第595回 2006-07フランスリーグ開幕(3) 好発進した昇格3チーム
■いずれも1部復帰となったバランシエンヌ、スダン、ロリアン
これまでの本連載ではリーグ6連覇を目指すリヨンを中心に紹介してきたが、シーズン開幕となると注目を集めるのが2部からの昇格組である。今季2部から昇格してきたのはバランシエンヌ、スダン、ロリアンの3チームである。いずれのチームも過去に1部リーグでプレーしたことがある。
バランシエンヌについては本連載第553回で紹介したとおり、1992年に1部に復帰したが、低迷し1シーズン限りで2部に降格、しかもマルセイユとの八百長事件に巻き込まれ、大量に選手が流出し、一時は4部リーグに相当するCFA(フランスアマチュアリーグ)にまで後退したが、日本の大手スポンサーの支援を受けて見事よみがえり、1部復帰を果たしている。
スダンは古豪であるが、1974年に2部に陥落して以来、長い沈黙を保っていた。そのスダンが1部に復帰したのは1999年のことである。復帰初年は終始上位をキープし続け7位という成績を残す。2000-01シーズンも5位と好成績を残すが、2001-02シーズンは14位と低迷し、2002-03シーズンは19位となって4シーズンで1部から陥落してしまう。2部では3シーズンを過ごしたが、2003-04シーズンは5位、2004-05シーズンは6位と一歩とどかず、ついに2005-06シーズンは2位になって復帰を果たしたのである。
バランシエンヌもスダンもこれまで20シーズン以上1部で戦った経験があるが、昨季2部で3位となったロリアンはこれまでに2季しか1部での経験がない。まず1998-99シーズンに初めて1部でプレーしたが、16位で1シーズン限りで2部降格、2001-02シーズンにも2度目の1部での機会を得たが、このときも18位で2部に降格、すなわち1部に残留したことがなく、3度目の今季こそ1部に残留をしたいものである。
■オセールとアウエーで引き分けた負傷者続出のバランシエンヌ
この3チームの1部復帰初戦はいずれも強敵相手となった。まず、バランシエンヌはオセールとアウエーで対戦した。オセールについては日本の中田浩二が所属するスイスのバーゼルと練習試合で敗れていることから日本の読者の皆様はよくご存知であろう。すでにインタートトカップにも参戦し、チーム状態は仕上がっている。一方のバランシエンヌであるが、数多くの負傷者を抱え、プロと名のつく選手は18人しかいない。さらにそのうちの数人はプロの試合の出場経験がなく、戦力的には見劣りする。ところがこの13年ぶりの1部での試合、先制点を奪ったのはバランシエンヌであった。前半終了間際に先制し、後半開始早々に追いつかれたバランシエンヌであったが、オセール相手に見事にアウエーで引き分けるという幸先のよいスタートを切ったのである。
実はバランシエンヌは昨年2部に昇格した際も開幕戦でも、多くの負傷者を抱え、試合のメンバー表には15人しか名前を記入できなかった。しかし、ディジョンに2-1と勝ち、わずか1シーズンで2部を通過するという偉業の第一歩となったのである。
■パリジャンを驚かせたロリアン
そしてロリアンもパリサンジェルマンとアウエーで対戦した。ツール・ド・フランスも終わればバカンスも終了、パリジャンはパリに戻ってきている。3万6000人の観衆の前でパリサンジェルマンは昇格したばかりのチームと対戦し、絶好のスタートダッシュとなるはずだった。先制点はパリサンジェルマンであったが、かつてパリサンジェルマンで活躍し、今季マルセイユから移籍してきたファブリス・フィオレーズのゴールでロリアンが追いつく。前半のロスタイムにパリサンジェルマンは勝ち越すが、後半に入って54分に再びフィオレーズが同点ゴール。そして75分にはロリアンと入れ替わって2部に降格したアジャクシオからロリアンに移籍してきたラフィク・サイフィが決勝ゴール、ロリアンは首都のビッグクラブ相手に見事に勝利したのである。
■マルセイユと引き分けたスダン
日曜日に登場したのがスダンである。スダンにマルセイユを迎える。マルセイユのみならずスダンのファンにとってお目当てのフランク・リベリーはワールドカップ休暇ということで出場しなかったが、いきなり開幕戦でビッグクラブを迎えるスダンも気合十分、試合は両者譲らずスコアレスドローとなった。
このように昇格した3チームがいずれも強豪と開幕戦で対戦し、1勝2分というのは上々の成績であり、フランスリーグの見所はリヨンの6連覇だけではないようである。(この項、終わり)