第1768回 リーグ戦で快走するマルセイユ (1) 快進撃を支えるアンドレ・ピエール・ジニャック

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■マルセイユが頭一つ抜きん出たリーグ戦

 ポルトガルとアルメニアとの試合を連勝したフランス、この連戦に招集された選手の中で最も注目を集めたのはアンドレ・ピエール・ジニャックであったことは本連載第1763回で紹介した通りである。ポルトガル戦には出場しなかったものの、前回の本連載で紹介した通り、1トップとして出場したアルメニア戦では1ゴール2アシストと全得点に絡む活躍を見せた。
 このジニャックが所属しているのがマルセイユである。インターナショナルマッチデーのためフランスリーグは10月第2週は試合が行われず、第10節が10月17日から19日にかけて行われた。第9節を終えた時点で首位はマルセイユ、7勝1分1敗で勝ち点22、2位は5勝2分2敗で勝ち点17のボルドー、3位は3勝6分で勝ち点15(得失点差+9)のパリサンジェルマン、4位は4勝3分2敗で勝ち点15(得失点差+2)のリール、5位は4勝3分2敗で勝ち点15(得失点差+1)のナントであり、マルセイユが頭一つ抜きん出た状況にある。

■マルセイユの新監督マルセロ・ビエルサに初勝利をもたらしたジニャックのゴール

 マルセイユは本連載第1741回で紹介した通り、開幕戦はバスティアとアウエーで対戦、ゴールの応酬となり、3-3のドローとなっている。そして続く第2節はホームにモンペリエを迎え、0-2と敗れ、1分1敗というスタートであった。マルセイユは今季はエリ・ボーに代えてマルセロ・ビエルサを新監督に迎えている。アルゼンチン人で名将の誉れ高く、アルゼンチン代表、チリ代表の監督として訪日した経験もあることから日本の皆様はよくご存じの監督であろう。スペインのアスレチック・ビルバオの監督を務めた後にマルセイユの監督に就任している。
 大物監督を迎えながら、2試合で勝ち点わずか1というマルセイユ、このマルセイユの救世主となったのがジニャックである。ジニャックは開幕戦のバスティア戦で2ゴール、そして第3節はアウエーでギャンガン戦、後半2分にジニャックがゴールを決め、この1点を守り切ってビエルサ監督のマルセイユは初勝利をあげる。

■レンヌ戦で今季本拠地での初ゴール、チームを首位に導いたジニャック

 さらに第4節はニースをベロドロームに迎え地中海ダービー、ジニャックのゴールこそなかったが、マルセイユは4-0と大勝し、地元で初勝利を飾る。9月に入って第5節のアウエーのエビアン戦でジニャックは開始早々に先制点、チームは3-1と3連勝を飾る。そしてジニャックが本拠地ベロドロームのファンの前でゴールを見せたのは9月20日の第6節のレンヌ戦であった。前半は両チーム無得点であったが、後半に入り、ジニャックが50分に先制点、さらに63分にも2点目をあげる。マルセイユは後半ロスタイムにはレンヌから移籍してきたロマン・アレサンドリーニがゴールを決め、3-0と勝利する。4連勝したマルセイユは暫定首位に立ち、翌日リールが引き分けに終わったことから、第6節を終えて首位に立ったのである。

■代表復帰決定後のカーン戦のロスタイムに決勝点

 このマルセイユの進撃はその後も続いた。第7節は古豪スタッド・ド・ランスとのアウエーゲームであるが、ここでもまたジニャックが大暴れ、8分に先制点、20分に追加点、マルセイユは5-0とまたも大勝する。そしてポルトガルとアルメニア戦のメンバー発表直前のサンテチエンヌ戦ではゴールこそなかったがチームは6連勝、代表復帰が発表された直後の10月4日のアウエーのカーン戦では後半40分に追いつかれる苦しい展開のところ、ロスタイムの93分に決勝点をあげ、チームの7連勝を呼び込む。ジニャックの活躍はマルセイユのファンだけではなくフランス全体のファンを引き込み、前回の本連載で紹介した通り、アルメニア戦での活躍となったのである。
 所属クラブでリーグ戦で活躍するジニャックを抜擢したデシャン監督の選択は見事に成功、そしてこのジニャックの勢いはとどまることを知らないのである。(続き)

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