第452回 2004-05フランスリーグ・フィナーレ(2) 2位リール、3位モナコ、4位レンヌ
■タイスコアで折り返したリールとモナコ
5月28日の夜に10試合同時にキックオフされたフランスリーグ最終節、前回の本連載で紹介したとおり、ファンの関心はチャンピオンズリーグの本戦出場権がかかる2位争い、そしてUEFAカップの出場権のかかる4位争いであった。
まず、リールとモナコが競り合う2位争いであるが、勝ち点で2ポイントリードしている2位リールはアウエーでオセールと対戦、追う3位モナコはホームでサンテエチエンヌと対戦する。ともに相手も後述するUEFAカップ出場権がかかっていることもあり、見逃すことのできない試合となった。
この2つの試合で最初にゴールネットを揺らしたのはウルグアイ代表のモナコのアーネスト・チェバントンであった。開始わずか2分で先制ゴールを上げ、ファンを歓喜させる。しかし、その歓喜も長くは続かなかった。勝てばUEFAカップ出場の可能性が大きくなるサンテエチエンヌは10分に追いつく。さらにオセールでも25分に先制ゴールを決めたのはリールのピーター・オデムウィンギーであった。しかし、フランスカップの決勝に進出し、UEFAカップ出場の可能性を来週まで残すオセールも1週でも早くUEFAカップ出場枠を確保したい。28分にオセールもボナバンチュール・カルーのゴールで追いつくと言う緊迫した展開となり、両試合とも1-1の対スコアでハーフタイムを迎える。
■リールが勝ち越し、2位を確定
しかし、この均衡はオセールの試合の後半開始早々に崩れた。48分にオデムウィンギーがペナルティエリア内で倒され、リールにPKが与えられる。これをマテュー・ボドメが決め、さらに終盤にもリールは追加点を入れる。リールは最終戦の勝利により、チャンピオンズリーグの本戦出場権を獲得し、モナコは予備戦から欧州の頂点に挑戦することになったのである。
■23年ぶりの欧州カップへの復活なるか名門サンテエチエンヌ
そして4位争いはレンヌ、マルセイユ、サンテエチエンヌ、オセールが候補である。ファンの注目は名門サンテエチエンヌが久しぶりに欧州カップへ復帰なるか、という点であった。もしサンテエチエンヌがUEFAカップに出場すれば実に1983年以来のこととなる。最終節を迎える段階で6位のサンテエチエンヌはこの4位争いをしているチームの中では得失点差が+13と突出しているため、得失点差の争いになれば断然有利である。4位レンヌとの勝ち点差は3、そして5位マルセイユとの勝ち点差は2、すなわちレンヌが敗れ、マルセイユが引き分け以下ならば、サンテエチエンヌがモナコに勝てば欧州へのチケットが手に入るのである。
■負けながらも得失点差でマルセイユを上回ったレンヌ
レンヌとマルセイユの試合はこのサンテエチエンヌの欧州への復活をお膳立てするような展開となった。レンヌはアウエーでパリサンジェルマンと対戦、今シーズンはさえない成績で終わったパリサンジェルマンが地元で意地を見せ、主将を務めたパウレタが53分に先制点をあげる。そしてマルセイユはボルドーで最終戦を迎える。1990年代初めの黄金カードも色あせた感があるが、この試合は点の取り合いとなる。まず先制点はボルドー、しかしすかさずマルセイユが2点を連取し、マルセイユ1点リードでハーフタイムとなる。しかし、63分にマルセイユはPKを与えて同点となる。
残り試合時間が30分となったところで、レンヌはリードされ、マルセイユは同点、そしてサンテエチエンヌも同点という展開になる。しかもリールがすでにリードしており、自力で2位になることのできないモナコの運動量は落ちており、サンテエチエンヌの勝利は遠くないと思われた。しかし、サンテエチエンヌは惜しいチャンスを逃し、ロスタイムには決定的なチャンスもゴールに結びつけることができずにドローで終わってしまったのである。
そして、マルセイユは得失点差でレンヌに1ポイントリードされており、ボルドーの試合がドローで終わっても、レンヌが失点を重ねれば、4位を確保できる。しかし、レンヌの失点イコールパリサンジェルマンの得点であり、マルセイユのファンがパリサンジェルマンの得点を期待するはずがない。そして逆に85分にボルドーに勝ち越し点を決められる。マルセイユはロスタイムに追いつき、レンヌと勝ち点で並んだが、最少失点で耐えたレンヌにUEFAカップのチケットが与えられたのである。
このほかに5位マルセイユ、6位サンテエチエンヌ、7位ランスがインタートトカップからUEFAカップを目指すことになったのである。(続く)