第1856回 パリサンジェルマン、輝く3連覇

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■全試合が同時にキックオフされる第37節と最終節

 前回の本連載で紹介した通り、フランスリーグは残り2節となった段階で首位パリサンジェルマンが2位リヨンに勝ち点で6の差をつけている。パリサンジェルマンは首位に立ってから得点差をつけた勝利が続き、首位を奪った段階ではリヨンに得失点差で劣っていたが、この段階で勝ち点7の差をつけている。すなわち、残り2試合でパリサンジェルマンが連敗、そしてリヨンが連勝し、さらにパリサンジェルマンがある程度の得点差で連敗し、リヨンがある程度の得点差で連勝しない限り、パリサンジェルマンの優勝が決定する。
 リヨンが残り2試合のうちいずれかで引き分け以下の結果になってしまうか、パリサンジェルマンが残り2試合のいずれかで引き分け以上の成績を残せばパリサンジェルマンの優勝が決まる。パリサンジェルマンの残り2試合は第37節が5月16日のモンペリエ戦(アウエー)、5月23日のスタッド・ド・ランス戦(ホーム)である。一方のリヨンは第37節がボルドー戦(ホーム)、第38節がレンヌ戦(アウエー)である。フランスリーグは最後の2節は10試合がすべて同時の20時にキックオフされる。

■パリサンジェルマンの前のリーグチャンピオンのモンペリエ

 さて、パリサンジェルマンはモンペリエのラ・モッソン競技場でキックオフを迎える。相手のモンペリエは現在の順位は7位であるが、ヨーロッパリーグに出場できる5位以内は不可能であるが、6位のチャンスはある。もし、パリサンジェルマンがフランスカップを獲得した場合、リーグ6位のチームもヨーロッパリーグに出場できる。しかし、パリサンジェルマンは3連覇を目指すが、パリサンジェルマンの前のリーグチャンピオンはモンペリエであり、意地を見せたいところである。パリサンジェルマンはこの日もズラタン・イブラヒモビッチはメンバーから外れ、2トップはエセキエル・ラベッシとエディンソン・カバーニである。目の前の相手に集中すべきとはいえ、リヨンでの途中経過も気になるところである。リーグ終盤戦の全試合同時キックオフだからこそのファンの醍醐味である。

■ブレーズ・マツイディ、エセキエル・ラベッシが連続ゴール

 先にスコアが動いたのはリヨンのジェルラン競技場、9分にリヨンのナビル・ファキルが先制点をあげる。パリサンジェルマンにとっては早く得点をあげたいところである。そして17分にパリサンジェルマンは最前線に上がったブレーズ・マツイディに絶妙なパスをラビオが送る。GKと1対1になったマツイディはGKをかわしてシュートを決め、パリサンジェルマンが先制点をあげる。なおもパリサンジェルマンは25分に右サイドを駆け上がってきたセルジュ・オーリエがクロスをあげる。中央右寄りに位置していたカバーニはうまくシュートできず、左寄りに位置していたラベッシがこのクロスをシュート、ゴールネットが揺れてパリサンジェルマンは2-0とリードを広げる。
 意地を見せたいモンペリエであるが、40分に右サイドのアントニー・ムニエがクロスをあげる。このクロスボールはスライスして直接ゴールに入る。サルバトーレ・シリグ、痛恨の失点である。

■シーズン終盤の爆発的な攻撃力で3連覇を達成したパリサンジェルマン

 両チームその後も得点気をつかむが、両チームのGKの好セーブにより追加点はなく、パリサンジェルマンが2-1と勝利し、3年連続5回目のリーグ制覇を成し遂げたのである。
 パリサンジェルマンは第30節でロリアンに勝利して首位に立ってからこの日までリーグ8連勝、この8連勝期間中は実に28得点、わずかに7失点、この爆発的な攻撃力が3連覇を導いた。優勝を決めた第37節までの総得点は80得点、37失点である。欧州の五大リーグ(イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、フランス)の中で、80得点以上をマークしているのはスペインのバルセロナとレアル・マドリッドだけである。
 パリサンジェルマンは、5月30日には国内三冠をかけてオセールとフランスカップ決勝を戦うのである。(この項、終わり)

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