第992回 2009-10フランスリーグ開幕(1) ランス、モンペリエ、ブローニュが1部に昇格
■サッカーファンが試合に飢えたオフシーズン
ファン待望のフランスリーグが開幕した。今年は奇数年と言うことでシーズンオフの間にワールドカップや欧州選手権の本大会がなかった。そして6月の初旬のインターナショナルマッチデーにはこれらの予選が行われるのではなく、親善試合を行った。さらに、UEFAカップがヨーロッパリーグに改まることに伴い、インタートトがなくなった。このような条件が重なり、今年のシーズンオフのサッカーファンは試合に飢えていたのである。
その待ちに待ったシーズンが8月8日に開幕した。リーグ開幕にあたってまずは新たなメンバーを紹介しよう。本連載の第971回から第975回にかけて昨季のフランスリーグの終盤については取り上げたが、上位チームの紹介だけであった。
■カーン、ナント、ルアーブルが2部に降格
2部に降格したチームと1部に昇格するチームについて紹介しよう。下位3チームが2部に降格するが、18位は勝ち点37、得失点差-7のカーン、19位は勝ち点18、得失点差-21のナント、20位は勝ち点26、得失点差-37のルアーブルであった。ちなみに残留組の中の下位は16位のルマンが勝ち点40、得失点差-11、17位のサンテエチエンヌは勝ち点40、得失点差-16であり、カーンは最終戦で勝利していれば残留しており、最終戦の相手が優勝を目前にしたボルドーであったと言うことは運がなかったと言えるであろう。
また、ナントとルアーブルは昨季1部に復帰したばかりであり、1シーズンで2部に逆戻りしてしまった。2部から昇格してきたチームが1部に残留することがいかに難しいことかを物語っている。
■2部で優勝し、1季で1部に返り咲いたランス
そして2部からの昇格組であるが、昨季の2部リーグの優勝はランス(Lens)、勝ち点68、得失点差12と言う成績であった。2位は勝ち点66、得失点差+25のモンペリエ、そして3位は勝ち点66、得失点差+15のブローニュであった。ちなみに前年に2部に降格してきた3チームのうち、1シーズンで1部に復帰を決めたのはランスだけである。
ランスは1年で1部復帰であるが、モンペリエは2003-04シーズンに1部で18位となり2部に陥落、それ以降5シーズン2部にとどまり、6季ぶりの1部復帰となった。1部から陥落してきたチームの中では1998年以来2部にいるシャトールーについで2番目に長い2部暮らしであった。ちなみに、モンペリエと同時の2004年に1部から降格してきたチームがギャンガンである。ギャンガンは2部リーグのチームとして50年ぶりのフランスカップ優勝を果たしたが、リーグ戦では13位に終わっている。
■最終節が大一番となったモンペリエ-ストラスブール戦
一方のモンペリエはフランスカップではベスト32決定戦で4部に相当するCFAのダンケルクに敗れてしまい、新年早々に姿を消してしまっている。2部に陥落した後のリーグ戦の戦績を振り返ると、初年度の2004-05シーズンこそ8位であったが、2005-06シーズンは12位、2006-07シーズンは15位と、かつて1部で活躍し、1990年にフランスカップを獲得したチームとは思えないような不振が続く。
そして2007-08シーズンは8位と盛り返し、2008-09シーズンも上位につけ、最終節を迎えた。最終節を迎える段階での成績を確認すると、1位ランス(勝ち点68、得失点差+13)、2位ストラスブール(65、+13)、3位モンペリエ(63、+24)、4位ブローニュ(63、+11)、5位ツール(61、+11)6位メッス(60、+11)であった。上位3チームが1部昇格、ランスはすでに1部復帰を決め、残る椅子は2つであり、6位のメッスにまで1部昇格のチャンスは残されている。
モンペリエはブローニュと勝ち点で並んでおり、両チームともホームで最終戦を行う。得失点差で大きく上回るモンペリエはブローニュ・シュール・メールと同等以上の成績を残せば1部復帰である。ところがモンペリエの相手は2位ストラスブールということで大一番となったのである。(続く)