第1499回 競り合う3強、勝ち点38で折り返す(6) 秋の王者はパリサンジェルマン、20年ぶりに3チームが同勝ち点
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■3日間にわたって行われた第19節
パリサンジェルマン、リヨン、マルセイユが勝ち点35で並んでフランスリーグは前半戦の最終節である第19節を迎えた。シーズンを通じての最終節は全試合同時にキックオフされるが、前半戦の最終戦はそのようなスケジュールの配慮はなく、テレビ中継などの都合によって12月21日の金曜日から23日の日曜日にかけて試合が行われた。
この最終節が始まる前日、すなわち20日にはチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの決勝トーナメントの組み合わせ抽選会が行われ、チャンピオンズリーグのパリサンジェルマンはスペインのバレンシア、ヨーロッパリーグのリヨンはイングランドのトットナムと対戦することになった。パリサンジェルマンは幸運に恵まれたが、リヨンは強敵との対戦、さらに2回戦もインテルミラノ(イタリア)との対戦が予想され、厳しいドローとなった。
■自転車競走にちなむ洋菓子、パリ・ブレスト
第19節、最初に登場するのは気分を良くしている首位パリサンジェルマンである。ブレストでのアウエーゲームが今年最後の試合である。パリ・ブレストと言えば誰しもがドーナツ型のシュークリーム洋菓子を思い出されるであろう。これはパリを出発してブレストまで往復する自転車レースにちなんだもので、ドーナツを自転車の車輪に見立てている。外国人のためのやさしい日本語での自転車教室が普及している日本の皆様にとっては自転車レースも身近であろうが、このパリ・プレスト往復自転車レースは世界最古の自転車競技であり、往復1200キロのレースが現在は4年に1回、ワールドカップの翌年の8月下旬に行われている。
■パリサンジェルマン猛攻、ズラタン・イブラヒモビッチまたも得点
このブレスト遠征、パリサンジェルマンは自転車レースのスプリント思わせる猛ラッシュを見せる。前半から一方的に試合を支配し、次々としシュートを放つ。前半こそ無得点であったが、後半になってこの試合初めてゴールネットを揺らしたのはやはりズラタン・イブラヒモビッチであった。右サイドDFのクリストフ・ジャレからのクロスをゴールに流し込む。イブラヒモビッチはこれで18得点目、前半戦で18得点を記録したのは実に28年ぶりのことである。28年前は当時ナントに所属していたバヒド・ハリホジッチが前半戦で18得点、最終的に28得点で得点王に輝いている。ボスニア・ヘルツェゴビナ出身のハリホジッチの記録に並んだイブラヒモビッチもそのルーツはボスニア・ヘルツェゴビナである。
このイブラヒモビッチのゴールで点火したパリサンジェルマンは73分にはケビン・ガメイロ、さらに後半のロスタイムはかつてパリサンジェルマンに所属し、日本代表と対戦したことから日本の皆様もよくご存じのベルナール・麺ディが痛恨オウンゴール、パリサンジェルマンが3-0と大勝する。パリサンジェルマンは実にシュート数30本、これは今季のリーグ戦全体で最多のシュート数である。そして勝ち点だけではなく、得失点差も3上積みしたパリサンジェルマンは勝ち点でリヨン、マルセイユに3の差をつけ、得失点差を+24に伸ばす。追う2チームの得失点差であるが、リヨン+13、マルセイユは+3であり、この時点で「秋の王者」の座をほぼ手中にしたのである。
■リヨンもマルセイユも勝利、3チームが勝ち点38で並ぶ
秋の王者の称号を得られなくともリーグ戦はまだ半分終わっただけである。さらに今季はアフリカ選手権もあり、アフリカ勢が1月近く離脱するため、リーグ戦の行方は例年以上にわからない。リヨンは土曜日の21日に今年最後の試合を戦った。ニースを迎えたジェルラン競技場、このところ2試合勝っていないリヨンであるが、この日は攻撃陣が爆発、リサンドロ、バフェタンビ・ゴミスの2トップとサイドDFのアントニー・レベイエールのゴールで3-0と大勝する。
さらに上位2チームの快勝に刺激されたマルセイユも負けていない。12月23日21時にキックオフされた2012年最後の試合はサンテチエンヌを迎え、前半ロスタイムにアンドレ・アユーが決勝点をあげ1-0で勝利する。
3チームが勝ち点38で折り返したが、これはオセール、ナント、モナコが勝ち点26(当時は勝利の勝ち点は2)で折り返した1992-93シーズン以来20年ぶりのことである。(この項、終わり)