第1197回 2010-11フランスリーグ前半戦 (2) 2部から昇格のブレスト、24年ぶりの首位
■10月以降持ち直したリヨン
開幕前に優勝候補と目されたマルセイユ、ボルドー、リヨンのうち、マルセイユとボルドーは連敗スタートから何とか持ち直し、前半戦を終了した段階で順位は一桁にあげて、新年を迎えることになった。
さて、チャンピオンズリーグのグループリーグでは早々とグループリーグを勝ち抜いたリヨンも国内のリーグ戦の序盤は苦戦した。開幕戦はホームで引き分け、第2戦はアウエーで敗れ、初勝利はマルセイユやボルドーと同じ第3節のことであった。しかし、初勝利をあげてから1分3敗と負けが込む。9月25日のサンテエチエンヌとのダービーマッチをホームで落とし、順位は18位まで後退する。ところがそれ以降は国内リーグでは年末まで負けることなく、第8節から第19節までの12試合の戦績は7勝5分であり、結局前半戦を終えた段階で4位になっている。ちなみに、10月以降のリヨンはフランスリーグ以外の試合で振るわず、チャンピオンズリーグのグループリーグでは1勝1分2敗、リーグカップでは初戦敗退と、1勝1分3敗という成績である。
開幕前に優勝争いをすると目された3チームは上位には食い込んでいるものの、首位にはマルセイユが1週間だけ立っただけであり、優勝争いをすることなく前半戦を終えた。
■夏の王者に終わったトゥールーズ
前半戦の首位争いは意外なチームによって繰り広げられた。各節ごとの首位チームを振り返るならば、第1節はサンテエチエンヌに3-1と2点差で勝利したパリサンジェルマン、第2節になると連勝したトゥールーズが首位に立つ。トゥールーズは第4節まで4連勝する。8月を終えた段階で4戦無敗のトゥールーズに古豪復活の期待は高く、この勢いに乗って日本にトゥールーズすみれの会が日本遠征を挙行、ミディ・ピレネー大使のロベール・ベルディエを招いて行ったディナーは昨年の日本では大きなニュースであったであろう。
だが、トゥールーズは夏の王者でしかなかった。9月以降のトゥールーズは勝てなくなり、5試合勝ちから遠ざかり、10月23日の第10節のソショー戦で勝利したものの再び勝ちから見放され、第14節を終了した時点の成績は5勝3分6敗と負け越してしまい、順位を12位まで落としてしまう。
■サンテエチエンヌも首位に立ってから勝利と無縁
トゥールーズに代わって第6節からトップになったのは開幕戦を落としながら、第2節以降は着実に勝ち点を伸ばし、第5節でトゥールーズに黒星をつけた古豪サンテエチエンヌであった。しかしこのサンテエチエンヌも先述のリヨンとのダービーマッチで勝利してリーグ戦4連勝を飾ると、一転して勝てなくなる。マルセイユに敗れてから9試合連続で未勝利、10月と11月は1勝もすることができず、首位争いから脱落する。
■一気に3チームを抜いて首位を奪ったブレスト
このように8月と9月は連勝してきたチームが首位に立つと急変して連敗街道で急降下したが、10月以降の首位争いはブルターニュ勢の争いとなった。10月初めの第8節で首位になったのはトゥールーズに勝利したレンヌである。そしてレンヌと首位争いをしたのがブレストである。今季2部から昇格したブレストは、開幕からの3試合が1分2敗という成績で、1シーズンで2部へ逆戻りかと思われた。しかし第4節でカーンに勝利してからはチームが変身する。2引き分けをはさんで5連勝という成績で順位を4位まで上昇させて10月末を迎える。
10月30日の第11節で、ブレストは、同じ勝ち点18で総得点でブレストを上回る3位のサンテエチエンヌと対戦する。ブレストは3位と4位の上位対決をホームで2-0と勝利する。勝ち点を21に伸ばしたブレストは、この日試合のなかった首位のレンヌ(勝ち点19)と2位のマルセイユ(勝ち点18)もかわし、一気に3チームをごぼう抜きして首位に躍り出る。そして翌日開催予定のマルセイユ-レンヌ戦は豪雨のためベロドローム競技場が洪水状態となり、試合が延期される。
ブレストは実に1986年以来24年ぶりに首位に立ったのである。(続く)