第844回 2007-08フランスリーグ・フィナーレ(1) 勝ち点2差で最終節を迎えるリヨンとボルドー
■6年ぶりに優勝チームが決まらず迎える最終節
前回までフランス・サッカーの危機について紹介してきたが、昨年の8月から始まったフランスリーグもいよいよ最終節を残すのみとなった。
本連載では開幕直後の第748回と第749回でフランスリーグを取り上げ、リヨンの7連覇なるか、そしてリヨンの独走を阻止するチームはあるか、というところを今季の見所としてきた。リヨンは開幕直後はつまずいたが、立ち直り、第11節にナンシーに代わって首位に立った。初優勝の年以外は、最終戦を待たずして優勝を決めてきたリヨンであるが、今季は最終節まで優勝はお預けとなっている。
■ナンシーを交わして首位に立ったリヨン
シーズンの前半戦はナンシーとリヨンの争いであった。ナンシーは開幕直後から好調であり、ルマンとともに開幕3連勝を果たし、その後単独首位に立っている。リヨンも第8節に首位に立ったが、すかさずナンシーが首位を奪回する。そしてリヨンは第11節に首位に返り咲き、その後は首位を堅持する。そしてそのリヨンを追う2位を保っていたのがナンシーである。リヨンとナンシーの直接対決はなかなか訪れず、前半戦最後の第19節にナンシーで対戦する。ホームのナンシーが勝てば勝ち点1差に迫って越年することになる。この試合でリヨンは80分に先制、ナンシーも87分に追いつくが、同点どまりで両チームの勝ち点差4で前半戦を終了する。後半戦最初の第20節でリヨンがトゥールーズに3-2と競り勝ったのに対して、ナンシーはカーンとスコアレスドローとなり、リヨンとナンシーの勝ち点差は6と開き、今季もここでリヨンの独走になるかと思われていた。
■後半戦に2位に浮上したボルドー
この20節で勝利して勝ち点でナンシーに並んだのがボルドーであった。続く第21節では1月19日に行われたルマン-ボルドー戦でボルドーが勝利したが、その翌日に行われたニース-ナンシー戦でナンシーは敗れ、ここでナンシーは脱落し、後半戦はリヨンをボルドーが追走すると言う構図になった。
欧州カップ戦ではリヨンはチャンピオンズリーグ、ボルドーはUEFAカップの決勝トーナメントに進出している。この模様については本連載で紹介したとおりであり、両チームとも決勝トーナメント1回戦で敗退している。しかし、このホームアンドアウエー方式で行われた1回戦2試合の間の試合がキーポイントとなった。
まず、ボルドーは2月13日にアウエーでアンデルレヒト(ベルギー)に敗れた直後の17日のリーグ戦第25節ではモナコのアウエーで6-0と大勝し、首位のリヨンと勝ち点差わずか1に肉薄する。
追われる立場のリヨンは、ボルドーに勝ち点1差に迫られた直後にマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)とホームで対戦し、引き分けに終わる。そしてマンチェスターでの第2戦までにリーグ戦を2試合戦い、連勝する。リヨンは3月4日のマンチェスターの試合で敗れ、欧州カップから去り、ボルドー同様リヨンも国内タイトルに専念しなくてはならなくなった。そして、その直後の3月9日に国内で対戦する相手が2位のボルドーであった。
第28節のこの試合を迎える段階で両チームの勝ち点の差は3、ボルドーにとってはアウエーゲームとはいえ、チャンピオンズリーグで今年も不本意な成績に終わって意気消沈するリヨンに勝てば勝ち点で並ぶことになる。後半戦の成績はボルドーは6勝1分1敗であり、5勝1分2敗のリヨンを上回る勢いである。このようにボルドーの勝利も期待されたが、リヨンは常に先手を取る展開で4-2と勝利し、勝ち点の差を6に拡げる。勢いに乗ったリヨンは3月のリーグ戦は全勝し、リーグ戦6連勝を記録し、4月を迎える段階で2位ボルドーとの勝ち点差は9になったのである。
■4月以降調子を崩したリヨンにボルドーが再び追撃
残り試合が7試合で勝ち点差が9ということで、リヨンの7連覇は確実と思われたが、4月になって最初の試合の相手はマルセイユ、1993年のリーグ5連覇を最後に国内外のタイトルから遠ざかっているが、本拠地で3-1と快勝し、リヨンの連勝を止める。そしてリヨンはこの試合で調子を落とし、4月以降のリーグ戦でのリヨンの戦績は2勝3分1敗、一方のボルドーは5勝1分、両チームの勝ち点差はわずか2となり、最終節を迎えるのである。(続く)