第628回 ダービーマッチ、リヨン-サンテエチエンヌ戦(1) 久々の上位同士の対戦

■今季も好調なリヨン

 前回まで紹介したように、10月の初旬には代表チームの欧州選手権予選が2試合行われたため、フランスリーグは10月の上旬は試合が行われなかった。リーグ中断前の第8節は9月30日ならびに10月1日に行われ、この段階で首位はこのところリーグ戦5連覇を果たし国内で無敵のリヨンがトゥールーズに引き分けただけで7勝1分と圧倒的な力を見せ、首位を走っている。

■10月下旬は難敵相手に5試合

 しかし、そのリヨンも10月下旬には厳しい相手が続く。まずリーグについては再開後初戦の14日は4位のサンテエチエンヌ(ホーム)、22日には2位のマルセイユ(アウエー)、29日には3位のナンシー(ホーム)と上位陣と軒並み対戦する日程となっている。そしてチャンピオンズリーグでは17日にウクライナのディナモ・キエフとアウエーで対戦、さらに25日にはリーグカップでパリサンジェルマンとホームで対戦することになっている。すなわち10月の最初の2週間には試合がなかったリヨンは、残りの2週間で5試合行い、いずれも気の抜けない相手ばかりであり、まさにレッド・オクトーバーである。

■ダービーマッチで久々の勝利を目指すサンテエチエンヌ

 そのリヨンの10月の戦いの最初の相手がローヌ・アルプ地方のライバルであるサンテエチエンヌである。フランスでもサッカーが盛んなこの地方の両チームのダービーマッチはこれまでに1部リーグで80回行われ、さまざまな歴史を刻んできた。しかし、サンテエチエンヌは1970年代の支え、その後は低迷、1990年代には2部に降格している。一方、リヨンは名門チームであるが、1980年代には2部に低迷、1990年代も1部リーグの中位チームであり、首位争いをするようになったのは今世紀になってからである。すなわち、両チームがリーグの雌雄を決するような状況で対戦したことは意外と少ないのである。サンテエチエンヌは2004-05シーズンに1部に復帰したが、今年の春には0-4と大敗を喫するなど過去2年間は一方的な試合で敗れている。
 ところが今シーズンはリヨンは相変わらず首位をキープしているがサンテエチエンヌも今季は4位をキープしている。長い歴史の中で両チームのうちいずれかが首位でもう一方が5位以内というのは1980年の秋、首位サンテエチエンヌが3位のリヨンの本拠地に乗り込んで1-1の引き分けに終わった試合以来、実に26年ぶりのことである。サンテエチエンヌの好調さはなんと言っても名指揮官イワン・ハシェックを神戸から迎えたことであろう。ハシェックの指導を受けた神戸も1部昇格圏内にあることから、日本の皆様もハシェックの能力をよくご存知のことであろう。ここまで4勝2分2敗、リヨンに勝てば来季のチャンピオンズリーグも見えてくる。
 そのサンテエチエンヌが最後にリヨンに勝ったのは1994年4月6日のホームゲームであり、さらに敵地ジェルランで勝利をあげたのはその前年の1993年2月26日までさかのぼることになり、サンテエチエンヌは14シーズンぶりのリヨンでの勝利を虎視眈々と狙っている。

■迎え撃つスター集団リヨン

 一方、迎え撃つリヨンは国内外の代表選手を大量に抱えている。ワールドカップ以降にフランス代表に招集された選手だけで8人、ワールドカップに出場した他国の代表選手を数えても、ブラジル代表3人、スウェーデン代表1人、ポルトガル代表1人、スイス代表1人とスター集団である。
 14日のダービーマッチのリヨンの先発メンバーはスターの名前が揃ったが、2人だけ例外があった。まずGKはレミー・ベルクートル、通常ならばグレゴリー・クーペであるが、スコットランド戦で負傷したため、フェロー諸島戦のメンバーから外れている。ダービーマッチに備えてフェロー諸島戦に出場しなかったのではないかという情報もあったが、ベンチからも外れている。そしてもう1人はCFのカリム・バンザマ、わずか18歳でビッグクラブ、リヨンのCFを務めているのである。(続く)

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