第877回 2008-09フランスリーグ開幕(1) 欧州組のレンヌ-マルセイユ戦はドロー

■北京オリンピック開会式と重なったリーグ開幕

 北京オリンピックで世界の耳目がアジアに集まっている中で、フランスリーグが開幕した。第1節は8月に入って2回目の週末に行われた。8月9日の土曜日の早朝にはオリンピックの開会式が行われ、その日の夜にフランスリーグが開幕した。
 フランスリーグは2部から新たにルアーブル、ナント、グルノーブルを迎え、今季も20チームで争われる。注目の的はリヨンが連覇記録をどこまで伸ばすか、そしてそのリヨンを阻止するチームが現れるか、というところでリヨン中心の展開となる。リーグ開幕は8月9日であり、10試合中9試合がこの日に行われたが、試合開始時刻は19時ではなく21時に設定された。これは北京オリンピックの影響を受けての時刻変更であろう。

■欧州カップに出場するマルセイユとレンヌが激突

 開幕戦の注目カードはいくつがあるが、欧州カップに出場するチーム同士の対戦が1試合だけある。それが、昨季リーグ3位でチャンピオンズリーグの予備戦に出場するマルセイユと、昨季6位でインタートトカップに出場したレンヌの対戦である。レンヌは本連載第873回で紹介したとおり、ウクライナのタブリア・シンフェロポリにPK戦で勝利し、UEFAカップへの出場権を獲得している。マルセイユは今季の移籍市場で選手の放出・獲得ともフランス国内では有数の移籍を行っている。まず、サミール・ナスリをイングランドのアーセナルに譲っており、その一方でリヨンからハテム・ベンアルファを獲得している。また、レンヌはガーナ代表のジョン・メンサーをリヨンに放出し、同じガーナ代表のジャン・アサモアをイタリアのウディネーゼから獲得しており、両チームとも大型トレードを行って新シーズンに臨む。

■ナイジェリアのタイエ・タイウォの北京行きを止めたマルセイユ

 さらに注目すべきはマルセイユのタイトル獲得にかける執念である。おりしも北京オリンピックと重なり、フランスは出場しないが、フランスリーグから10数人の選手が他国の代表としてオリンピックにすることになった。マルセイユからはナイジェリア代表のタイエ・タイウォが、レンヌからはカメルーン代表にステファン・ムビアがそれぞれ選出された。しかし、レンヌのムビアは北京に向かったものの、マルセイユはタイウォのオリンピック参加に待ったをかけ、タイウォは所属チームでの活動に専念することになり、開幕戦であるレンヌ戦にもタイウォはストッパーとして先発メンバーに名を連ねた。

■ロスタイムに3点、4-4のドロー

 昨季の成績だけではなく、オリンピックへの選手の拠出に関する態度の違いからも、マルセイユとレンヌの試合は注目を集め、レンヌのロリアン通り競技場には3万人近くのファンが詰め掛けたばかりか、8月20日のスウェーデンとの親善試合を控えたフランス代表のレイモン・ドメネク監督の姿も見える。そしてファンの期待に反しない試合になった。まず先制点は6分にレンヌがあげる。しかし、17年ぶりのタイトルを狙うマルセイユは12分に同点に追いつき、14分に新加入のベンアルファのゴールで逆転する。さらに28分には3点目を上げて差を広げ、前半を終える。
 後半に入ると51分にレンヌが得点を上げて1点差に詰め寄る。そしてその後は長い間得点は生まれず、ロスタイムの表示が4分と掲示される。そこからの展開がスリリングであった。ロスタイムに入ってまもなく、レンヌのパジスがシュート、このシュートを次期代表正GKの候補であるスティーブ・マンダンダがミスして失点し、試合は同点になる。ところが、追いつかれたマルセイユが反撃に転じ、欧州選手権のメンバーから外れたが、代表復帰を目指すジブリル・シセが92分にアシストし、エリオット・グランダンがゴールを決める。しかし、レンヌも負けてはいない。94分に代表入りを目指すロッド・ファンニがセンタリングし、主将で元フランス代表のブルーノ・シェイルーがヘッドで得点を上げて、レンヌは再び追いつき、試合は4-4というハイスコアのドローゲームとなったのである。(続く)

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