第327回 フランスリーグ終盤の争い(2) リヨン、3連覇をほぼ手中に

■引き分け以上ならば優勝の確定するリヨン

 第37節(5月15日)、第38節(5月22日)と残り2試合となったフランスリーグ。通常はテレビ中継や国内外のカップ戦との日程の調整により、9試合のうちいくつかの試合は日時をずらして行われるが、最後の2節は優勝争いだけではなく、欧州カップ出場権、降格争いがかかる確率が高いため、すべての試合が定刻の「土曜日20時」にキックオフされる。
 前回の本連載で紹介したとおり、第36節の終了時の順位は首位リヨン、2位モナコ、3位パリサンジェルマンとなっているが、リヨンの勝ち点は76、得失点差は+36、モナコは勝ち点72、得失点差+30、パリサンジェルマンは勝ち点70、得失点差+20である。すなわち、第37節でリヨンは引き分け以上ならば最終節を前に優勝を決めることができる。また、勝ち点で4の差があるモナコが優勝するためには、モナコが連勝して、リヨンが連敗しなくてはならない。勝ち点の差だけ見れば、モナコ連勝かつリヨン1分1敗、あるいはモナコ1勝1分かつリヨン連敗でも勝ち点では並ぶが、現在の得失点差を見れば逆転優勝は難しい。また、3位のパリサンジェルマンも残り2試合連勝して、リヨンが連敗すれば、リヨンと勝ち点76で並ぶが、得失点差を考えれば、優勝は絶望的である。

■数字の上では不可能なパリサンジェルマンの闘志

 その優勝が絶望的なパリサンジェルマンも第37節は今季最後のホームゲームとなった。今季もパリジャンの喜怒哀楽があふれたパルクデプランスの最後のゲストはリヨンである。数字上では優勝の可能性は少ないパリサンジェルマンであるが、今季最後のホームゲームで勝利以外の結果を残すわけにはいかない。そして引き分け以下であったならばパリジャンの聖地とも言うべきパルクデプランスでリヨンの優勝が決定してしまう。さらに、チャンピンズリーグの出場権はリーグ上位3チームに与えられるが、リーグ2位以上であれば本選からの参戦となるが、3位であれば予備戦からの出場となり、シーズン開幕直後の8月から試合を行わなくてはならない。このような状況において、パリサンジェルマンの選手、ファンのリヨン戦にかける意気込みは優勝争いとほぼ変わらぬ並々ならぬものであり、パルクデプランスには今季最高の42,502人の観衆がつめかけた。最終戦で観客動員の最高を記録するということはファンが今季のパリサンジェルマンに満足していることの表れであろう。

■ポルトガル代表パウレタの先制点を守りきったパリサンジェルマン

 一方、2位のモナコもレンヌを迎え、今季最後のホームゲームである。ファンは10日後に迫ったチャンピオンズリーグの決勝だけではなく、シーズン開幕当初から独走してきたリーグ戦でも逆転優勝を期待してはずだが、スタンドの観衆は1万人と空席が目立ついつものモナコの風景である。
 同時刻にキックオフされ、上位3チームは遠く離れたもう一つの試合経過を気にしながらの戦いとなった。リーグ終盤ならではの光景である。引き分け以上ならば優勝が決まるリヨンはアウエーゲームということも重なり、守備的布陣がセオリーであるが、予想を裏切って攻撃的な3トップでパリでの戦いに挑んだ。パリとモナコで行われた2試合の均衡を破ったのはパリサンジェルマンのポルトガル人選手パウレタであった。ボルドーに所属していた2年前は得点王をオセールのジブリル・シセと分け合い、昨季は得点王争いでモナコのシャバニ・ノンダに次ぐ2位、そしてパリサンジェルマンに移籍してきた今年こそ単独得点王を、という意気込みはあったものの、今年の得点王争いはシセが独走、2位のマルセイユのディディエ・ドログバを僅差で追っている。6分にパウレタがカウンターアタックからのクロスをゴールにたたきこんで今季17点目を決める。攻撃的布陣のリヨンは同点に追いつけず、パリサンジェルマンは地元最終戦を飾る。

■フェルナンド・モリエンテスの同点ゴールも実らぬモナコは脱落

 一方、モナコでは欧州の頂点も目指すホームチームのモナコがまさかの失点を喫する。立ち上がりから果敢に攻めたレンヌはスイス代表のCFであるアレクサンダー・フレイが9分に先制点。オフサイドとも思えるゴールであったが、主審のブルーノ・デュリアン氏はゴールを認める。モナコは失点直後の10分にチャンピオンズカップで大活躍のフェルナンド・モリエンテスが同点ゴール。リーグ戦でもその存在感を見せる。しかし、この後モナコは勝ち越し点を奪えず、逆に後半に入って58分にオリビエ・モンテルビオがPKで勝ち越し、70分にはキム・カルストロームが見事なミドルシュート、そしてロスタイムにもカルストロームが4-1となるとどめの一撃。
 この結果、首位リヨン、2位パリサンジェルマン、3位モナコとなったが、リヨンと勝ち点3差で追うパリサンジェルマンの得失点差は14点であり、リヨンは3連覇をほぼ手中にしたのである。(この項、終わり)

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