第2003回 パリサンジェルマン、4季連続6回目のリーグ優勝(2) 記録的な強さを見せ史上最速で優勝

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■優勝決定試合の後半に目を覚ましたズラタン・イブラヒモビッチ

 最下位のトロワ相手に前半終了時で3-0とリードしたパリサンジェルマンであるが、主役の名前が登場しない。これまで23ゴールを記録しているズラタン・イブラヒモビッチである。第30節の開始前のフランスリーグでの得点ランキングを見ると2位のミッキー・バシャウィは13得点であり、パリサンジェルマンの成績同様突出している点取り屋である。しかし、守備の弱いトロワ相手に前半45分間はノーゴール。
 優勝を決めることになるであろうこの試合でイブラヒモビッチがゴールネットを揺らさないはずがない。後半はトロワのキックオフで始まり、最終ラインまでボールを下げたところでエディンソン・カバーニがインターセプトし、イブラヒモビッチにパスを出す。イブラヒモビッチはボールをキープしながらシュートコースを探り、ペナルティエリアの外から左足でグラウンダーのシュート、後半開始わずか20秒のシュートが決まって主役の登場である。続く53分にもまたトロワはパスをカットされ、アンヘル・ディマリアからのクロスをイブラヒモビッチが鮮やかにヘディングでシュートし、追加点をあげる。56分にもまた左サイドのディマリアからのクロスを今度は豪快にボレーシュートで決めて、イブラヒモビッチは後半の10分間強でハットトリックを達成する。これはイブラヒモビッチにとってはリーグ戦通算115試合目で100得点となった。スコアは6-0となったが、今季パリサンジェルマンは5得点をあげたのが最高で、国内外の試合で4回あるが、6得点は今季最多得点となる。

■フランスリーグ史上アウエーゲームでの最多得点差となった9-0で優勝決定

 58分にはトロワがオウンゴール、75分にはGKと1対1になったカバーニをトロワのロスミー・カラブエが後ろから倒してレッドカード、パリサンジェルマンのPKとなる。カバーニのキックはいったんはトロワのGKに阻まれたが、跳ね返ったところを再びシュート、ゴールが決まり、8-0となる。そして最後は主役が再登場、89分にトロワのCKを奪ったハビエル・パストーレが長い距離をドリブル、最後はイブラヒモビッチにパスを供給し、イブラヒモビッチが左足でゴールの隅にシュートを決めて9-0という大差で勝利し、パリサンジェルマンは4季連続6回目の優勝を果たしたのである。
 この優勝を決めた試合はフランスリーグ史上アウエーゲームでの最多得点差試合となった。これまでの記録は1948年のマルセイユなどの8点差、その記録は68年ぶりに更新した。

■8試合残してのリーグ優勝決定、アウエー13勝はすでに記録を更新

 この試合だけではなく、今季のパリサンジェルマンは多くの記録的な数字を残している。
 まず、第30節で優勝を決めたということは20チーム(38節)になってからは最速である。これまでの記録は2006-07シーズンのリヨンの第33節であり、8節残しての優勝は史上最速である。また、欧州の有力リーグを見てもこれはかなり早く、過去30年間をみても2年前のバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)の7節残しての優勝が最速であった。
 アウエーゲームで優勝を決めたが、このトロワ戦の勝利は今季13試合目の勝利である。アウエーゲームでのこれまでのシーズン最多勝利は12勝であり、過去8回あった記録をこれで更新、そしてアウエーゲームは3試合残されており、どこまで数字を伸ばすか注目したい。

■シーズン最多勝ち点、最少失点、2位との勝ち点差、勝利数も更新が有力

 そしてシーズンとして更新の期待がかかるのが最多勝ち点記録である。現行の勝ち点(勝利3点)になってからの最多記録は2013-14シーズンにパリサンジェルマン自身が残した89点である。残り8試合時点での勝ち点は77であるから更新は確実であろう。
 またシーズン最少失点記録は1991-92シーズンのマルセイユの21、現在15のパリサンジェルマンが残り8試合で5点以内に抑えれば記録更新となる。得失点差についてもこれまでの記録は1959-60のスタッド・ド・ランスの+63、トロワ戦の大勝で+62としており、記録更新が有望である。
 2位との勝ち点差も現在25であり、リヨンが2006-07シーズンに記録した17を現段階で大きく上回っている。
 そしてシーズン勝利数も現時点で24、あと4勝すれば2013-14シーズンのパリサンジェルマン自身の27勝を上回ることができる。
 このように記録的な強さをパリサンジェルマンは見せているのである。(この項、終わり)

 
このページのTOPへ