第1100回 マルセイユ、18年ぶりのリーグ優勝 (1) ボルドーの独走態勢が崩れ、混戦に
おかげさまで第1100回の連載を迎えることになりました。昨年9月に連載1000回を迎えてからも順調に連載を続けてくることができたのは読者の皆様のおかげです。読者の皆様に改めて感謝するとともに、引き続きのご愛読をよろしくお願いいたします。
■パリジャンが気にするマルセイユの動向
前回までの本連載ではパリサンジェルマンがフランスカップで優勝したことを紹介した。この段階でリーグ戦11位と低迷しているパリサンジェルマンのファンはパリ市内に繰り出し、今年で40周年を迎えるクラブの優勝を祝った。土曜の夜ということで市内の至る所でファンの喜びが爆発したが、喜ぶパリジャンたちには心の片隅に引っかかるものがあった。それは、ライバルであるマルセイユの動向である。
マルセイユは本連載第1083回から第1086回で紹介したとおり、3月27日に行われたリーグカップ決勝でボルドーに勝利し、18年ぶりのタイトルを獲得している。パリサンジェルマンにとって最大のライバルはマルセイユであるが、この日のフランスカップ獲得で今季獲得したタイトルの数は同じになり、タイトルの価値から言ってもフランスカップの方が格上である。この段階でパリサンジェルマンはマルセイユに対して優越感を感じているわけであるが、気になるのはマルセイユのリーグ戦の順位である。
■連覇を狙うボルドーが前半戦を制する
今年のリーグ戦はこれまであまり紹介することができなかったが、昨季王者のボルドーがチャンピオンズリーグ同様、夏から冬にかけて好調であった。ボルドーは開幕してから9月末までの最初の7試合でアウエーのマルセイユ戦で引き分けた以外はすべて勝利する。その後、連敗して順位を3位に落としたこともあったが、11月末から12月一杯の試合は全勝し、14勝1分4敗の勝ち点43と言う成績で首位で前半戦を終える。前半戦が終わった段階の2位がマルセイユであった。しかしマルセイユの成績は9勝5分4敗(第14節のソショー戦は未消化)であり、勝ち点は32でしかなかった。試合数が1つ違うとはいえ、前半戦での勝ち点11の差、さらにチャンピオンズリーグのグループリーグの戦いぶり(ボルドーは5勝1分で首位突破、マルセイユは2勝1分3敗で3位)を見てもボルドーの連覇は確実であろうと言うのが大方の予想であった。
■国内外のカップ戦と重なり乱れたリーグ戦の日程
ところが後半戦は状況が変わる。両チームともフランスカップ、リーグカップという国内のタイトルに加え、欧州カップの決勝トーナメントに出場していることもあり、国内リーグの日程が大幅に変更された。1月はボルドーが1勝2分で首位をキープしたのに対し、マルセイユは1分1敗で順位を4位まで落としてしまい、この段階で両チームの勝ち点差は14まで開く。そしてマルセイユに代わってボルドーを追う位置に浮上してきたのが、リヨンとモンペリエである。
そして2月になり、欧州カップの決勝トーナメントの影響でリーグ戦の日程が乱れる。2月はマルセイユは日程を変更せず、4試合行い4連勝を飾る。財政面で余裕のあるマルセイユは控え選手の層も厚く、国内外のカップ戦と国内リーグを両立できたのである。
一方、ボルドーは控え選手がそろっておらず、日程の変更を余儀なくされる。2月20日に予定されていた第25節のオセール戦を3月10日に変更したほか、2月27日に予定されていた第26節のアウエーのルマン戦は天候の問題で4月14日に行うことになった。この結果、ボルドーは2月にリーグ戦を2試合しか行うことができず、またその成績も1勝1敗であった。ボルドーは2月には勝ち点3しか上積みすることができず、2月を終えた時点で、勝ち点は51までしか伸びなかったのである。
■国内リーグに専念するモンペリエが勝ち点でボルドーに並ぶ
ボルドー追撃の一番手となったのがモンペリエである。折り返しの段階で10勝3分5敗で勝ち点33の4位であった。欧州カップに出場していないほか、フランスカップもリーグカップも初戦で敗退している。つまりリーグ戦に100%集中できる環境にある。年が明けてから、リーグ戦に専念できるチームは強い。1月は3勝1敗、2月も3勝1敗という成績を収める。2月27日にレンヌに勝利したモンペリエは、同日に天候不順で試合が流れたボルドーと勝ち点51で並んだのである。(続く)