第467回 フランスリーグ開幕(2) マルセイユ、まさかの開幕2連敗
■インタートトカップで好調なマルセイユ
シーズン開幕前のインタートトカップでは準決勝進出を決めた名門マルセイユ。7月 下旬の準決勝ではイタリアのラツィオとローマで対戦、アウエーゲームで1-1のドロー に持ち込み、リーグ戦開幕前に幸先のよい結果となった。このラツィオとのインタート トカップでは日本のファンの関心の高い中田浩二は試合に出場せず、おそらく中田はジ ャン・フェルナンデス監督の構想ではリーグ戦要員としての評価を得ているのであろう 。
■マルセイユの黄金時代の最大のライバル・ボルドー
さて、リーグ戦の開幕戦の相手はボルドーである。マルセイユが4連覇を果たした1980年代後半から1990年代初めにかけて最大のライバルはボルドーであり、当時はこのマルセイユ-ボルドー戦がフランスリーグの看板カードであった。しかし、マルセイユが八百長疑惑でタイトルを剥奪され、2部降格という制裁を受けたのと同様、ボルドーも財政的な問題により2部降格というペナルティが与えられている。奇しくも映画を誇った両チームは1990年代半ばに2部降格という処分を受けているのである。さすがに処分の直前まで強豪であったチームも2部落ちになれば戦力は大幅にダウンする。唯一両チームが光を放ったのは自国開催のワールドカップの直後のシーズンである1998-99シーズン、このシーズンはマルセイユとボルドーが首位争いを演じ、結局最終戦の劇的なゴールでボルドーが優勝し、マルセイユが2位となったのである。しかしながら、それ以来、両チームが優勝争いをすることはなかった。昨シーズンもマルセイユは5位に入ったものの、ボルドーは15位という成績に終わっている。
インタートトカップの日程により金曜日の繰上げ開幕戦をパリサンジェルマンに譲ったマルセイユであるが、人気カードということで土曜日の夕方17時15分にこの試合はキックオフされることになった。マルセイユは開幕戦にボルドーを迎え、快勝して弾みをつけるだろうとベロドロームに集まった5万人を超える超満員のファンは期待していた。一方のボルドーは巻き返しを図るため、今シーズンから新監督を迎える。ボルドーの新たな指揮官はちょうどマルセイユとボルドーがリーグの派遣を争っていた頃にパリサンジェルマンに所属していたブラジル代表経験もあるリカルド・ゴメスである。リカルド・ゴメスにとってボルドー、そしてマルセイユは順位表の上位2チーム。ほぼ10年ぶりにフランスに戻ってきたリカルド・ゴメスにとってこのカードが首位攻防戦でないというのは信じられない事実であろう。
■メンバーがそろわず動きの悪いマルセイユは完敗
そして試合は予想もしない展開となった。ウィルソン・オルマとママドゥー・オルマが出場停止であるのに加え、リーグ戦に照準を向けているかと思われた中田の姿も見当たらない。メンバーを欠く上に、炎天下と移動を伴うインタートトカップでの強行日程がたたったのかマルセイユのイレブンの動きが鈍い。16分にはボルドーのジュリアン・フォーベールに先制点を許す。体の動かないマルセイユは不用意なタックルを次々と犯し、イエローカードが次々にマルセイユの選手に突きつけられ、後半に入ってまもなく、主将のフレデリック・デウーが得点機を阻止したとしてレッドカードを受け、マルセイユは守備の要を失うことになった。マルセイユは終盤にも得点を許し、0-2というスコアで地元での開幕戦を落としてしまったのである。
■インタートトカップのライバル・ランスにも敗れ、連敗スタート
まさかの開幕戦敗戦のマルセイユはその4日後はラツィオをベロドロームに迎え、見違えるような動きを見せて3-0と一蹴、インタートトカップ決勝進出を決める。しかし、その3日後の8月6日、マルセイユはランスに移動して第2節を迎える。ランスもインタートトカップでドイツのボルフスブルグを破って決勝に進出、リーグ開幕戦ではナントに0-2で敗れており、マルセイユと同じような状況で第2節を迎える。
この試合でもマルセイユは元気なく、0-2と敗れてしまう。リーグ2試合で無得点4失点というマルセイユは最下位に沈む。結果的にはインタートトカップでの疲労が重くのしかかった。
マルセイユがシーズン開幕戦を譲ったライバルであるパリサンジェルマンは第2節もソショーで勝利し、連勝スタート。フランスを二分する人気チームは早くも明暗が分かれたのである。(この項、終わり)