第1255回 2010-11フランスリーグ・フィナーレ(3) リヨンはチャンピオンズリーグへ、モナコは2部降格
3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■半数以上の11チームがかかわる重要な順位争い
前回の本連載で紹介した通り、最終節はリヨンとパリサンジェルマンの3位争い、すでにヨーロッパリーグに出場権を確保しているソショーとレンヌの5位争い、そして12位のオセールから18位のモナコまでによる残留争い、この3つが注目点となった。
1部リーグ所属の半数以上の11チームのファンは、心落ち着かないまま最終節を迎えることになった。該当するチームに関連する最終節のカードを紹介しよう。このカードは2つに分けることができる。まず、重要な順位争いに関わっているチームとそうではないチームの対戦がある。4位のパリサンジェルマンの8位のサンテエチエンヌとアウエーゲーム、5位のレンヌは首位リールとのアウエーゲーム、6位ソショーは最下位アルル・アビニョンとのアウエーゲーム、12位のオセールの7位のロリアンとアウエーゲーム、13位のブレストの10位のトゥールーズとのホームゲーム、16位のカーンの3位のマルセイユとのホームゲーム、17位のナンシーの19位のランスとのホームゲームである。11チームのうち7チームはすでに来季のポジションが決まったチームとの対戦となる。
■負ければピンチとなるバランシエンヌとニース
一方、4チームは直接対決となる。15位のバランシエンヌが14位のニースを迎える。両チームの18位モナコとの勝ち点の差は、バランシエンヌはわずか1差、ニースも2差しかなく、この18位のモナコの勝ち点は44、17位のチームと勝ち点の差が1あるモナコは最低でも引き分けが必要である。そしてモナコが勝利すれば勝ち点を3加えて47となる。15位のバランシエンヌの勝ち点が45、14位のニースの勝ち点が44であり、バランシエンヌとニースの直接対決で敗れたチームは勝ち点でモナコ以下となる。しかもモナコの得失点差が-2であるのに対し、勝ち点で並ぶ可能性のあるニースの得失点差は-14、すなわち、最終節でモナコが勝利し、バランシエンヌとニースの試合の勝敗がついた場合は、敗れたチームがモナコに抜かれる。そして17位のナンシーも勝利すると、ナンシーにも抜かれて2部に降格が決まる。
■18位モナコが3位リヨンと対戦
このように最終戦で勝利すれば残留争いをカオス状態にするモナコであるが、その相手は3位のリヨンである。勝ち点61のリヨンは最終戦で勝利すればチャンピオンズリーグへ予備戦から出場することができる。しかし、引き分け以下の場合、勝ち点2差で追うパリサンジェルマンの結果次第となる。つまり、降格のかかったモナコと、チャンピオンズリーグ出場をかけたリヨンがモナコで直接対決するという大一番となった。
3位のリヨンが18位のモナコを下せば、この大混戦となった最終節の争いは大山鳴動して、ということになる。逆にモナコは勝利すれば、上記のとおり残留は確実となる。両チームとも勝利が欲しい一戦に通常は空席だらけのルイ二世競技場は1万1000人以上の観客が集まった。
■満員の競技場で沈黙したモナコ、ついに2部降格
しかし、サッカーの神様はこのような時だけスタジアムに足を運ぶファンには微笑むことはなかった。試合は開始からリヨンの一方的なものとなる。前半は無失点で乗り切ったモナコであったが、後半に入っても攻撃し続けるリヨンは67分にキム・カールストロームのFKのこぼれ球をストッパーのパプ・ディアケメが先制ゴール、さらに82分にはアルゼンチン代表のロペス・リサンドロが追加点をあげる。勝利の欲しかったモナコは終始沈黙し、ノーゴールで満員の観衆を失望させる。モナコの今季の総得点は36、下から5番目の数字であるがホームゲームではわずか16点、アウエーでの試合よりも4得点も少ない。
1977年の1部昇格以降、閑古鳥の鳴くスタジアムでプレーし、7回のリーグチャンピオンに輝いてきた赤と白のユニーフォームのモナコはついに2部降格となった。
また最終戦でアルル・アビニョンを下したソショーは5位に浮上し、ヨーロッパリーグのプレーオフからの参戦、6位に落ちたレンヌはヨーロッパリーグの予備戦3回戦からの登場となり、シーズンが幕を閉じたのである。(この項、終わり)