第1795回 秋の王者はマルセイユ (1) 2年ぶり5回目の首位攻防クラシコはパリサンジェルマンの勝利
読者の皆様、あけましておめでとうございます。連載を始めて14回目の新年を迎えました。
4年前の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
本年もよろしくご愛読のほどお願いいたします。
■国内リーグに専念するマルセイユが序盤戦をリード
前回までの本連載ではチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグのフランス勢のグループリーグでの戦いを紹介し、パリサンジェルマン、モナコ、ギャンガンの3チームが決勝トーナメントに進出したことを紹介した。パリサンジェルマン、モナコは近年の大型補強でフランスサッカーの顔となっている感がするが、さて、リーグ戦ではどのようになっているだろうか。本連載では今季の序盤戦について第1736回から第1741回にかけて紹介し、10月中旬の第10節段階の状況について第1768回と第1769回で紹介してきた。
この段階での首位はマルセイユ、そしてマルセイユは10月19日のトゥールーズ戦で観客動員新記録を打ち立て、このマルセイユ人気がリーグ全体の観客動員に好影響を与えている。マルセイユは10月26日に行われた第11節のリヨン戦で1-2と敗れた、国内タイトルであるリーグカップの初戦となる10月29日のベスト16決定戦でもレンヌに敗れたが、欧州カップに出場していないことから、国内リーグ戦に専念できるところがアドバンテージである。
■11月最初の試合でRCランスに勝利、2位パリサンジェルマンとは勝ち点4差
マルセイユは11月2日のRCランス戦以降、年内は国内リーグの試合しか予定に入っていない。国内リーグ戦シリーズの最初となるRCランス戦は、リーグ戦、リーグカップ戦で連敗し、2位パリサンジェルマンに勝ち点1差に迫られた中での日曜日の試合であったが、一旦は追いつかれたものの、後半にフローリアン・トーバンが勝ち越し点を奪い、2-1と勝利、勝ち点を29に伸ばし、パリサンジェルマンとの勝ち点の差を4とする。
■2年ぶり5回目となる首位と2位のクラシコ
そして続く第13節の11月9日、2位パリサンジェルマンは首位マルセイユを本拠地のパルク・デ・プランスに迎え撃つ。フランスを代表する両チームが1位と2位で対戦するのは、長い両チームのライバル関係の中で実は5回目のことである。前回この両チームが順位表の上2つを独占して対戦したのは2年前の秋、2012年10月7日、2012-13シーズンの第7節、マルセイユの本拠地ベロドロームで対戦して以来である。この時も首位マルセイユ、2位パリサンジェルマンであり、本連載第1466回で紹介した通りマルセイユのアンドレ・ピエール・ジニャック、パリサンジェルマンのズラタン・イブラヒモビッチがそれぞれ2得点ずつあげてドローとなる。このシーズンは結局、パリサンジェルマンが19シーズンぶりのリーグ優勝を果たすが、両チームが首位と2位として対戦するのもやはり19シーズンぶりのことであった。
■選手層の厚いパリサンジェルマンがマルセイユを圧倒、勝ち点1差に迫る
このような歴史的クラシコということで例年以上の注目を集めた。2年前に2ゴールをあげたジニャックとイブラヒモビッチは現在でも両チームのエースであり、マルセイユのトップは全幅の信頼を得たジニャックである。一方のパリサンジェルマンのイブラヒモビッチ、体調が万全ではなく、ベンチからのスタート、最前線にはエディンソン・カバーニが陣取る。さらにパリサンジェルマンは出場停止でチアゴ・モッタ、グレゴリー・ファン・デル・ビールを欠く布陣である。
試合開始直後こそ、マルセイユがパリサンジェルマンのゴールを襲ったが、選手層の厚いパリサンジェルマンはマルセイユを圧倒する。38分のパリサンジェルマンのゴールは見事であった。ルカ・ディーニュが右サイドから左サイドに展開、左サイドでエセキエル・ラベッシからカバーニにつなぎ、カバーニがセンタリング、このセンタリングにルーカスがスライディングしてゴールネットを揺らす。
マルセイユはなかなかチャンスをつかむことができず、78分にはギルバート・インンブラがひじ打ちのファウルで一発退場、85分には交代出場してきたイブラヒモビッチが右に展開、セルジュ・オーリエのクロスをニアポストのカバーニがシュートし、2-0でパリサンジェルマンが勝利する。
この結果、首位マルセイユに2位パリサンジェルマンは勝ち点1差に迫ったのである。(続く)