第1339回 秋の王者はパリサンジェルマン (1) 大型補強が功を奏したパリサンジェルマン

 読者の皆様、あけましておめでとうございます。昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■リーグ序盤にリーダーとなったモンペリエ

 昨年最後の前回の本連載ではモナコ、RCランスが降格して例年以上の注目を集める2部リーグの前半戦の模様を紹介した。年の初めである今回からは1部リーグの前半戦を振り返ってみよう。
 今季のフランスリーグは8月6日に開幕している。開幕戦では昨季の二冠王者であるリールがアウエーのナンシー戦で先制したがオウンゴールで追いつかれるという展開でドローで発進した。序盤のフランスリーグで首位に立ったのはモンペリエである。女子チームに日本代表の鮫島彩が加入したことから日本の皆様も良くご存じのチームであろう。2部に低迷していたが、2009年に1部復帰、復帰初年は5位、2年目の昨季は14位という成績を残しているが、今季は開幕から好調で首位をキープしてきた。

■リーグ最古参となったパリサンジェルマンの大型補強

 そのモンペリエにストップをかけたのがパリサンジェルマンである。カップ戦のスペシャリストとして、フランスカップ、リーグカップを幾たびも制しているパリサンジェルマンですが、リーグ戦では1994年の優勝を最後に覇者の座から離れている。1970年に設立という若いクラブでありながら、1部には1974年以降38季連続で在位しており、これは現在1部に所属しているチームのうち最古参となる。昨季まで37季の歴史の中でリーグ優勝は1986年と1994年の2回だけである。今季はカタールの資本がクラブの70%の株式を取得するとともに、合わせて大物の選手を次々と獲得した。その最たる存在がイタリアのパルルモから獲得したアルゼンチン代表のハビエル・パストーレであろう。それ以外にフランス代表のケビン・ガメイロをロリアンから、ジェレミー・メネスをイタリアのローマから、ブレイズ・マツイディをサンテエチエンヌから獲得している。

■モンペリエに勝利して首位に立ったパリサンジェルマン

 パリサンジェルマンは開幕戦でホームでロリアンに0-1で敗れ、第2節ではヨーロッパリーグのライバルであるレンヌと引き分け、2戦終えたところで勝ち点1と多難な船出となったが、クラブのOBであるアントワン・コンブアレ監督はチームを立て直す。ヨーロッパリーグのプレーオフでルクセンブルクのディフェルダンジュ03を破って、第3節からはチームは快進撃、リーグ戦で4連勝して順位を上げてきたところで首位モンペリエとアウエーで対戦する。9月24日に行われたリーグ戦第8節、パリサンジェルマンは敵地ラ・モッソン競技場で大暴れ、3-0とモンペリエを圧倒し、首位を奪還する。パリサンジェルマンがリーグ戦で首位の座に立ったのは昨季のリーグ戦第1節以来のことである。
 そしてその翌週には難敵リヨンを本拠地パルク・デ・プランスに迎え、パストーレが先制点、試合終了直前にクリストフ・ジャレが追加点をあげて、2-0と勝利して首位固めをする。ヨーロッパリーグやリーグカップでの不振は本連載でもすでに紹介している通りであるが、リーグ戦では負け知らず、第2節から第13節までは負けなし、11月6日の第13節を終えた段階で、パリサンジェルマンが9勝3分1敗という成績で首位をキープする。そして第8節でパリサンジェルマンに敗れたモンペリエも、その後は無敗を続け、勝ち点を重ねており、パリサンジェルマンとは勝ち点3の差である。

■ホームでナンシーに敗れ、勝ち点でモンペリエに並ばれた第14節

 第14節でパリサンジェルマンはホームにナンシーを迎える。18位と降格圏内のチームであり、パリサンジェルマンは難なく勝利すると思われたが、守備を固めてきたナンシーから得点を奪うことができず、逆に後半立ち上がりの49分に失点し、0-1とまさかの結果、開幕戦以来の今季2敗目を喫する。一方、2位のモンペリエはホームでマルセイユに1-0と勝利し、勝ち点30で並ぶ。得失点差わずか1点差でパリサンジェルマンは首位をキープしたが、パリサンジェルマンの続く第15節は、敵地ベロドロームで宿敵マルセイユと戦うことになったのである。(続く)

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