第963回 リヨン、首位の座から陥落(1) 暫定首位になったボルドーとマルセイユ
■勝ち点6差に6チームがひしめいた前半戦終了時
年が明けてから本連載ではフランスカップ、リーグカップ、フランス代表の国際試合、チャンピオンズリーグ、UEFAカップについて紹介してきたが、今回からは終盤を迎えたフランスリーグを取り上げたい。フランスリーグについては第920回と第921回で「前半戦の首位、秋の王者」と題して前半戦終了時の状況を報告して以来の紹介となる。
フランスリーグは年末年始の中断がちょうど折り返し点となり、前半戦の首位はリヨンであり、5年連続の秋の王者となった。しかし、リヨンの戦績は11勝5分3敗の勝ち点38であり、2位ボルドー(10勝5分4敗、35)とはわずか勝ち点の差は3であった。さらに3位レンヌは勝ち点34、4位パリサンジェルマンは勝ち点33、5位マルセイユと6位リールは勝ち点32と勝ち点6差に6チームがひしめき、このところのリヨンが独走する勢いはなくなったようである。
■リヨンにとってターニングポイントとなったリールとの連戦
そして後半戦はリヨンが3月以降失速した。後半戦のリヨンの成績を振り返ると、1月は1勝2分(2月1日の第22節は1月分にカウント)、2月は3勝1分(3月1日の第26節は1月分にカウント)と無敗を続け、首位の座をキープしてきた。
リヨンにとってターニングポイントとなったのが3月4日のフランスカップベスト8決定戦のリール戦である。敵地リールで行われた試合は、ドラマチックな試合展開となった。22分にリールが先制するがリヨンもすかさず24分に追いつく。そして前半終了間際の44分にリールが勝ち越すが、リヨンはその3分後、前半のロスタイムに追いつく。そして後半も残り少なくなりロスタイムの表示は4分、延長戦かと思われたが、93分にリールのニコラ・フォーベルグに決勝点を奪われ、リヨンのイレブンは地に伏したのである。この試合は大きな意味があった。実はリールとリヨンはその3日後にリーグ戦でも対戦したのである。3月7日にスタッド・ド・フランス(リールのホームゲーム)で行われたリーグ戦のリール-リヨン戦ではリヨンは元気なく、0-2と敗れてしまったのである。
■リーグ戦で連敗、ホームのリーグ戦で2季ぶりの黒星
リールでの連敗が尾を引き、3月11日のチャンピオンズリーグのバルセロナ(スペイン)戦は本連載の第944回と第945回で紹介したとおり大敗する。さらに3月15日のリーグ戦第28節のオセール戦はホームの戦いであるにもかかわらず、リヨンは0-2と敗れてしまったのである。リヨンのホームでのリーグ戦の敗戦は2007年11月以来のことである。リヨンはリーグ戦連敗、そしてその他のタイトルも含めると4連敗と泥沼にはまってしまったのである。本連載第958回で紹介したとおり、リヨンの試合は昼間に行われ、同日の夜には勝ち点1差で2位のパリサンジェルマンがホームにマルセイユを迎えることになっていた。このパリの試合でパリサンジェルマンが勝利すれば、リヨンが首位から転落することになったが、マルセイユが勝利し、リヨンはかろうじて首位の座を守ったのである。
■ボルドー、マルセイユ、立て続けに暫定首位に
次節、すなわち3月21日と22日に行われた第29節でもリヨンは再び首位陥落のピンチを迎えた。第29節を迎える段階で首位リヨンの勝ち点は53、2位マルセイユと3位パリサンジェルマンが勝ち点52、4位ボルドーが勝ち点50と4位までのチームに首位の可能性があった。くしくもこれら4チームは別々の時間にキックオフを迎えた。最初にキックオフを向かえたのが4位ボルドー、21日19時にアウエーでルアーブルと対戦する。ボルドーは最下位のチーム相手に3-0と完勝し、勝ち点でリヨンと並び、得失点差で上回ったため、暫定首位となったのである。
ボルドーが勝利の雄たけびを上げた直後の21時にマルセイユはホームでナントと対戦する。16位と下位を低迷するナント相手にマルセイユも2-0と勝利し、丸し絵湯は勝ち点を55に伸ばし、ボルドーは首位の座を2時間で明け渡したのである。
そして一夜明けて日曜日の22日、17時にリヨンはソショーを迎える。ソショーも17位と不振であり、リヨンは危なげなく2-0とソショーを下し、ボルドー、マルセイユに立て続けに奪われた首位の座を一日で奪還したのである。(続く)