第2182回 モナコ、8度目のリーグ制覇(4) 公式戦62試合目で決めたリーグ優勝
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ホームで自力優勝のチャンスとなったサンテチエンヌ戦
5月14日に行われたリーグ戦第37節、モナコはリールに勝利し、勝ち点を89に伸ばす。2位パリサンジェルマンの勝ち点は86であり、モナコが未消化試合を含む残り2試合で連敗、パリサンジェルマンが最終戦で勝利すれば両チームは勝ち点で並ぶ。両チームには得失点差で大きな差(モナコ+73、パリサンジェルマン+56)があり、パリサンジェルマンが得失点差でモナコを逆転することはほぼ不可能であるが、モナコはパリサンジェルマンが届かないところまで勝ち点を伸ばして自力で優勝を決めたいところである。
そのチャンスが5月17日に行われるサンテチエンヌ戦である。もともとこのサンテチエンヌ戦は4月2日に予定されていた第31節の試合である。モナコはインターナショナルマッチデーの期間を除くと3月中旬から週に2試合のペースで試合を行ってきている。
このサンテチエンヌ戦で引き分け以上であれば、モナコの優勝が確定する。サンテチエンヌは直前の第37節ではパリサンジェルマンと戦っており、得失点差の勝負に持ち込んで5連覇を目指すパリサンジェルマンの攻撃力の前に0-5と大敗する。2試合連続して優勝のかかっているチームと対戦というタフな日程になった。
■後半戦にゴールを量産したキリアン・ムバッペ
ルイ二世競技場には平日とはいえ、14,299人の観衆が集まった。栄光のイレブンとなるであろうモナコの先発メンバーはGKはダニエル・スバシッチ、DFは右からジブリル・シディベ、カミル・グレック、ジェメルソン、バンジャマン・マンディ、MFは守備的な位置にファビーニョとジョアン・モウチーニョの2人、攻撃的な位置には右サイドにベルナウド・シウバ、左サイドにトマ・ルマール、そして2人のFWは主将のラダメル・ファルカオとキリアン・ムバッペである。
試合は終始モナコが優勢に進める。先制点は19分、ムバッペがファルカオからのパスを受け、サンテチエンヌのGKのステファン・ルフィエを交わしてゴールに決める。ムバッペはリーグ戦で今季15得点目となるが、特筆すべきはそのほとんどのゴールがシーズン終盤に記録されていることである。ムバッペは今季リーグ戦の開幕戦にも先発出場しているが、リーグ戦初ゴールは第10節のモンペリエ戦であり、前半戦は3得点にとどまった。後半戦の初ゴールは第24節の同じくモンペリエ戦であったが、ここから14試合で12得点をあげるという驚異的な数字を残している。そしてこれはリーグ戦以外の試合も同様であり、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントでのゴールは欧州に大きな衝撃を与えた。そしてこのゴールはシーズン103点目となり、昨季にパリサンジェルマンが記録したシーズン102点を上回り、過去50年間では最も多く、歴代でも3番目の数字となった。
■公式戦62試合目でようやくたどりついたリーグ優勝
後半もモナコが終始優勢に試合を進め、アディショナルタイムには途中出場したバレル・ジェルマンが追加点をあげて2-0と勝利する。これでモナコは2000年以来17季ぶり8回目のリーグ優勝を果たす。実に今季の公式戦62試合目での栄光の瞬間である。
■パリサンジェルマンのタイトル独占を阻止した若いメンバー
このモナコの優勝には2つの意味がある。まず、パリサンジェルマンのタイトル独占をストップしたことである。今世紀に入ってフランスリーグはリヨンの7連覇があり、ボルドー、マルセイユ、リール、モンペリエと1年ごとに王者が代わった群雄割拠の時代を経てパリサンジェルマンが4連覇を果たした。パリサンジェルマンはリーグだけではなく、フランスカップ、リーグカップでも連覇を続け、今季のモナコもフランスカップ、リーグカップでパリサンジェルマンに負けている。このパリサンジェルマンのタイトル独占にようやくストップをかけた意味は大きい。
そしてムバッペだけではなく、若いフランス人選手が多いということである。モナコの優勝メンバーでこれまでリーグ優勝の経験があるのは5人であるが、いずれも外国人選手が他国のリーグで優勝しているだけである。
この2つを意味する通り、モナコの優勝記念Tシャツの胸にはUnique Foreverと書かれている。今後のモナコが楽しみである。(この項、終わり)