第1704回 フランスリーグ、フィナーレ(3) 終了間際の決勝点で優勝に近づいたパリサンジェルマン
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ドローのモナコ戦の後、一度の連敗以外は白星を重ねたパリサンジェルマン
大型補強でフランスリーグの二強となったパリサンジェルマンとモナコが首位と2位を占め、2月9日の第24節での今季2回目の対戦もドローとなった。この時点で両チームの勝ち点差は5、パリサンジェルマンが2敗、モナコが2勝で順位は逆転する。しかし、簡単に星を落とすパリサンジェルマンではない。パリサンジェルマンは国内リーグでは次の第25節のバランシエンヌ戦から白星を重ね、3月2日に行われた第27節のマルセイユとの対戦も2-0と完勝、4月5日の第32節のスタッド・ド・ランス戦まで8連勝、ようやく勢いが止まったのはチャンピオンズリーグ準々決勝の第2戦でチェルシー(イングランド)に0-2で敗れ、準々決勝敗退が決まった直後の第33節でリヨンでのアウエーでの敗戦であった。しかし、本連載の第1694回と第1695回で紹介した通り、パリサンジェルマンはその翌週にリーグカップの決勝でリヨンに勝利、今季の初のタイトルを獲得し、チェルシー戦(チャンピオンズリーグ準々決勝第2戦)、リヨン戦(リーグ戦)の連敗ショックから立ち直る。
■もたつきの見られるモナコ、パリサンジェルマンと差が開く
一方のモナコ、パリサンジェルマン戦のドローの後は、バスティア、スタッド・ド・ランスに連勝したが、3月1日の第27節でサンテチエンヌに0-2と敗れ、一歩後退。しかし、パリサンジェルマンが黒星を喫することになるリヨンとはアウエーで戦い、常に先手を取る試合展開で3-2と勝利、期待を満たせたが、上位に食らいつくリールと引き分け、下位のエビアンにはまさかの敗戦と2試合連続して勝ち星がなく、パリサンジェルマンとの差が開くが、フランスカップで決勝に進出したレンヌに勝利、そしてパリサンジェルマンがリーグカップで優勝した翌日の4月20日に行われた第34節ではニコラ・マルテルの訪日に沸くニースに1-0と勝利する。
リーグカップ決勝を戦ったパリサンジェルマンはモナコなどの他のチームよりも遅く第34節を戦う。パリサンジェルマンとリヨンは4月23日に第34節を戦うが、この時点でパリサンジェルマンの勝ち点は33試合消化で79、片や1試合消化試合数の多いモナコは34試合戦い勝ち点72、勝ち点の差は7に広がり、この第34節のエビアン戦でパリサンジェルマンが勝利すれば、勝ち点の差は10と二桁に広がる。そればかりか残り4試合の段階で勝ち点差が最低でも7ということは週末の4月25日から27日にかけて行われる第35節での優勝も可能である。
■優勝目前のパリサンジェルマン、圧倒的なボール支配率でエビアンを圧倒
欧州の多くのファンがチャンピオンズリーグ準決勝のレアル・マドリッド(スペイン)-バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)に注目しているのと同じ時間帯、パリサンジェルマンはパルク・デ・プランスに16位のエビアンを迎える。4万5000人近い観衆が集まった中で行われたこの試合、順位表をそのまま表したような試合展開となり、パリサンジェルマンのボール保持率は実に76%、圧倒的に試合を支配する。またエビアンは61分に2回目の警告で1人が退場、パリサンジェルマンは数的優位にもたつ。
■代役エディンソン・カバーニは大ブレーキ、ブレーズ・マツイディが終了間際に決勝点
しかし、ズラタン・イブラヒモビッチは負傷のためこの日もメンバーから外れる。リーグカップの決勝活躍した代役のエディンソン・カバーニがエビアン戦も1トップ。しかし、カバーニはリーグカップ決勝のスタッド・ド・フランスでのカバーニではなく、その前のジェルラン競技場のリーグ戦のカバーニに逆戻りした。なかなかゴールが奪えないパリサンジェルマン、このまま勝ち点1しか上積みできないドローに終わるのか、パリジャンはため息の連続となる終盤となった。
ところが89分、マルコ・ベラッティに代わって途中出場したブレーズ・マツイディが決勝点をあげ、パルク・デ・プランスは歓喜の雄叫びが響いたのである。(続く)