第1145回 2010-11フランスリーグ開幕(3) 出遅れた有力3チーム
■優勝争いの軸となるマルセイユ、ボルドー、リヨン
前回までの本連載では1部に初昇格したアルル・アビニョンについて紹介してきたが、フランスリーグの序盤戦について今回は紹介しよう。今季のフランスリーグの優勝争いは前々回の本連載で紹介したとおり、昨季優勝のマルセイユ、そして前年の優勝チームであるボルドー、さらに2008年までリーグ7連覇を遂げ、昨季もチャンピオンズリーグで躍進したリヨン、この3チームが軸になるであろうと予想された。
ところが、この3チームがいまだにエンジンがかからないままでいる。例年、フランスリーグは1試合か2試合金曜日に行われて開幕し、その翌日の土曜日にそれ以外の試合を行うが、今年は10試合中9試合が8月7日の土曜日の21時に一斉にキックオフ、ボルドーの出場する試合だけがその翌日の8日の日曜日に夜に行われた。
■体制十分のマルセイユ、2部チャンピオンに敗れる
7日の開幕戦で、昨季優勝のマルセイユは今季1部に復帰してきたカーンを地元ベロドロームに迎えた。昨季の1部と2部の優勝チーム同士の対戦である。マルセイユはシーズン前の試合でトゥールーズ。モナコに敗れているが、チャンピオンズトロフィーではパリサンジェルマンにPK勝ち、そしてスペインのバレンシア、イタリアのカターニャという外国のチームに勝利し、シーズン開幕を迎えた。一方の昨季2部で優勝したカーンであるが、1部勢に勝利することなくシーズン開幕を迎えた。マルセイユはCFで優勝の原動力となったママドゥ・ニアンが背番号11をつけて先発する。さらに新たな選手補強としては右サイドDFにスペインのオサスナから移籍してきた20歳のアスピリクエタが出場する。また昨季はアルル・アビニョンにレンタル移籍していたアンドレ・アユーも戻ってきた。アユーは今回のワールドカップではアフリカの若手選手の中で最も高く評価されているであろう。一方のカーンであるがけが人が続出し、マルセイユに連れてきた選手はわずか16人という陣容であった。このような中でマルセイユの勝利は堅いと思われた中でキックオフされたが、5万5000人の大観衆の前で行われた試合は予想外の展開となった。前半は両チーム得点がなかったが、後半に入って今季初めてベロドロームのゴールネットを揺らしたのはカーン一筋のベテラン31歳、ニコラ・スーブであった。マルセイユのディディエ・デシャン監督はフランス代表のマチュー・バルブエナに代えてママドゥ・サマッサを投入。77分にさま差のゴールで同点に追いつくが、カーンは85分にユセフ・エルアラビの決勝点で見事に1部王者を下したのである。
そしてリヨンはモナコとホームで対戦するがスコアレスドローとなり、その翌日に行われたモンペリエ-ボルドー戦も波乱が起きた。後半開始早々に奪われた1点を返すことができず、ボルドーも0-1と黒星でスタートし、代表監督になったローラン・ブラン監督の後任になったジャン・ティガナ新監督も初陣を飾ることができなかったのである。
■3チームとも黒星となった第2節
第2節ではこの有力3チームがそろって黒星となった、14日に行われたバランシエンヌ-マルセイユという因縁の対戦では、前半こそ0‐0だったが、後半開始から立て続けにマルセイユは3失点する。終盤にマルセイユは追い上げたが、2-3で敗れ、下位チーム相手に連敗した。15日には17時にカーン-リヨン戦とボルドー戦が同時にキックオフされた。1部に復帰して初戦をベロドロームで飾ったカーンのホーム第1戦である。カーンが先手を取り、リヨンが追いつくという展開で前半は2-2のタイスコア、終盤の76分にイスマイラ・エンディアエが決勝点をあげ、カーンは連勝スタートとなる。
ボルドーは地元シャバン・デルマスにトゥールーズを迎える。前半ロスタイムにトゥールーズが先制するが、後半開始早々にボルドーは同点に追いつくが終盤に決勝点を奪われ、連敗する。
■第3節でようやく初白星となった有力3チーム
ようやく第3節でこの3強は目覚める。マルセイユがロリアンを2-0、リヨンがブレストを1-0、ボルドーがパリサンジェルマンを2-1と下し、3チームとも初白星を挙げたのである。ちなみに各チームの順位はリヨンが10位、マルセイユが13位、ボルドーが17位であり、首位は3連勝のトゥールーズである。(この項、終わり)