第2183回 2016-17フランスリーグフィナーレ(1) ヨーロッパリーグ出場と1部残留をかけた最終節

 6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■今季のフランスサッカーの主役、モナコとパリサンジェルマン

 2016-17シーズンのフランスリーグはモナコとパリサンジェルマンのマッチレースとなったが、5月14日にモナコが地元でサンテチエンヌを破り、17シーズンぶり8回目の優勝を果たした。両チームはチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに残ったほか、フランスカップでは準決勝で対戦、リーグカップでは決勝で対戦しており、まさに今季のフランスサッカーの主役であった。

■欧州カップ出場と2部降格の条件

 優勝が決まってしまったとは言え、最終節は来季の欧州カップへの出場権、2部への降格などの注目を集め、5月20日21時に10試合が同時にキックオフされる。  まずは最終節を迎える段階での成績を確認するが、その前に来季のチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの出場の条件は次のとおりである。チャンピオンズリーグにはリーグ1位と2位が本戦から出場、3位は予備戦の3回戦から参戦する。そして、ヨーロッパリーグは4位とフランスカップ、リーグカップの優勝チームが出場する。なお、フランスカップ、リーグカップの優勝チームがリーグ戦の順位でチャンピオンズリーグの出場権を獲得している場合にはその出場権がリーグ5位以下のチームに譲られる。
 一方、2部降格については19位と20位のチームが自動降格、18位のチームは2部の3位チームと入替戦を行う。

■上位は4位まで順位が確定、注目の5位争い

 上位については最終節を迎える段階で1位から4位までの順位が確定しており、1位はモナコ、2位がパリサンジェルマン、3位がニース、4位がリヨンとなっている。モナコとパリサンジェルマン、ニースがチャンピオンズリーグの出場権を得ている。
 ヨーロッパリーグにはリヨンが出場を確定、またリーグカップはパリサンジェルマンが優勝したため、5位のチームにも出場権がある。さらにフランスカップではパリサンジェルマンとアンジェが決勝に残っており、パリサンジェルマンが優勝した場合はリーグ6位のチーム、アンジェが優勝した場合はアンジェが欧州への最後のチケットをつかむことになる。

■1部残留を目指すチームのほとんどは上位勢と対戦

 片や、下位の降格争いについては混戦気味である。完全に降格の決まったチームはなく、以下の5チームの争いとなる。16位のディジョン(勝ち点36、得失点差-12)、17位のカーン(36、-29)、18位のロリアン(35、-26)、19位バスティア(34、-24)、20位ナンシー(32、-25)が降格の可能性がある。
 さて、ヨーロッパリーグ出場権のかかる5位争いはマルセイユとボルドーの争いとなったが、降格争いにも影響を与えた。最終戦を前にして5位マルセイユが勝ち点59で得失点差は+15、追うボルドーは勝ち点58で得失点差は+10である。マルセイユはホームにバスティアを迎え、ボルドーはアウエーでロリアンとの対戦となる。バスティアはこの時点で18位、ロリアンは19位である。バスティア、ロリアンとも降格圏内のチームであり、負ければ18位以下が確定してしまう。5位争いをする両チームにとっては、相手の順位が下位であるとは言え、1部残留を目指す相手も全力で立ち向かってくる。パリサンジェルマンがフランスカップの決勝でアンジェに勝てば、6位になってもヨーロッパリーグに出場できるが、そのような心の緩みが許せない状況である。最終節はヨーロッパリーグ出場権と1部残留をかけた戦いになった。
 それ以外の下位勢の最終戦の対戦相手であるが、16位のディジョンはアウエーでトゥールーズ戦、17位のカーンはアウエーでパリサンジェルマン、20位のナンシーはホームでサンテチエンヌ戦である。
 カーンの相手のパリサンジェルマンは今季のリーグ戦の後半戦で1試合しか負けておらず、カーンにとってはかなり重い相手である。そしてナンシーの相手のサンテチエンヌは、3日前に延期されたリーグ戦の試合でモナコと対戦して敗れ、1週間前は逆転優勝を狙うパリサンジェルマンに大敗と優勝争いをする上位陣に連敗している。そして今度は最下位脱出を目指すナンシーと対戦、シーズン終盤に厳しい相手との3連戦となったのである。(続く)

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