールにチャンスがあった。しかし現実的にはボルドー以下のチームが勝ち点でモナコと並んだとしてもモナコの得失点差は+27、最も得失点差の多いボルドーですら+19であり、モナコの大敗、ボルドー以下のチームの大勝が条件であり、モナコの欧州チャンピオンズリーグ出場の可能性は非常に高かった。
そしてフランスからのUEFAカップ出場枠は3チーム、この内訳はリーグ成績でチャンピオンズカップ出場チームに次ぐ1チーム、フランスカップ優勝チーム、リーグカップ優勝チームであるが、すでにモナコがリーグカップを制覇していることから、リーグからの出場チームが2つになる可能性があった。つまり、モナコが3位以内に入れば、リーグの成績がカップ戦の成績よりも優先されるため、リーグ4位と5位のチームがUEFAカップ出場となるわけである。そして、モナコが4位になった場合は5位のチームがUEFAカップ出場、そしてモナコが6位以下になった場合は4位のチームがUEFAカップ出場となる。
最終戦でUEFAカップ出場の可能性のあるチームは4チーム。勝ち点61で並んだボルドー(得失点差+19)、ソショー(得失点差+14)、オセール(得失点差+7)、そして勝ち点59のガンガン。勝ち点61で並んだボルドー、ソショー、オセールはいずれも最終戦はホームゲーム。地元ファンも応援のしがいがあるものである。そして逆転を狙うガンガンは優勝祝賀試合となったリヨンでの対戦。
■モナコの大量リードにより、チャンスは2チーム
前回紹介したようにモナコがトロワとの試合で序盤から得点を重ねていることは他会場のベンチにも逐次情報が入ってくる。つまり、モナコの6位以下と言うことはありえないであろうから、UEFAカップ出場を狙う4チームのうち、上位2チームがチケットを獲得することになる。まず、パリサンジェルマンを迎えたオセールで歓声が上がる。オリビエ・カポが9分に先制点。そしてその直後、リールと対戦するボルドーのシャバン・デルマスが揺れる。最終戦を迎える段階の得点王争いで首位のモナコのシャビニ・ノンダを2得点差で追うボルドーのパウレタが14分に先制点。そしてスダンを迎えたソショーも負けていられない。20分にブルーノ・ペドレッティが先制点。1週間後に控えたフランスカップ決勝と同じカードでパリサンジェルマンの気勢をそごうとオセールが猛烈に攻撃を仕掛け、28分にカポが追加点。そして唯一アウエーで戦うガンガンも大方の予想を裏切って首位リヨンを圧倒する。
■ボルドー、7年連続の欧州カップ出場
後半に入るとスコアが動く。ソショーでは66分にスダンが同点に追いつく。オセールが2点差で勝っているため、ソショーとしてはなんとしても勝ち越し点が欲しい。その思いが通じたのか、77分にはサントスが貴重な勝ち越しゴールを決める。得失点差で優位に立つボルドーもリードはわずか1点であり、追いつかれて引き分けに終わり、ソショー、オセールが勝つと、ボルドーは6位に陥落し、UEFAカップの出場権を獲得できなくなる。ロスタイムに入った90分にパウレタが2点目をあげて、勝利を確定、UEFAカップの出場権を確保したのである。ボルドーはこれで7年連続の欧州カップ出場、そして過去20年間のうち16シーズン欧州カップに出場している常連である。これに続くのがモナコとパリサンジェルマンの14シーズン、12シーズンのオセール、リヨンやマルセイユはわずか8シーズンであるからいかにボルドーが安定した成績をこの20年間残しているかわかるであろう。
■昇格2年目のソショーの当選、残る1枚はフランスカップ決勝の勝者
そしてソショーも逃げ切り、2部リーグから昇格2年目でUEFAカップ出場と言う躍進を遂げた。オセールもパリサンジェルマンに勝ったが、得失点差で及ばず、最後のUEFAカップのチケットはスタッド・ド・フランスでのフランスカップ決勝でパリサンジェルマンと争うことになったのである。(続く)