第2180回 モナコ、8度目のリーグ制覇(2) 後半戦はパリサンジェルマンとのマッチレース
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ニースに暫定首位を奪われて迎えた大一番のパリサンジェルマン戦
リーグ後半戦の初戦の第20節のマルセイユ戦で勝利し、首位に躍り出たモナコ、その翌節は最下位のロリアンと対戦し、難なく4-0と大勝する。ライバルのニースはバスティアと引き分けて一歩後退、パリサンジェルマンはナントにアウエーで勝利する。
そして迎えた第22節、これがその後の優勝争いに大きく影響した。この節の最大の注目カードはパルク・デ・プランスで行われる3位パリサンジェルマンと首位モナコの1戦であり、1月29日の21時にキックオフされる。
この日の15時から行われた試合ではニースがギャンガンを破り、2017年になってニースは初勝利、勝ち点を49に伸ばして暫定首位に返り咲く。これから試合を行うパリサンジェルマンの勝ち点は45、モナコは48である。モナコは引き分け以上なら首位をキープ、敗れた場合はニースに正式に首位を奪われるばかりではなく、パリサンジェルマンと勝ち点で並んでしまう。
■アディショナルタイムに追いついたモナコ
パルク・デ・プランスは今季一番の盛り上がりとなった。両チーム互角の展開で試合は始まったが、徐々にパリサンジェルマンが優勢になってくる。そして後半立ち上がり早々にパリサンジェルマンはケビン・トラップが負傷で退場というアクシデントに見舞われ、若いアルフォンス・アレオラがピッチに入る。これが最初の選手交代となる。試合は拮抗した展開となったが、80分にモナコのジブリル・シディベがペナルティエリア内でユリアン・ドラクスラーを倒してしまい、パリサンジェルマンがPKを得る。エディンソン・カバーニが決めて、これで勝負あったかと思われた。しかし、5分間のアディショナルタイム、92分にモナコはCKのチャンスからベルナウド・シウバがグラウンダーで起死回生のゴールを奪う。モナコは1-1とアウエーのパリサンジェルマン戦を乗り切り、数時間前にニースに明け渡した首位の座を奪い返したのである。
そして続く23節はホームにニースを迎える。順位的には首位攻防戦であったが、モナコの勢いは止まらなかった。2月4日にモナコで行われた試合でバレル・ジェルマンが先制、ラダメル・ファルカオが2点を決め、3-0と完勝する。ニースはこの敗戦で3位に陥落、2位にパリサンジェルマンが浮上する。
■モナコとパリサンジェルマンのマッチレース
この後、リーグ戦はモナコとパリサンジェルマンのマッチレースとなる。モナコは2月17日のバスティア戦で引き分けた以外はすべてリーグ戦勝利、そして追うパリサンジェルマンも同じく2月19日にトゥールーズと引き分けた以外はリーグ戦全勝である。国内の相手に両チームが勝利を重ね、シーズンは終盤を迎えた。
本連載でも紹介してきたが、過密日程のモナコはリーグカップ決勝と重なった4月1日の第31節を延期し、パリサンジェルマンよりも1試合消化試合が少なくなる。したがってモナコとパリサンジェルマンは勝ち点で並び、得失点差で上回るモナコが順位表のトップになるという状態が4月に入って続いたのである。
■ニース、ホームでパリサンジェルマンを破る
そしてモナコの戴冠を前進させたのはフレンチリビエラの僚友ニースであった。4月30日に行われた第35節、パリサンジェルマンはニースに遠征する。首位の座を奪われたとはいえ、ニースも3位をキープしている。ニースは守勢一方であったが、ファンの期待に応えたのはニースのスターとなったマリオ・バロテッリ、26分に今季14ゴール目をあげて先制する。シーズン14ゴールはバロテッリにとってもACミラン在籍時代の2013-14シーズンに並ぶ自己最多得点である。後半に入ってもニースはリカルド・ペレイラが追加点をあげ、パリサンジェルマンも1点を返すが、試合終盤にパリサンジェルマンの人がレッドカードで退場、アディショナルタイムにニースに得点を許し、1-3と敗れる。リーグ戦終盤でパリサンジェルマンは消化試合数の1試合少ないモナコに勝ち点3の差をつけられたのである。(続く)