第510回 リヨンが独走するリーグ戦(2) 驚異的な強さを誇るリヨン
■前半戦最終戦の相手は欧州カップで活躍するリール
開幕以来13勝5分という驚異的な成績で2005-06シーズンのフランスリーグを独走するリヨン。シーズン折り返しとなる前半戦の最後の戦いは12月16日にリールをジェルラン競技場に迎えて行われた。
リールは昨年のリーグ2位であるが今季はリーグ戦8位と中位に低迷している。しかし、欧州カップでは健闘しており、チャンピオンズリーグのグループリーグに出場、グループリーグで3位となりUEFAカップの決勝トーナメントに駒を進めている。欧州でライバルと言う関係だけではなく、この両地域は近年、日本企業の誘致合戦でも激しい火花を散らしている。昨年11月のロベール・モリーの訪日時はベルナール・ラマナンスー、ジャック・グラブローという従来のビッグネームに代わる存在として新鮮な印象を与え、同時期に開催されたエデュ・フランスのフェアが完全にかすんだ結果となった。
リールもチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに進出できなかったとはいえ、マンチェスター・ユナイテッドとの直接対決の成績で上回り3位に入っており、この自信を国内のリーグやカップ戦、そして年明けからのUEFAカップに持ち込みたいところである。一方のリヨンは開幕以来負け無し、このリール戦に負けなければ無敗で折り返すこととなる。2005年最後の試合となるリーグ戦第19節のリヨン-リール戦は12月16日、リヨンの本拠地ジェルラン競技場で行われた。
■リヨンのイレブンに動揺を与えたチャンピオンズリーグの組み合わせ抽選
この日の昼間、両チームのイレブンに影響を与えるイベントがスイスのニヨンであった。それはチャンピオンズリーグならびにUEFAカップの決勝トーナメントの組み合わせ抽選会である。リールはウクライナのシャフタル・ドネツクと対戦する。そしてリヨンはオランダのPSV アイントホーヘンと対戦することになった。本連載第438回と第440回で紹介したとおり、昨季のチャンピオンズリーグ準々決勝でリヨンはPSV アイントホーヘンと対戦し、2試合とも1-1のタイスコアでフィリップススタジアムでの延長戦でもお互い譲らず、PK戦でリヨンが涙を飲んだという因縁の相手である。
■リヨン、本拠地でまさかの敗戦
このドローの結果がリヨンの関係者に動揺を与えたのであろう、リヨンは2005年の最終戦は全くリヨンらしくない戦いを露呈してしまった。一方のリールは強豪との対戦を避けることとなり、リラックスした雰囲気で前半戦の最終戦を迎えた。試合は今季まだアウエーゲームでは1勝しかしていないリールが9分に先制点をあげ、リードして折り返す。後半に入っても61分に追加点をあげる。リヨンも69分にシドニー・ゴブーの個人技による突破から1点を返すが、その直後にリールは3点目をあげてリヨンを突き放す。結局終わってみれば3-1とリヨンの守備網を崩したリールが圧勝する。
リヨンは2005年最後の試合を白星で飾ることができなかったばかりか、前半戦無敗という記録も逃した。リヨンが負けたのは4月17日のパリサンジェルマン戦以来8か月ぶりのことである。また、リヨンが3点以上取られたのは2004年1月までさかのぼらなくてはならない。
■五連覇だけではなくさまざまな記録にチャレンジするリヨン
リヨンの連続試合無敗記録は26でストップ(フランス記録は1994年から1995年にかけてのナント)してしまったが、リヨンは前人未到の五連覇に向けて磐石である。後半戦が再開した1月4日のストラスブール戦はアウエーでありながら4-0の大勝、勝ち点を50に伸ばし、1試合当たり平均勝ち点は2.5となり、従来のフランス記録である1969-70シーズンのサンテエチエンヌの2.38(勝利の場合の勝ち点を3に換算)を上回る。2位ボルドーとの勝ち点差は実に14となり、これまでのリーグ優勝チームでシーズン終了時の2位との勝ち点差が一番大きかったのは1996-97シーズンのモナコと昨季のリヨンであるが、その時の勝ち点差は12であり、リヨンはシーズン半ばにしてこれまでの記録をすでに上回っている。このような驚異的な記録にリヨンは挑んでいる。
さらに、欧州でのタイトルにもリヨンは挑戦しているが、実はリール戦に敗れるまで欧州の五大リーグ(イングランド、スペイン、イタリア、ドイツ、フランス)の中で、シーズン開始以来無敗というのはリヨンだけであった。国内でさまざまな記録を書き換えることとともに、欧州での頂点も極めて欲しいものである。(続く)