第975回 2008-09フランスリーグ・フィナーレ(5) 11連勝のボルドー、10年ぶり6回目の優勝

■マルセイユの逆転優勝の可能性

 いよいよフランスリーグは最終節を迎えた。昨年までリーグ7連覇を果たしたリヨンが脱落し、ボルドーとマルセイユに優勝の行方は絞られた。優勝決定の条件は簡単である。マルセイユが勝ち、ボルドーが敗れた場合はマルセイユが優勝、それ以外のケースはすべてボルドーの優勝となる。ボルドーの有利は動かないが、気になるのは対戦場所と試合の相手である。首位ボルドーは残留争いの渦中にあるカーンとアウエーで戦い、ホームで最終戦を迎えるマルセイユはヨーロッパカップ出場を狙うレンヌと対戦する。地元ファンの前で残留を決めたいカーンが勝利し、マルセイユがホームで勝利する可能性は少ないとはいえないであろう。より簡単に言えば、2試合ともホームチームが勝利すれば、マルセイユが逆転優勝を果たすのである。

■モチベーションがさらに高まったレンヌとカーン

 両チーム同時にキックオフされたが、前半は両チームともゴールをあげることができない。そしてまたゴールを許すこともなく、前半を終了した時点でカーン-ボルドー戦もマルセイユ-レンヌ戦も0-0というスコアである。このままのスコアで残り45分が過ぎれば、ボルドーの優勝である。
 気になる他の試合であるが、レンヌのライバルの4位トゥールーズは3位リヨン相手に0-0、5位パリサンジェルマンも12位モナコ相手に0-0と1位チームから6位チームまでが同じスコアでハーフタイムを迎えた。そして7位リールはナンシー相手に2-1とリードしている。前半終了時のスコアのままだと、4位トゥールーズ(勝ち点64、得失点差+18)、5位リール(64、+12)、6位パリサンジェルマン(64、+11)、7位レンヌ(62、+12)となり、レンヌはヨーロッパカップを逃してしまう。フランスカップ決勝で逃した欧州行きのチケットをリーグ戦でも最終戦で逃してしなうことになる。
 一方のボルドーを迎えるカーンの最大のライバルは同勝ち点(最終節を迎える段階で37)のサンテエチエンヌである。カーンの得失点差が-6であるのに対し、サンテエチエンヌは-20と大きくリードしているため、サンテエチエンヌが降格圏内の18位である。しかしサンテエチエンヌは前半を終了した段階でバランシエンヌを1-0とリードしている。カーンもまた残留のために勝利が必要である。

■後半に入り、ボルドー、マルセイユともゴールを奪う

 すなわち、ボルドーとマルセイユの相手はますますモチベーションが高くなった状態で最後の45分を迎えたのである。そして後半開始早々に、試合が動いたのがカーンのミッシェル・ドルナノ競技場であった。48分にヨアン・グルクフがFKを蹴り、ペナルティスポット付近のヨアン・グフランのヘッドに合わせる。グフランのヘディングシュートはカーンのゴールに吸い込まれる。これでボルドーが優勝に近づく。
 このボルドーのゴールがマルセイユにも伝わったのであろうか、ここまでノーゴールだったマルセイユは突如ゴールラッシュを迎える。51分にブルーノ・シェイルーのロングパスを受けたバカリ・コネがようやく先制点を挙げる。57分にはママドゥ・ニアンが追加点、さらに58分には相手のオウンゴールでリードを広げる。そして77分には再びニアンが得点をあげて4-0と圧倒的なリードを奪う。

■ボルドー、1点を守りきり10年ぶりの優勝

 しかし、ボルドーが負けなくてはマルセイユの優勝はない。ボルドーは敵地で何とか残留しようと言うカーンを振り切り1-0で勝利する。この結果、ボルドーはリーグ戦終盤に11連勝と言う破竹の進撃を続け、1998-99シーズン以来10年ぶり6回目の優勝を果たしたのである。
 そして、サンテエチエンヌが勝利したため、同時にカーンの2部降格が決まった。この試合、唯一のゴールを決めたグフランは昨季まではカーンに6年間所属しており、自分の所属しているチームの優勝と自分を育ててくれたチームの2部降格を同時に味わったのである。(この項、終わり)

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