第847回 2007-08フランスリーグ・フィナーレ(4) リヨン、輝く7連覇を達成
■下位チームとアウエーで戦うリヨンとボルドー
今年のフランスリーグ久しぶりに最終節まで優勝争いがもつれ込んだ。優勝候補筆頭のリヨンは首位には立っているものの、開幕直後と4月以降の成績が振るわず、2位のボルドーとは勝ち点2差で最終戦を迎える。一方のボルドーは後半戦の成績は好調で、特に4月以降のリーグ戦の成績は5勝1分、逆転優勝に期待がかかる。
最終節は10試合が同時にキックオフ、優勝争いをする2チームはいずれもアウエーゲームであり、リヨンはオセールと対戦、ボルドーはランスでの試合となる。オセールは15位、ランスは18位といずれも今季の成績は振るわないが、決して侮れない相手である。
■意地を見せるかオセール、残留をかけるランス
まず、オセールはリヨンの6連覇中の間でリヨンに次いでもっとも良い成績を残しているチームである。昨年のリヨンの優勝はリヨンの試合のなかった土曜日に2位のトゥールーズが敗れて優勝が転がり込んできたが、その翌日にリヨンはオセールと対戦しているが、オセールはスコアレスドローに持ち込んでいる。オセールは、昨年は目の前での優勝シーンを回避することができたが、今季は目の前での胴上げを見せつけられる可能性があり、意地を見せたいところである。
そして一方のランスは、リヨンが初めて優勝した2001-02シーズンの最終節で優勝をかけて直接対決したチームである。その後もコンスタントに上位に入り、欧州カップでも活躍してきた。しかしながら、今季は前回の本連載で紹介したとおり、終盤に崩れ、18位と降格圏内にある。したがって、ボルドーは下位とはいえ、降格から何とか逃れようとするチームと戦わなくてはならないのである。
■開始24秒後のカリム・ベンゼマの先制点
リヨンは勝てば優勝、引き分けでも得失点差で8点上回っており、優位に立つ。さらにオセールではここ数年負けはないというデータはあるが、何が起こるかわからないのがサッカーである。その不安を拭い去ったのが開始24秒のカリム・ベンゼマのゴールである。ベンゼマはフレッドとの見事なコンビプレーで先制点を入れる。リヨンの初優勝のときはまだ14歳であった弱冠20歳のベンゼマがリヨンの7連覇を引き寄せる。その後も10分にフレッドが追加点を上げる。開始10分でリヨンは2点をリードし、このリードを保ったままハーフタイムを迎える。
一方のボルドーはランスでの戦いに苦労する。何とか降格を逃れたいランスは試合開始から積極的に攻撃を仕掛ける。得点こそ許さなかったが、前半のボルドーはランスのシュートを数多く浴びてしまう。そして攻撃面でも33分に今シーズン大ブレイクしたフェルナンド・カベナギがゴールネットを揺らしたが、オフサイドの判定でノーゴール。ボルドーとランスは両チーム無得点で前半を終える。
■リヨン勝利で7連覇、ボルドーはドローに終わる
ボルドーに残された時間は45分、そしてオセールが2点差を逆転する条件も重なる。オセールでは後半に入って、リヨンがますます勢いづく。53分にはキム・カールストロームが3点目をあげて、リードを広げる。前半無得点のボルドーにとっては、さらに厳しい試合となった。
後半のボルドーは攻勢に転じ、この試合初の得点を記録したのは前半にゴールを取り消されたカベナギであった。マテュー・シャルメからのクロスを得点に結びつけ、ようやく先制点をあげる。
先制点をあげられて、まず反応したのは目の前のランスであった。ランスにとってこの試合の敗戦は2部降格を意味する。フェリックス・ボラール競技場を埋め尽くした4万人のファンのためにも負けるわけには行かない。失点した3分後にはラザック・ブカリが倒されて得たPKをオリビエ・モンテルビオが冷静に決めて同点に追いつく。
78分にはオセールのフレデリック・トマがようやく反撃の1得点をあげ、リヨンに2点差に迫る。このオセールのゴールがボルドーを奮起させたのか、ボルドーはダビッド・ベリヨンが81分に勝ち越しゴールを上げるが、またもやランスの反撃にあう。84分に昨年暮れにオセールからランスへ移籍してきたトワフィル・マウリダの見事な同点ゴールでボルドーは追いつかれる。
結局、リヨンは3-1でオセールを下す。もたつきながらも7連覇を達成、自身の持つ記録を更新するとともに、今年はフランスカップとの二冠という大きな目標にも挑戦するのである。(続く)