第1104回 マルセイユ、18年ぶりのリーグ優勝 (5) 最後の首位攻防戦、オセール-マルセイユ戦はドロー
■変則的なスケジュールとなった第35節
前回の本連載では欧州カップでも活躍し、4月にリーグ首位に立ったマルセイユ、ボルドー、リヨンの対照的な4月の戦績を紹介した。
本来5月最初の週末である1日に行われるはずのフランスリーグ第35節は変則的なスケジュールになった。まず、5月1日にはフランスカップ決勝が行われるため、基本的に5月2日に試合が行われることになった。そしてフランスカップ決勝に進出しているパリサンジェルマンとモナコが出場する試合は4月27日に行われた。そしてテレビ中継の関係で1試合だけが4月30日に行われた。それがマルセイユとオセールの試合である。
■4月に好成績を残したオセール
マルセイユについてはここまでリーグ戦7連勝、リーグ戦首位である。そしてこの段階での2位は前回の本連載で紹介してきたリヨンでもボルドーでもない。2位は4月最後の日に首位マルセイユと対戦するオセールなのである。
オセールは3月末の段階では勝ち点56でボルドー、モンペリエとトップに並んでおり、得失点差で3位であった。4月に入ってからボルドーが1分5敗、モンペリエが4分と勝ち点を伸ばすことができない中で、3勝1分と好成績を残す。さすがに5勝したマルセイユには抜かれてしまったものの、勝ち点66で首位マルセイユとは5つの勝ち点差である。オセールもマルセイユもこの試合を含めて残り試合は4試合である。つまり、この試合でオセールが負けてしまえば、オセールの逆転はきわめて難しくなり、引き分けでもそうかわらない。逆にオセールが勝利すれば、勝ち点2差に詰め寄ることができ、5月に入ってからの逆転優勝も不可能ではない。
■攻めるマルセイユ、守るオセール、譲らず引き分け
この春は何度も首位攻防戦があり、フランスのサッカーファンは幸せである。首位攻防戦の舞台はオセールの本拠地アベ・デシャン競技場である。1990年代には欧州三大カップの常連とした幾多の名勝負を演じてきたオセールであるが、今世紀に入って沈滞気味である。アベ・デシャン競技場は2万人を越える観衆で埋まった。オセールは過去11試合負け無し、マルセイユは13試合負け無しである。オセールの特徴は堅守であり、ここまで34試合でわずかに26失点と言うのはリーグ最小である。逆にここまでの総得点は39でしかなく、リーグ中位である。対するマルセイユはリーグ2位の62得点を誇り、マルセイユの攻撃をオセールがどこまで持ちこたえるか、そしてオセールの弱い攻撃陣がマルセイユから得点を奪うことができるか、この2点が見所である。 試合の展開は予想通りになった。アウエーのマルセイユが攻め、オセールが守ると言う構図は終始変わらず、マルセイユはオセールの堅守を突き破ることはできなかったが、オセールもまたマルセイユからゴールを奪うことはできず、両チーム無得点のまま試合は終了する。
■1位と6位が入れ替わった4月
残り試合数の少ない段階において、この引き分けは、マルセイユにとって勝利に限りなく近く、オセールにとっては敗戦に等しい。また、マルセイユは連続無敗記録を14試合に伸ばす。これはマルセイユとしては1998年から1999年にかけて記録したチームの記録に並ぶ。
4月が終わる段階での順位は1位マルセイユ(残り3試合、勝ち点72)、2位オセール(残り3試合、67)、3位リール(残り4試合、勝ち点61)、4位モンペリエ(残り4試合、勝ち点60)、5位モリヨン(残り5試合、勝ち点59)、6位ボルドー(残り4試合、勝ち点57)となり、4月が始まった段階の順位と比較すると、1位のマルセイユと6位のボルドーが入れ替わると言う結果になっている。
そして数字の上では5位のリヨンまでに逆転優勝の可能性は残っているが、優勝争いはマルセイユがリードし、オセールがかすかな望みをつないでいると言えよう。そして5月5日の第36節の結果によってはマルセイユの優勝が決まるのである。(続く)