第326回 フランスリーグ終盤の争い(1) 残り2節で一歩抜け出したリヨン
■5月の週末を一喜一憂させる国内の試合
前回と前々回の本連載でご紹介したとおり、5月の最初の週はモナコとマルセイユの欧州カップ決勝進出がフランス国内を歓喜させた。特にモナコがチェルシーと戦った試合のテレビ視聴率は39％をマークし、今シーズンのサッカー番組では最高の視聴率となった。
5月のフランス・サッカー界のカレンダーを見てみると、第1週に欧州カップの準決勝第2戦があり、マルセイユの出場するUEFAカップ決勝は19日（水）、モナコが頂点を狙うチャンピオンズリーグ決勝は26日（水）に行われる。また、6月の欧州選手権を目指すフランス代表も久しぶりの試合を行うことになり、20日（火）にはブラジル戦、28日（木）にはアンドラ戦が予定されている。しかし、メインの毎週末には国内でクラブの試合が行われる。リーグ戦は第34節が5月1日（土）第35節が8日（土）、第36節が12日（水）、第37節が15日(土)、最終節である第38節が22日(土)に行われる。そして29日（土）にはフランスカップの決勝が行われ、週末はフランス国内の試合に一喜一憂することになる。
■上位3チームがすべて勝利した第35節
本連載の第323回で第33節の模様を紹介し、パリサンジェルマンがモナコを抜いて2位に浮上したことを紹介したが、5月1日に行われた第34節でモナコが勝利、パリサンジェルマンが引き分けたため、再び順位が入れ替わった。
モナコとマルセイユの決勝進出の余韻が残る中で8日に第35節が行われたが、第34節終了時で首位リヨン（勝ち点70、得失点差＋34）、2位モナコ（勝ち点68、得失点差＋34）、3位パリサンジェルマン（勝ち点67、得失点差＋22）唯一のタイトルを狙うリヨンをチャンピオンズリーグのファイナリストとなったモナコ、フランスカップのファイナリストとなったパリサンジェルマンが追う展開となっている。
第35節はまず8日の夕方にパリサンジェルマンが一足先にホームにレンヌを迎えてキックオフ、フランク・デウのゴールを守りきり、勝ち点を70に伸ばして首位リヨンに並ぶ。そして首位リヨンはメッスでのアウエーゲームを定刻の20時からキックオフ。メッスはホームチームの意地を見せ、前半10分に先制点を奪うが、首位リヨンは23分にジュニーニョが同点ゴール、そして76分にエウベルが逆転ゴールとブラジル勢が活躍して勝利をあげ、モナコの試合の結果に関わらず首位をキープする。第35節で最も注目を集めたカードはモナコ－マルセイユ戦であろう。欧州カップのファイナリスト同士の戦いは準決勝の疲労もあり、日曜日の9日に行われた。両チームは準決勝の激闘の疲れも見せず、走り回ったが、無得点が続く。90分にはロスタイム5分の表示が出され、スコアレスドローと思われた93分、チャンピオンズリーグでも大活躍のルドビック・ジウイが決勝点をあげて、今まで何度も歓喜させてきたルイ2世競技場を興奮の渦に巻き込む。上位3チームがすべて勝ちを収め、第36節を迎えることになった。
■8年前の欧州カップファイナリストのボルドーとパリサンジェルマン
第36節は今季最後の平日の試合となった。上位3チームについては火曜日の11日にパリサンジェルマンがボルドーで試合を行い、水曜日の12日にはリヨンがバスティアを迎え、モナコはストラスブールでのアウエーゲームとなった。ボルドーとパリサンジェルマン、前回の連載で紹介したとおり、1996年に欧州カップの決勝にともに進んだチームである。カップウィナーズカップの決勝でパリサンジェルマンはラピッド・ウィーンを下して優勝したが、ホームアンドアウエー方式で行われたUEFAカップの決勝でボルドーはバルセロナに連敗し、準優勝に終わっている。モナコとマルセイユのアベック決勝進出により1996年のパリサンジェルマンとボルドーの歴史が持ち出され、ボルドーとしては意地を見せたいところである。リーグでは中位にとどまっているボルドーが首位を狙うパリサンジェルマンを一蹴する。パスカル・フェインデゥーノが2点、マルアーヌ・カマクが1点をあげる活躍でUEFAカップ8強の力を見せつける。
■首位リヨンは勝利、2位のモナコは引き分けに終わる
12日はリヨンとモナコは同時刻にキックオフ。ホームのリヨンは26分にジュニーニョが先制点をあげる。一方、チャンピオンズリーグで爆発的な攻撃力を誇ってきたモナコもフェルナンド・モリエンテスの欠場が響いたのか、攻撃に精彩を欠く。両試合ともその後のゴールはなく、第36節の結果は首位リヨンが勝利（勝ち点76、得失点差＋36）、2位モナコは引き分け（勝ち点72、得失点差＋30）、3位パリサンジェルマンが負け（勝ち点70、得失点差＋20）となる。リヨンが初めて2位チームに勝ち点4の差をつけ、残り2節を迎えることになったのである。（続く）
