第2019回 2015-16フランスリーグ、フィナーレ(3) トロワ、GFCアジャクシオ、スタッド・ド・ランスが2部降格

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■早々に2部降格が決定したトロワ

 前回までの本連載で来季の欧州カップに出場する5チーム(チャンピオンズリーグ:パリサンジェルマン、リヨン、ヨーロッパリーグ:モナコ、ニース、リール)を紹介した。これ以外にフランスカップ優勝チームがヨーロッパカップの出場権がある。マルセイユが優勝すればそのままマルセイユが権利を獲得するが、パリサンジェルマンが優勝した場合はリーグ6位のサンテチエンヌに権利を譲ることとなる。
 今回は一転して残留争いに目を向けよう。下位3チームが2部に降格するが、最下位のトロワはここまで3勝9分26敗、得失点差は-55という数字を残しており、早々に2部降格が決まっている。

■トゥールーズ、GFCアジャクシオ、スタッド・ド・ランスが降格争い

 残る2つの降格チームはトゥールーズ、GFCアジャクシオ、スタッド・ド・ランスの3チームに絞られた。
 最終節を迎える時点の成績は17位のトゥールーズが8勝13分16敗で勝ち点37(得失点差-9)、18位のGFCアジャクシオが8勝13分16敗で勝ち点37(得失点差-20)、19位のスタッド・ド・ランスが9勝9分19敗で勝ち点36(得失点差-16)と勝ち点1の中に3チームが並んでいる。
 最終節のカードであるが、トゥールーズはアウエーでアンジェ(9位)と対戦、GFCアジャクシオはアウエーでロリアン(16位)と対戦、スタッド・ド・ランスはホームにリヨン(3位)を迎える。

■2位リヨン相手に大量リードを奪ったスタッド・ド・ランス

 21時キックオフの3試合、残留争いの順位はめまぐるしく変わった。トゥールーズは第36節までは19位が指定席であったが、第37節に17位に順位を上げ、残留圏内に入った。しかし、そのトゥールーズは11分にアンジェに先制点を奪われる。さらに13分にリヨンからスタッド・ド・ランスが先制点を奪う。この時点で17位に順位をあげたのがスタッド・ド・ランスである。大量失点をしない限り来季のチャンピオンズリーグに出場できるリヨンはアウエーでの最終戦ということもあり、ボールは支配するものの、好守に精彩を欠き、その後もスタッド・ド・ランスが得点を重ねる。スタッド・ド・ランスは34分、51分、53分にも得点を重ね、リヨンに4点の大差をつけ、勝ち点3はほぼ確実である。

■終盤に逆転し、残留を決めたトゥールーズ

 残留できる椅子はわずか1つであり、トゥールーズ、GFCアジャクシオが残留するためには勝ち点3が最低限必要であり、さらに両チームがそろって勝利した場合は得失点差でトゥールーズが有利である。
 キックオフ前はスタッド・ド・ランスよりも上の順位であったトゥールーズは11分に先制点を奪われ、GFCアジャクシオは27分に先制点を許してしまう。トゥールーズは30分にPKのチャンスを得るが、これをデンマーク代表のマルティン・ブレイスウェイトが失敗してしまう。ようやくトゥールーズは59分にベンイエデルが同点ゴールを決めて、反撃ムードを高めるが、その4分後にはアンジェに勝ち越し点を奪われてしまう。残り30分弱での逆転が必要なのはトゥールーズもGFCアジャクシオも同様である。しかし、ロリアン相手にGFCアジャクシオはほとんどシュートを放つことができず、敗色濃厚である。そして好機をつぶし、追いついた後に勝ち越し点を奪われたトゥールーズはシュートを放つが、得点に結びつかない。しかしトゥールーズは残り12分でドラマを演出した。78分には前半にPKを失敗した主将のブレイスウェイトが同点ゴール、そしてその2分後には交代出場したばかりの21歳のヤン・ボディジェがFKから決勝点を奪う。トゥールーズは地元から駆け付けた1200人のファンの前で勝利し、勝ち点を40に伸ばし、リヨンに4-1と勝利したスタッド・ド・ランスを勝ち点1の差で抑えて残留を決めたのである。
 なお、2部の1位ナンシー、2位ディジョン、3位メスが来季は1部に昇格する。劇的だったのは3位争いである。最終戦を迎える段階で3位メスと4位ルアーブルの勝ち点差は3であるが、得失点差はメスが+16、ルアーブルは+10と6点差があった。メスは0-1で敗れ、ルアーブルは5-0で勝利し、勝ち点だけではなく得失点差でも並んだ。しかし、総得点がメスの方が2点多く、メスが3位を守り1部に昇格したのである。(続く)

このページのTOPへ