第1849回 終盤を迎えたリーグ戦 (1) 後半戦初戦で黒星となったマルセイユとパリサンジェルマン

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■国内タイトルだけに絞られたフランスのサッカーシーン

 前回までの本連載で紹介した通り、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントに残ったパリサンジェルマンもモナコも準々決勝で姿を消してしまった。これで今年もフランス勢はチャンピオンズリーグで優勝をすることができなかった。
 5月に入り、国内だけの戦いとなるが、すでにリーグカップは本連載第1841回で紹介した通りパリサンジェルマンが4月11日に優勝、フランスカップについては本連載第1842回と第1843回で紹介したようにパリサンジェルマンと2部のオセールが5月30日にスタッド・ド・フランスで行われる決勝に進出した。

■マルセイユ、リヨン、パリサンジェルマン、大都市の3チームが上位を独占して後半戦に

 そしてリーグ戦は5月23日に最終節である第38節が行われる。本連載では今季のリーグ戦の前半戦の模様を第1795回から第1798回にかけて紹介しているが、前半戦を折り返した時点の順位は首位マルセイユ(勝ち点41)、2位はリヨン(39)、3位にパリサンジェルマン(38)であり、僅差の中にビッグクラブ3チームがひしめくという構図であった。  この3チームを追う存在としてモナコ、サンテチエンヌがいたが、結局はこの3つの大都市のチームが順位表の上位を独占し続けるとともに、その中で順位が入れ替わる。

■マルセイユ、フランスカップに続き、リーグ戦も黒星

 マルセイユは第6節に首位になり、前半戦が終了する第19節までその座をキープしてきたが、後半戦最初の第20節で首位の座を奪われる。年が明けて最初の週末はフランスカップのベスト32決定戦が行われ、本連載第1801回で紹介した通り、マルセイユは4部に相当するCFAに所属するグルノーブルにPK戦で敗れてしまう。そのショックが残っていたのか、リーグ戦でも取りこぼしをする。1部10試合のうち先頭を切って行われたのは1月9日のモンペリエ-マルセイユ戦である。3年前のリーグチャンピオンとはいえ、この段階の順位は10位である。アウエーゲームとはいえ勝っておきたかったマルセイユであるが、36分に先制され、62分に追加点を奪われる。マルセイユの反撃は68分にビレル・オムラニが角度のないところから決めたシュートだけにとどまる。結局マルセイユは1-2と2015年の始めは連敗スタートとなる。金尿日の夜にマルセイユが試合を行ったため、土曜日に登場するパリサンジェルマン、日曜日に試合を行うリヨンに首位奪回のチャンスが芽生えた。

■2点を先行したパリサンジェルマンも大逆転負け、首位獲りに失敗

 土曜日にパリサンジェルマンはコルシカ島に飛び、バスティアと試合を行う。マルセイユと勝ち点3差のパリサンジェルマンは勝利すれば勝ち点で並ぶ。またこの時点でマルセイユの得失点差は+20、パリサンジェルマンの得失点差は+19であるため、2点差で勝利すれば単独首位となる。試合はまさにパリサンジェルマンの首位取りへの願望を実現するような展開になった。9分にルーカスが先制点、これでマルセイユと並んだ。さらに20分にアドリアン・ラビオが追加点をあげて、これで得失点差でもマルセイユを上回り単独首位となる。
 しかし、ここから残り70分、思いもよらぬ試合展開となった。32分にペナルティエリア内でパリサンジェルマンのDFのグレゴリー・バンデルビールがハンドの反則、バスティアはまずこれで1点返し、パリサンジェルマンを単独首位から引きずりおろす。そして前半の終了間際にはバスティアはフランソワ・モデストがゴールを決めて同点に追いつく。さらに、後半になるとバスティアはジュリアン・パルミエリが逆転ゴール、さらに90分にもパルミエリは得点を決め、バスティアは2点のビハインドを逆転し、4-2と勝利する。勝ち点0に終わったパリサンジェルマンはマルセイユとの勝ち点差を縮めることができなかった。
 そればかりか、3位パリサンジェルマンと勝ち点2の差で4位だったサンテチエンヌがアウエーでスタッド・ド・ランスに2-1と勝利したため、4位に陥落してしまったのである。(続く)

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