第1737回 フランスリーグ開幕(2) 北京でのチャンピオンズトロフィーを制したパリサンジェルマン
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■エミレーツカップに出場したモナコ
6月下旬に練習を再開した各クラブ、国内外で合宿し、チームによっては国外のトーナメントに出場する。前回の本連載では昨年から始まった欧米杯に出場したモナコが2勝し、欧州の連覇に貢献したことを紹介したが、モナコは欧米杯でコロンビアと米国に遠征しただけではなく、イングランドのロンドンで行われたエミレーツカップにも出場している。
このエミレーツカップはアーセナルの本拠地エミレーツ競技場で行われ、アーセナルがホストチームとなり、国外のクラブを招いて行われるものである。2007年から始まり、フランスからはパリサンジェルマンが3回、リヨンが1回出場している。今年のエミレーツカップにはアーセナル、ベンフィカ(ポルトガル)、バレンシア(スペイン)、モナコが出場した。モナコは8月2日にバレンシアと戦い、2-2の引き分け、その翌日にはアーセナルに1-0と勝利している。なお、今年のエミレーツカップ、最大の驚きはアーセナルの21歳のフランス人、ヤヤ・ソノゴがベンフィカ戦で4得点をあげたことであり、またアーセナルで活躍するフランス人が現われた。
■2009年以降は国外で行われているチャンピオンズトロフィー
モナコを上回るビッグクラブがパリサンジェルマンである。リーグチャンピオンとしてフランスカップの覇者ギャンガンとチャンピオンズトロフィーを争う。1995年から始まったチャンピオンズトロフィーであるが、2008年まではフランス国内の各地の競技場で行われていたが、2009年からはフランスサッカーのプロモーションを兼ねて国外で行われている。カナダ(モントリオール)、チュニジア、モロッコと仏語圏で開催され、2012年には初めて仏語圏外の米国で行われた。昨年はガボンのリーブルビルで行われ、これまでに欧州、北米、アフリカという3大陸で開催されてきた。今年はついに4番目の大陸としてアジアでの開催となり、中国の北京でのキックオフとなる。中国代表監督はフランス人のアラン・ペラン、中国のクラブにはフランス人の選手、監督がいることもあるが、アジア市場の中心であるということが最大の理由であろう。
■ワールドカップ上位進出組を欠くアジア遠征
パリサンジェルマンのアジア遠征のメンバーであるが、ワールドカップの決勝トーナメントで上位進出したブラジル組、フランス組、アルゼンチン組は帯同しなかったが、ウルグアイのエディンソン・カバーニ、イタリアのシリグ、チアゴ・モッタ、マルコ・ベラッティ・フランス代表でも試合出場の開会の少なかったルカ・ディーニュなどは名を連ねる。そしてプレーオフで敗れ、本大会に出場できなかったスウェーデンのズラタン・イブラヒモビッチ、代表メンバーから外れたアルゼンチンのハビエル・パストーレ、オランダのグレゴリー・ファンデルビールもシーズン最初のタイトルを目指す。
パリサンジェルマンは北京入りする前に香港に立ち寄り、香港リーグ1部の傑志と試合を行っている。パリサンジェルマンはイブラヒモビッチのハットトリックなどで6-2と大勝、フランス王者の力を見せつけた。
一方のギャンガンはワールドカップに出場した選手は誰もいないが、2009年に2部でありながらフランスカップを獲得し、初の国外開催となったモントリオールの戦いでは、リーグチャンピオンのボルドーと対戦し、0-2と敗れており、2回目の出場でタイトル獲得を狙いたい。
■ズラタン・イブラヒモビッチの2ゴールでパリサンジェルマンが勝利
北京の工人体育場には4万観衆が集まったが、スタンドは欧州とはかなり異なる雰囲気であり、ファンの熱も感じられない。しかし、パリサンジェルマンの勝利を導いたのはイブラヒモビッチであった。9分に先制点をあげ、20分にはPKで追加点。結局イブラヒモビッチの2得点でパリサンジェルマンが2-0と勝利し、2年連続4回目のチャンピオンズトロフィー獲得となった。
来年もチャンピオンズトロフィーは中国の北京または上海で開催される方向である。
そしてこのチャンピオンズトロフィーの翌週にフランスリーグ1部は開幕するのである。(続く)